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浦学、あと一歩 中盤以降打線湿り、鹿実に惜敗


【写真】生徒の名前が書かれたポンチョを着て応援する浦和学院の野球部員=西宮市の阪神甲子園球場で2011年3月27日午後0時50分(毎日新聞埼玉版)

 第83回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第5日の27日、1回戦第2試合で浦和学院は鹿児島実(鹿児島)と対戦し、3-5で敗れた。ともに投手中心の堅い守りと強力打線を誇るチームで、昨秋の関東大会と九州大会を制した覇者同士の対決となったが、浦和学院は、尻上がりに調子を上げる相手投手を前にあと一本が出なかった。東日本大震災の被災者の苦しみを分かち合い、頑張る姿で元気を送ろうと臨んだナインたち。伯仲したゲームにスタンドからは選手をたたえる拍手が送られた。

 先制したのは浦和学院だった。一回の攻撃で先頭打者の日高史也選手(3年)が左前打でいきなり出塁。打順1番は公式戦では初めて。「プレッシャーだけどとにかく塁に出たい」と思った。スタンドの母節子さん(44)は「1番打者としての仕事をよくやった」と後押しした。そして犠打で二進後、小林賢剛主将(3年)の中前打で先取点。幸先の良さに、応援団は「やったー」と雄たけびを上げた。

 相手もその裏、立ち上がりに苦しむ佐藤拓也投手(2年)をとらえてすぐに追い付き、シーソーゲームが始まった。

 二回に逆転された浦和学院は三回表、1死一塁で沼田洸太郎選手(3年)が真ん中低めのスライダーをとらえ、左中間に運んで二塁打に。小林主将を還してゲームを振り出しに戻した。「足のある小林を必ずホームに還す」と強い気持ちで打席に臨み、形にした。佐藤投手はその裏、3者凡退に抑え、中山芳行父母会長(41)は「流れはこっちにあるぞ。いけいけ」とメガホンを手に声援。四回表には、遠藤生選手(3年)の左前適時打で逆転に成功した。

 五回裏、無死一塁で森光司捕手(同)は「盗塁やエンドランを警戒した」。しかし鹿児島実の足を絡めた攻撃などで2点を許し、再び逆転された。

 両チームともに三振6、失策2、残塁12。安打は浦和学院が1本多い10本で、力が接近した同士らしい戦いをみせた。しかし、相手の好投で中盤以降の打線が湿り、追い上げられなかった。スタンドからは「夏また頑張れ」「必ず帰ってこい」の声が飛んだ。

◇ポンチョ思い込め

 浦和学院のスクールカラーである赤のポンチョを着た部員や保護者たちが、スタンドを染めた。同校はセンバツを前に約2700着を用意。東日本大震災を受け、うち約1000着を福島県から避難した被災者に贈る予定だ。部員約20人のポンチョには、応援に来られなかった約1500人の生徒や職員らの名前が書かれている。部員で応援リーダーの加藤遼さん(3年)は「全校生徒の思いを込め、先頭に立って勝利に導きたい」。

◇心鍛えもう一度--浦和学院・佐藤拓也投手(2年)

 「悔しいです」と話す目に涙はなかった。最高137キロの直球で四回には連続三振を奪った。「勢いのある球だったが」と森光司捕手。

 緩急を付けた球は高めになりがちで、昨秋13試合でチーム打率3割6分7厘の鹿児島実打線は甘く入った球を見逃さなかった。「相手は振ってくる打線。同時にボール球を見極められ、嫌な攻め方をされた」という。後半にはカーブ球も狙われて攻めにくかった。

 1週間ほど前から「上半身が前に突っ込んでしまう」ようになり、フォームを乱した。甲子園入りした18日以降は、森士監督と修正に力を入れてきた。試合前日は「乱れも修正できていい感じ」だったが、初めての甲子園で想像以上に緊張し、いつも通りのピッチングができなかった。「気持ちが弱かった。(明治神宮大会で)日大三に負けた悔しさも晴らせなかった」。精神的に強くなって再び戻ってくることを誓った。

◇投球ペース守れず--浦和学院・森士監督

 相手は大振りせずにシャープに振り抜き、うちのバッテリーが自分たちのペースで守れなかった。打順を変え、いい流れで多くの安打を放ったが、相手は得点に結び付けさせない好投だった。

◇夏に戻ってきたい--浦和学院・小林賢剛主将

 序盤は立ち上がりを狙って先制点を奪えたが、後半は相手投手の調子が上がり、ナインの気持ちが引いてしまった。技術や精神面も磨き、夏は命がけでこの舞台に戻ってきたい。

◇八回無失点が勝因--鹿児島実・宮下正一監督

 (五回に逆転打の)揚村は力んでいたが良い場面で打ってくれた。八回のピンチを無失点に抑えたのが勝因。接戦で勝てたのは冬の厳しい練習の成果。ただ、内野の失策があり、次の課題だ。

◇終盤まで粘り強く--鹿児島実・豊住康太主将

 守備が乱れるなど反省点が多く、見直したい。昨秋の明治神宮大会での反省を踏まえ、終盤まで粘り強く戦えたのは良かった。初戦を勝ち、全国制覇へ向けて良い一歩を踏み出せた。

(毎日新聞埼玉版)

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