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浦学、勝利目前で涙 無失策の堅守、最後まで

 第84回選抜高校野球大会9日目の30日、浦和学院は大阪桐蔭(大阪)に2-3で惜敗した。強豪相手に先制し、追いつかれても勝ち越したが、勝利目前の9回、逆転された。2008年以来となる県勢のベスト4進出はかなわなかったが、堂々とした戦いぶりにスタンドからは大きな拍手が送られた。

 相手主戦の藤浪をどう打ち崩すかが課題だったが、意外にも沢田(3年)が先発した。初回、浦和学院は先頭の竹村(2年)が左前安打で出塁。1死一、三塁から四番笹川(3年)が中前に適時安打を放ち、瞬く間に先制点を挙げた。

 浦和学院も先発は控えの山口(2年)。序盤から好調で、強打大阪桐蔭に対し、直球を主体に変化球でかわし、5回を3安打無失点に抑えた。

 同点に追いつかれた直後の7回裏は、藤浪相手に連続3安打で無死満塁の好機を迎えたものの、後続3人は153キロの直球やスライダーを前に連続三振に終わった。しかし、8回には2敵失などで2死満塁とし、捕逸でついに勝ち越した。

 9回表。右翼手笹川が好返球で右前安打で二塁を狙った先頭打者を刺したが、次打者に粘られてこの日唯一の四球。その後、同点、逆転打を許した。

 「みんなで守りながら1点をもぎ取る野球」。スター選手がいないチームで森士(おさむ)監督が掲げるスタイルだ。今大会3試合すべてで無失策。この日の打線は11安打で、大阪桐蔭の10安打を上回った。試合後、森監督は「あとひとつ、あと一歩」と残念がった。

◇真っ赤な応援団 燃えたスタンド

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【写真】笑顔で応援する「FIRE REDS」=阪神甲子園球場(朝日新聞埼玉版)

 一塁側スタンドを真っ赤に染めていたのは、応援団「浦学FIRE REDS」の160人。好機が訪れると、大きな歓声と息の合った演奏が響き渡った。

 吹奏楽とソングリーダー、野球の3部と生徒会で構成される応援団。名前には「スクールカラーのエンジ色が応援の熱気で燃えるような赤になる」という意味を込めた。昨年の選抜高校野球大会は東日本大震災のため応援を自粛した。そのため、大応援団にとって今大会は満を持しての出場。好機の選手たちにエールを送る新曲「ファイトソング」も初めて演奏した。

 吹奏楽部副部長の林百恵さん(3年)は「試合中、ファイトソングをずっと演奏できるよう選手に力を送り続けたい」。ソングリーダー部の杉本優部長(同)は「こんな大舞台で応援でき、楽しい。昨年の分も応援する」と力を込めた。

◇「もっと冷静に」夏へ誓う 林崎龍也捕手(3年)

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 「勝負どころの一球で判断を誤った――」

 浦和学院の林崎龍也捕手(3年)は試合後、配球ミスを悔いた。

 「ナニワのダルビッシュ」の異名を持つ大阪桐蔭の主戦藤浪晋太郎投手(同)から勝ち越した直後の9回、同点にされて2死二塁。7番白水健太選手(同)へ1ストライクから2球目。外角への見せ球が内側に入ってしまった。

 2点を取られ、林崎はすかさずマウンドへ上がった。「裏がある。1点なら大丈夫」。勝利目前、明らかに動揺していた。心の中では直球のサインを出した自分自身を戒めた。

 昨年の選抜大会に出場した「主戦」の佐藤拓也投手(同)は、昨秋まで不調が続いていた。佐藤は今大会で完全復活し、2回戦まで順調に勝ち進んだ。佐藤の復調を信じ、待ち続けた林崎。甲子園入りしてから「1戦1戦が楽しくて仕方がない」と話していた。

 9回裏、2死一、二塁の同点の好機。林崎に打順がめぐってきた。「好調の佐藤、笹川につなぎたい」。狙いは直球。初球からイメージ通りに来た。力みすぎた。打ち返した球は、遊撃手の前に転がり、あっけなく春は終わった。

 「冷静な自分を見つけて変わらなきゃ。もう一度、ここに戻ってくる」。夏に向けて自分を鍛え直すと誓った。

◇「あと一歩」足りぬ

浦和学院・森士監督
「7回無死満塁の好機をものにできなかった。犠打を何度も失敗していたので、スクイズのサインを出しにくかった。全国で勝ち進むための機動力、攻撃力があと一歩、足りなかった。」

浦和学院・明石飛真(ひゅうま)主将
「簡単には勝てないという野球の怖さを知りました。最後に逆転されたのは、相手が気持ちでも技術でも上だったからだと思います。夏までに練習を重ねて甲子園に戻ってきたい。」

佐藤拓也選手
「勝負どころでボールが甘いところにいった。悔しい。」

緑川皐太朗選手
「夏に向け、速い球に対応できるバッターになりたい。」

木暮騎士選手
「活躍できなかったが、夏は甲子園で自分が勝たせる。」

竹村春樹選手
「打ち負けた。この負けを忘れず、夏に向け頑張りたい。」

山根佑太選手
「先制後、併殺になり、5番の役割を果たせなかった。」

石橋司選手
「甲子園では力を出し切れなかった。レベルを上げたい。」

笹川晃平選手
「負けた気はしない。藤浪投手の球はやっぱり速かった。」

野村亮太選手
「登板できる準備はあった。夏に向け、もっと腕を磨く。」

山口瑠偉選手
「9回まで投げられる力をつけたい。勝ちにこだわりたい。」

西川元気選手
「夏は試合に出られるよう、人の何倍も練習したい。」

伊藤祐貴選手
「序盤はよかったが、相手の最後の食らいつきが強かった。」

森戸佑樹選手
「好機に強い打者になって、また甲子園に戻ってきたい。」

吉川智也選手
「ミスが目立ったのが残念。夏にまた帰ってくる。」

渡辺剛選手
「甲子園の雰囲気を知ることができた。夏は必ず登板したい。」

西岡伸朗選手
「チャンスは何度もあったのに、点を取りきれなかった。」

安室健太選手
「最終回は塁に出たかった。決勝点の走者を刺せず悔しい。」

(朝日新聞埼玉版)

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