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夏の高校野球展望 埼玉 「浦和学院、地力でやや優位」

 第93回全国高校野球選手権大会は8月6日から15日間、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催される。47都道府県から49代表(北海道、東京は2校)が出場。甲子園につながる地方大会は18日の沖縄から始まり、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島の被災地にも球音が響く。

 日程が順調に進めば、7月30日にすべての代表校が出そろう。今年も4千校余の参加が見込まれ、深紅の大優勝旗を目指す。地方大会の展望を紹介する。

◇埼玉 「浦和学院 地力でやや優位」

 今春の選抜大会に出場した浦和学院が総合力でやや優位だが、私立、公立とも実力に差はほとんどなく、厳しい戦いになりそうだ。

 浦和学院は主軸の日高、沼田に長打力があり、打線に切れ目がない。多彩な変化球を操る2年の右腕佐藤は制球重視の投球に定評がある。

 私立校は、春の県大会優勝の花咲徳栄、秋春4強入りの浦和実のほか、選手層が厚い春日部共栄、攻撃力の高い栄北が頂点を狙う。昨夏の甲子園経験者が3人残る本庄第一も侮れない。

 公立勢も注目校が多い。春の県大会準優勝の上尾は好左腕の三宅、伊藤を擁し、鷲宮は本格派左腕増渕に期待が集まる。

◇茨城 「水城と常総学院がリード」

 3季連続での甲子園出場を目指す水城と、春の県大会を制して2年ぶりの代表を狙う常総学院が一歩リードしている。

 水城は春の県大会準々決勝で常総学院に敗れ、県内の公式戦連勝が13で止まったが、萩谷を軸にした得点力のある打線は健在。右腕佐藤賢の出来が鍵を握る。

 常総学院は多彩な投手陣を、1年時に甲子園を経験した国井、和田丈の二遊間コンビが堅守でもり立てる。今夏限りで一線から引く木内幸男監督の勇退の花道を飾れるか。

 水戸葵陵(きりょう)と下妻二は、ともに2年生の好投手がおり、優勝を狙える力が十分ある。機動力が武器の藤代や霞ヶ浦も楽しみな存在だ。

◇栃木 「県立勢を引っ張る大田原」

 総合力で突出したチームはないが、春の県大会で52年ぶりに優勝した大田原と、準優勝の文星芸大付が一歩リードか。

 県立勢を引っ張る大田原は今年の選抜大会で関東・東京地区の21世紀枠候補校に推薦された。最終的に選から漏れたが、密度の濃い練習が奏功し、投打に力をつけた。主戦渡辺諭は緩急をつけて打たせて取る。打率5割5分の谷地は春の県大会でサイクル安打した。

 今夏は例年に比べて投手が充実している。矢板中央の福田は144キロの速球が武器。国学院栃木の新ケ江、宇都宮南の綱川ら昨夏を経験した投手も冬を越えて成長した。昨夏優勝の佐野日大は選手層の厚さが光る。

◇群馬 「戦国大会 十数校ひしめく」

 選抜大会出場の前橋育英と2年連続の代表を目指す前橋商が中心だが、上位10校余は実力伯仲。大混戦になりそうだ。

 春の県大会を制した前橋商は、好投した1年生の岩崎が猛暑の中、どこまで投げられるか。準優勝した樹徳のエース矢野、長身から最速142キロの直球を投げる高崎商の金井など、上位校に実力のある好投手がそろう。

 桐生第一は前田を軸にした投手陣と得点力のある打線が武器。春の大会で前橋育英を破った桐生市商や、2年前に夏の甲子園を経験した選手が残る東農大二も優勝を狙う。ノーシードながら、強打に機動力が加わった健大高崎も楽しみな存在だ。

◇千葉 「習志野 集中打に小技も巧み」

 力に差のない実力校がそろった。春の関東大会で初優勝した習志野を中心に、同8強の専大松戸、選抜大会を含めて過去10年間に5回の甲子園出場を誇る千葉経大付、昨秋の県大会を制した木更津総合などが絡む展開になりそうだ。

 10年ぶりの代表を狙う習志野は主将宮内、エース泉沢、4番藤井ら中心選手が1年生の時からメンバー入りし、経験豊富。打線に切れ目がなく、集中打に迫力がある。犠打など小技も巧みだ。

 専大松戸の上沢は185センチの本格派。140キロ台半ばの速球に加えてスライダーにもキレがある。140キロ超の速球を持つ林田との二枚看板は他校の脅威だ。

◇東東京 「帝京優勢 二松学舎大付続く」

 投打の総合力で帝京がリードしている。昨秋から力を出し切れない試合が続いたが、伊藤、渡辺、木部ら投手陣の層は厚い。1年から甲子園経験がある主将の松本は右投げ右打ちの大型内野手で、左右に打ち分ける打撃は脅威だ。

 鈴木と山岸のバッテリーを軸に、春の都大会4強の二松学舎大付が続く。国士舘、修徳も力がある。昨夏の甲子園8強の関東一も追う。桜町の後藤、芦花の横山は力のある投手で、活躍が注目される。

 東日本大震災の影響で春の都大会1次予選が中止となり、東・西東京大会では初めて、シード権を設けないフリー抽選になる。1回戦から白熱した試合が続きそうだ。

◇西東京 「選抜4強の日大三 隙なし」

 昨秋の神宮大会優勝、今春の選抜大会4強の日大三が総合力で抜きんでている。エース吉永は球威と多彩な変化球を誇る全国屈指の本格派右腕。高校通算本塁打が今春で50本を超えた主軸の横尾を筆頭に、畔上、高山と打撃も強打者がそろい、隙がない。

 日大三に挑む実力校の層も厚い。今春26年ぶりの選抜出場を果たした国学院久我山をはじめ、春の都大会準優勝の佼成学園や同4強の八王子が追う。

 連覇を狙う早稲田実は昨秋の都大会1次予選で初戦敗退したが、今夏も優勝候補の一角。早稲田実を破った東亜学園や昨夏準優勝の日大鶴ヶ丘、都立では投手力に定評がある府中工なども注目される。

◇神奈川 「選抜V 東海大相模が中心」

 選抜大会を制した東海大相模を軸に、春の県大会優勝の慶応、選抜出場の横浜、そして桐蔭学園や桐光学園などがしのぎを削る。

 東海大相模は渡辺、臼田が足で揺さぶり、佐藤ら中軸が着実にかえすスタイル。速球派の近藤を中心に投手層も厚い。

 慶応は安定感が増した左腕三宮を、谷田ら主軸が長打でもり立てる。エース不在の横浜は左腕の山内、球威がある柳の成長が鍵を握る。桐蔭学園は左の内海、右の藤岡の両投手が魅力。桐光学園は投攻守にバランスがとれている。

 公立勢では第1シードの厚木北をはじめ、戸塚、横浜桜陽、南、藤沢西、川崎工科は好投手を擁し、侮れない。

(朝日新聞より抜粋)

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