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センバツへ・駆けろ球児 浦和学院高 思いやり、後輩へ継承

 授業が終了した午後4時。真っ白い練習用のユニホーム姿の野球部員が小走りにグラウンドに集まって来た。秋から後輩にバトンタッチした3年生37人。新チームの1、2年生の練習を手伝うためだ。

 最初に現れたのは本橋優希内野手。3年間ベンチ入りできなかったが、「頑張っていた背中を後輩たちは見ていてくれていたはず」と話す。この日はバッティング練習を行う後輩に「フライあげるなよ」と声を掛けながらショートで打球を受けた。「技術指導はできないけど、気持ちよく練習してほしい」と笑う。

 4番打者だった原大輔選手には、バットを手にした後輩らが「打球が右中間に飛ばなくて」「姿勢が突っ込んでないですか」と相談に来た。原選手は夏の県大会準々決勝で左ひざを負傷し入院。試合に出られないままチームは敗退した。「悔しさを後輩に託したい」。原選手は後輩の脇に立ち、「右足に力が入っていないよ」など見本を示しながらに指導する。シートバッティング練習で後輩が「うまく打てました」と笑顔を見せると満足そうにうなずいた。

 エースだった阿部良亮選手も1、2年生を相手にした打撃投手をこなしていた。「自分も先輩に教えてもらったことが糧になった。後輩の『勝ちたい』という思いの力になりたい」と語る。

 「相手を思いやってボール投げろ。取れないだろ」。グラウンドに散った1、2年生に森士(おさむ)監督の声が飛ぶ。ダイヤモンドを5周させるボール回しの目標タイムは28秒以内。早く回すコツは「技術よりも相手を思いやる心」と安保隆示部長は語る。夕日を背にキャッチボールをする選手に「相手がまぶしそうにしてたら移動してやるのが優しさだろ」と安保部長が諭した。

 浦和学院の強さを支えるのは、チーム内の思いやりと感謝。秋季県大会で優勝を決めたナインらが球場から出てくると、白いユニホーム姿の3年生37人全員が笑顔で迎えた。

(毎日新聞埼玉版)

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