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浦和学院・笹川、母に捧げる2戦連発

 2回戦3試合を行い、浦和学院は笹川晃平外野手(3年)の2試合連続本塁打などで聖光学院に快勝。4強入りした1986年以来、26年ぶりの夏2勝を挙げた。東海大甲府は渡辺諒内野手、山本瞬外野手の2年生コンビの活躍で龍谷大平安を下した。初出場の宇部鴻城は21安打12得点で佐世保実に勝った。毎回安打と全員安打を同時に記録したのは大会史上7度目。

 さまざまな思いが詰まった打球が左中間席で弾んだ。三回一死から、浦和学院の5番・笹川が1回戦の高崎商戦に続いて2戦連発となるソロ。着弾を確認すると、右こぶしを突き出した。「失投を見逃さずに打てました」。この一発を含め、六回の2点二塁打など4安打3打点。11得点した打線をけん引し、晴れやかな笑みを浮かべた。

 苦しんだ日々を乗り越えた。昨夏埼玉大会準決勝の花咲徳栄戦では最後の打者になった。悔しさを忘れないため、映像を繰り返し見てはバットを振り込んだ。2試合連続弾は、その時と同じスライダー。聖地で成長を証明した。今年も6月中旬の練習試合で味方と激突して左手薬指を骨折した。3週間はバットもダンベルも握れなかったが、加圧トレで筋力を維持。努力と折れない心で、結果につなげている。

 何より大事な人のために打ちたかった。お立ち台では「ここに送り出してもらった母にお礼を言いたい」と、女手ひとつで育ててくれた母・美加さん(40)への感謝が口をついた。寮の部屋には送られてきた激励の手紙がすべて張ってある。甲子園出場を決めた埼玉大会決勝後、優勝メダルを美加さんの首にかけて「ありがとう」と初めて言葉にした。逆境に耐えられたのは、家族の支えがあったからこそだ。

 18安打の猛攻で、浦和学院は区切りの夏10勝に到達。母に捧げるアーチで3回戦進出に貢献した笹川は「まだまだです」と口元を引き締めた。目指すものはただ一つ。「恩返しは全国制覇でしたい」。不屈の主砲は力強く宣言した。

(デイリースポーツ)

◇やるべきこと貫徹、焦らず冷静に 笹川晃平選手

 それぞれが、やるべきことを貫徹する。どんな状況でも、焦らず冷静に戦う――。

 浦和学院の選手たちに共通している姿勢だ。笹川晃平選手(3年)は初戦に続き、2回戦でもお手本となるような大活躍を見せた。

 3回1死、初回から大きく動いた試合の流れを、一気に引き寄せる本塁打。「狙って打てるような打者じゃない。たまたまです」と、2試合連続の一発を謙虚に振り返った。しかし、実際は狙い澄ました一打だった。

 6月の練習試合では、エース岡野祐一郎投手(同)を打ちあぐねた。反省を踏まえ、この日、チームとしては「どんどん振ってタイミングを合わせる、得意の変化球を見極めて打つ」(明石飛真主将)という作戦を考えていた。

 初打席。笹川選手は遊ゴロに倒れたが、「方針通りに積極的に振れたことが次につながった」。本塁打の第2打席は、読み通りのスライダーを完璧なタイミングで捉えた。5回の第3打席は一転、三塁へ見事なセーフティーバントを決めた。

 「また大きいのを狙おうとするのは自分の悪い癖。守備が長打を警戒し、下がっているのが見えた」。舞い上がることなく、状況を冷静に見極めた。好判断は完全に相手の裏をかいた。

 結局、4安打3打点。快音が鳴り響いた打線の中でもひときわ目をひく好調ぶりだった。しかし、浮かれた様子は全くない。「とにかく、チームのためにやれることをするだけです」。チームに貢献していれば、負けることはない。目には自信が宿っていた。

(朝日新聞)

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