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仲間と探した恩返しも… 大井3年・島津拓真投手

 一回表。適時打で先制された場面で、左ポケットに忍ばせたお守りを握りしめた。「まだ1点。大丈夫だ」。昨夏、強豪浦和学院の主将だった兄裕真さん(19)が、5回戦で敗れた直後、弟の拓真君(17)に託したお守りだった。

 小学2年で兄と一緒に野球を始めた。別々の高校に進学し「甲子園をかけて対戦しよう」と挑んだが、約束は果たせなかった。

 その直後、兄を追いかけるように主将に。ところが部員の暴力などの不祥事で6カ月間の対外試合禁止処分を受けた。「大井の(校名の入った)カバンは持ちたくない」と家族に漏らした拓真君に、兄は「お前らができることを探せ」と言った。

 三回、3点をリードされリリーフでマウンドに向かう時、ベンチの仲間の顔を見た。「勝って支えてくれた人に恩返ししよう」。仲間と探した「できること」は3回戦で途絶えたが、試合後、兄からメールが届いた。「野球が最後じゃない。これからがスタートだ」

(毎日新聞埼玉版)

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