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浦和学院 春夏連続だ!佐藤は完封&先制打の大活躍

 浦和学院・佐藤は左手を目いっぱい伸ばし、打球をつかんだ。一塁の明石主将に丁寧にトスし、ゲームセット。マウンド付近の歓喜の輪の中心で、泥だらけのユニホームが輝いた。

 「野手に助けられました。1、2年の時は準決勝で負けていたので、必ず甲子園に行くという気持ちで投げました」

 4回までに3安打を許したが、5回以降は無安打投球。直球は130キロ台でもカーブを織り交ぜる緩急を使った投球術は決勝でもさえた。三塁を踏ませず、122球で完封勝利。打っても初回に先制の中前打を放つなど3安打1盗塁と投打で大車輪の働きをみせた。

 気温34度。猛暑の中でも最後までスタミナは切れなかった。今春の県大会準々決勝で春日部東に敗れた直後から、夏に向けた走り込みを開始した。午前5時から8キロ走をこなし、グラウンドではサーキットトレーニング。午後の練習でも再び8キロ走をこなし、外野のポール間往復走10本をノルマとした。「暑い中でもバテることなく、集中してできました」。マウンド以外でも休むことなく動き続けた決勝を終え、その成果を実感した。

 春夏連続甲子園出場は02年以来10年ぶり。森士(おさむ)監督は「突出した選手はいないが、そこそこのチーム。それにふさわしい、粘り強い戦いをしたい」と抱負を口にした。今センバツは準々決勝で大阪桐蔭に敗れ8強止まりだっただけに、佐藤は「夏も戦えるのであれば、春の借りを返して日本一になりたい」。真夏の甲子園でも、最後までマウンドを守る。

 ▽浦和学院(埼玉)男女テニス部も強豪。広島の大竹らがOB。

(スポニチ)

◇浦和学院初夏切符!エース佐藤が大活躍

 浦和学院のエース佐藤拓也投手(3年)が3安打完封、バットでも先制打を含む3安打で春夏連続出場を決めた。

 おのずと飛び出すガッツポーズ。佐藤は「うれしい。必ず甲子園で優勝するというつもりでやってきた」と夏切符獲得を喜ぶとともに、大きな目標を臆せず口にした。ラストサマーへ向け、4月から朝5時前に起床し、学内の往復8キロのマラソンコースを走り込んだ。午後にも同じコースを往復、さらに外野のポール間走を、タイムを1分切ることを前提に10本こなしてきた。身に付けたスタミナと自信が、そこにはあった。

 目標は、あくまで全国制覇だ。「春の借りを返したい」と佐藤は力を込める。今春センバツの準々決勝では、藤浪擁する大阪桐蔭に2‐3で逆転負け。この日、大阪大会決勝に進出したライバルに「リベンジしたいという思いはある。もう1度戦えるのであれば、春の借りを返して日本一になりたい」と再戦を熱望した。

 森士(おさむ)監督(48)の胴上げはなし。甲子園切符は、あくまで通過点に過ぎないことを、物語っていた。

(デイリースポーツ)

◇浦学、おにぎりで覇権も握った

 浦和学院・佐藤拓也投手(3年)が最後の打者を投ゴロに打ち取ると、歓喜の輪が広がった。4年ぶり11度目となる夏の甲子園が決まった瞬間だった。

 初回に1点を先制するも、追加点を取れず苦しんだ。1-0のまま迎えた7回表の攻撃前、森士(おさむ)監督(48)はあえて選手を突き放した。「監督を超えてみろ」。サインに頼るのではなく、自分たちで状況を打破しろ。そういうメッセージだった。選手たちは円陣を組み「思い切ってやろうぜ」と大声を出した。試合を決める3点を奪ったのは、この回だった。

 森監督は大会前「ここ数年で記憶にないくらい選手を鍛え抜いた」と口にしていた。センバツ8強も、春の県大会後から猛練習を積んだ。夏は2年連続で準決勝敗退。そこからの1歩を踏み出すためだった。早朝と放課後の練習前に8キロのマラソン。1日6食を取るなど、体づくりに取り組んだ。

 授業の合間にも食事を取った。森監督が自ら、めんたいこやチーズの入ったおにぎりを握って振る舞った。「食え食えって言いながら食べ終わるまで見届けるんですよ。夏に向けて食わして走らせてってね」。動けなくなるまで走り、食事が喉を通らなくなる選手もいた。白米だけで1日3キロ以上を食べたこともあるエース佐藤は「苦しいときがあったから、自信を持って戦えた」と振り返った。

 甲子園の目標はもちろん優勝だ。「夏は体力と精神力の勝負。僕たちが埼玉に初めての優勝旗を持って帰る」と佐藤は決意を新たにした。鍛え抜かれ、一皮むけた選手たちはまだまだ強くなる。

 ◆浦和学院 1978年(昭53)に創立の私立校。野球部は79年に創部で、部員は72人。全校生徒2389人(女子1100人)。甲子園は春8度、夏は11度目。主なOBは清水崇行(巨人コーチ)木塚敦志(DeNAコーチ)大竹寛(広島)ら。所在地は埼玉県さいたま市緑区代山172。小沢友紀雄校長。

(日刊スポーツ)

◇浦学・佐藤、3安打完封!優勝打!!

 エースを中心に歓喜の輪が出来た。浦和学院の佐藤拓也が、最後の打者を投ゴロに抑えた。「今までやってきたことの成果が出てよかった」。3安打完封。今大会は29回を投げて1失点しか許していない。3番打者としても、初回に決勝打となる中前適時打を放つなど3安打。投げて打ってチームを引っ張った背番号1は、気持ちよさそうに汗をぬぐった。

 悔しさからはい上がってきた。今春のセンバツ準々決勝。“ナニワのダル”こと藤浪晋太郎(3年)擁する大阪桐蔭と対戦した。1点リードの6回から登板したが「甲子園独特の雰囲気にのみ込まれてしまった」。2度のリードを守れずに、4回7安打3失点で逆転負け。失意のまま、甲子園を後にした。

 大会後、自らが投げる映像を目に焼き付けた。そして体力を鍛え直した。ほぼ毎日、朝に8キロ走とサーキット走を行い、夕方に再び8キロ走とポール間ダッシュ10本。同時に100~150球の投げ込みもこなし、最後の夏に挑んだ。「暑い中でもバテることなく投げられました」。努力が実を結び、少しだけ顔をほころばせた。

 見据える先は頂点だ。埼玉県勢は、まだ深紅の大優勝旗を手にしたことがない。チームも、夏は04年を最後に3大会連続で初戦敗退中。しかし、「絶対に負けたくない。自分が今までしてきたことを信じて優勝したい」。大阪桐蔭へのリベンジはもちろん、待ちかまえるライバルたちとの戦いを制し、誰よりも熱く長い夏にする。

(スポーツ報知)

◇「殻を破れ」に選手呼応

 試合が動いたのは、浦和学院が1点リードで迎えた七回表。この回の攻撃前に浦学ナインは円陣を組んだ。「弱いままの自分たちでいいのか。殻を破れ」。森士監督が、初回に1点を先制したものの好機を生かせずにいた選手たちを鼓舞した。

 選手たちが監督の思いに応える。2死二塁。打席には準決勝で決勝打を放った林崎龍也捕手(3年)。「この回で良くも悪くも流れが変わる。絶対1点をもぎ取ってやる」。応援席がチームカラーの赤いメガホンで大きく揺れる。声援を背に低めの球を左前にはじき返し、走者の石橋司選手(3年)を還した。林崎捕手の母美紀さん(38)は「打ってくれると思った」と大喜び。

 続く佐藤拓也投手(3年)は敬遠され、なお2死一、二塁。山根佑太選手(2年)の左越え二塁打でさらに2点を加えると、母詠子さん(45)は「今夏で一番良い仕事」とたたえた。

 聖望学園の小林健斗主将(3年)は「投手も捕手も余裕が無かった。相手はそれを逃さなかった」と悔しがった。

 最終回、最後の打者を投前ゴロで打ち取った佐藤投手は一塁手の明石飛真主将(3年)に送球し、仲間たちと固く抱き合った。佐藤投手は「ボールが先行するなど制球が課題。林崎が配球を組み立ててくれたおかげで投げきることができた」と女房役に感謝。明石主将は「日本一をとって優勝旗を持ち帰る」と決意を語った。

(毎日新聞埼玉版)

◇猛練習乗り越えた 浦和学院・佐藤拓也投手

 9回裏、2死。浦和学院の佐藤拓也投手(3年)は、最後の打者の打球を、冷静にグラブに収めた。確実に一塁に送球しながら、一塁手の明石飛真主将(同)のもとへ駆け寄った。あの舞台にもう一度立ちたい――。その願いがかなった瞬間、笑顔があふれた。

 この日、決して調子は良くなかった。ボールが先行しはじめ、いつもの打たせてとる投球ができなくなっていた。焦りそうな気持ちを抑え、冷静さを取り戻すことができたのは、今までの苦しい練習がよみがえったからだった。

 選抜大会で全国8強になったが、直後の春の県大会は準々決勝で敗退した。夏に向け、チームは走り込み中心の練習に取り組んだ。朝5時からマラソン8キロ、午後もダッシュを繰り返した。「つらい練習があったから、暑さの中でも集中力が途切れなかった」

 気持ちを振り絞り、9回を無失点で抑えた。初回に先制打を放ち、4回には果敢に本塁を狙うなど、バットでもチームに貢献した。

 投げながら、ベンチや応援席からの「がんばれ」という声援がよく聞こえていたという。「甲子園でもエースとして、全試合投げて優勝したい」。さらに大きな応援を受け、夢の舞台で新たな挑戦が始まる。

◇監督、主将談話

◎浦和学院 森士監督 
 試合中、選手に対して、「監督に頼らず、自分たちの野球で勝負しろ」と言葉をかけた。その結果、一人ひとりが開き直って打ってくれた。甲子園では一戦必勝の気持ちを大切にして、春の選抜大会の借りを夏の舞台で返したい。

◎浦和学院 明石飛真主将
 素直にうれしい。周囲の人たちの支えがあったからこそ優勝できた。感謝の気持ちでいっぱいです。甲子園でも浦学野球を貫くだけ。目標の「日本一」を目指して全力プレーで戦い、埼玉に初めての優勝旗を持ち帰ってきたい。

◎聖望学園 大越仁監督
 完敗です。浦和学院は強かった。中盤まで1点差でよく我慢したが、振り返れば、序盤に追いつけなかったのが痛かった。選手は決勝まで「つなぐ野球をやろう」と声を掛け合い、試合のたびにまとまっていってくれた。

◎聖望学園 小林健斗主将
 相手バッテリーに要所でタイミングを外されてしまい、流れがこなかった。悔しいが、色んな人の思いを背負って戦うことを通じ、仲間との絆が深まった。浦和学院は本当にいいチーム。甲子園から優勝旗を持って帰ってほしい。

(以上朝日新聞埼玉版)

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