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広島・大竹寛(22期生)情報 「脱強制、投手王国よ再び」

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【写真】慎重な調整が続く大竹(右)と大野投手コーチ(朝日新聞)

 50球投げただけで右肩が張る。マッサージを受け、数日後また試すように投げる。昨年のキャンプ中、多い日で270球投げて肩を壊した大竹だ。「恐怖心は消えない」。今もその代償を払い、日南のブルペンでもがいている。

 43イニング連続無失点の球団記録を作り、10勝した一昨年から暗転。昨季は3試合で1勝だった。離脱中に前田健がエースとなり、最優秀防御率に最多勝と孤軍奮闘した。

 大竹が肩と対話しながら投げるのは「マエケン頼みじゃあいつに負担がかかるだけ。先発の柱があと何本かあれば」とも思うから。開幕ローテーションに何とか滑り込もうと、自分を奮い立たせる。

 58勝84敗2分け。昨季、球団史上2番目に多い敗戦を味わった低迷の要因は、前田健以外に頼れる投手がいなかった点に尽きる。前田健がいるのにチーム防御率は球団ワースト3位の4・80。前田健を除くと、5・33に跳ね上がる。

 昨年のキャンプで1400球を投げた小松も4月の1勝で終わったように、1軍に残るための練習で精根尽き果てた投手は多かった。これには首脳陣も懲りたようだ。先発陣の再構築に向けて、締めてきた手綱を若干緩めている。

 現役時代に投手王国・広島を支えた大野投手コーチは「こちらから投げ込みは強制しない。我々が昔やったことが必ずしも正しいとは限らないし、やるべきことを考えさせ、意図を持ってやらせたい」。ブルペンがにぎわう時間は去年に比べて短くなり、空きも目立つ。出遅れ気味だったドラフト1位新人の福井の急なペースアップを心配し、野村監督がブルペン入りを止めたこともあった。

 強制しないと、かえって選手の目を開かせる。2年目の今村は前田健のカーブを観察し、19日の巨人戦で試して3イニングを無失点に抑えた。

 昨季11セーブを挙げた17年目の横山は「肩を作るタイミングが図りづらいのは困る」と、救援陣の立場から強く訴える。伝統の猛練習を緩和し、投げ込むも投げ込まないも選手の自覚に委ねるキャンプ。その成否はこれから見えてくる。

(朝日新聞)

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