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2投手を鼓舞、信頼厚く 浦和学院・久保翔平捕手

 試合が終わっても、悔しい表情を見せなかった。だが、応援スタンドの前で整列して、頭を下げると、そのままひざに手をついて動けなかった。

 初戦からフルイニング、2人の球を受け続けてきた浦和学院の捕手、久保翔平(3年)。「いつも投手のことを考えてくれる」と、エースの阿部良亮(同)と南貴樹(同)はいう。

 「直球で押し、相手が直球に慣れてきたころに変化球でつまらせる」。2人の良さを生かし配球を組み立ててきた。この日も同じだが、本庄一の打線はしぶとい。継投した阿部が失点すると、「打たれたのは仕方ない。切り替えていこう」と声を掛けた。

 広島県呉市出身。知人の通う浦和学院を見学した時、「甲子園で日本一をとろう」というチームの目標にひかれた。

 1年夏、控え選手として甲子園に出場したものの、昨夏は聖望学園に自身の失策もあって負けた。「あの悔しさは忘れない」。「やめたい」と思ったこともあるが、チームの主力として甲子園の舞台に立ちたかった。

 春の関東大会を2連覇した。だが、直後から忘れ物が増えるなどチームには、気のゆるみが見えた。「なんのためにやってるんだ。勝つためだろう」と引き締めてきた。

 「地元から離れて、どうしても甲子園で優勝したくてここまでやってきたのに悔しい」。球場からバスに乗り込む際、涙を見せた。

(朝日新聞埼玉版)

◇「夏の怖さ」再び 浦和学院3年 久保翔平捕手

 2年前の夏、甲子園球場のベンチから試合を眺めた。「甲子園はその1回だけ。甲子園で優勝したかった」

 広島県呉市の中学出身。地元の強豪校の誘いを断って浦和学院に進学した。知人の紹介で見学した時、充実した練習環境と、「一緒に日本一を取ろう」という森士(おさむ)監督の言葉にひかれたからだ。

 2年生から正捕手として活躍。しかし、昨夏の県大会では、痛恨のエラーを犯し、聖望学園に敗れた。「夏の怖さ」を知った。傷心から立ち直り、今春の関東大会で優勝した。

 しかし、チーム内に油断が生まれたように思えた。夏に優勝するには慢心は禁物。「何のためにやっているのか、もう一度考えろ」。仲間に活を入れた。

 目標を再確認したチームは、順調に勝ち上がった。ところが、甲子園まであと2勝というところで、再び「夏の怖さ」を味わった。

 好投を続けていた阿部良亮(3年)が本庄一打線につかまった。研究されていた。

 「切り替えて行こう」。動揺する阿部を懸命に支えたが、全国制覇の夢は道半ばで終わった。

 「地元から離れてまで日本一を目指し、たくさんの人に支えられた。だから勝ちたかった」。悔し涙が止まらなかった。

(読売新聞埼玉版)

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