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念願の舞台、いぶし銀の技 浦和学院・贄隼斗二塁手(3年)

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【写真】5回表土佐2死二塁、弘井の右前に抜けそうな打球を好捕し、一塁へ送球する贄隼斗二塁手(朝日新聞埼玉版)

 粘投を続ける小島和哉投手(2年)を救った2度の好守と、3四死球での出塁、確実な犠打――。「WBC日本代表の井端弘和選手のように堅実に」という森士監督の期待に応え、2番・二塁手の贄(にえ)隼斗選手(3年)がいぶし銀の活躍でチームをもり立てた。

 昨年、春夏連続出場した甲子園では、あと一歩でメンバーに届かなかった。「山根(佑太主将)たち同級生の活躍を見て悔しくて……」。秋以降、持ち味の守備に磨きをかけた。

 午前5時からの早朝練習で、毎日のように百本近くのノックを受けた。打撃は不得意だったが、「絶対にフライを上げない」と低くたたきつけ、犠打で確実に走者を送るように心掛け、「つなぐ打者」としての意識を徹底的に高めた。

 念願の晴れ舞台。初戦で緊張が高まる中、努力の成果を存分に発揮した。3回表の守備では先頭打者の一、二塁間への痛烈な打球を横っ飛び。同点の危機だった5回表2死二塁にも外野に抜けそうな当たりに跳びついた。

 「左打者は引っ張る癖がある。変化球を引っかけた当たりが飛んでくる」「8番打者は右方向に打つ意識が強い。一塁側に寄った方がよい」

 事前の研究で傾向を見抜き、さらに試合中、冷静な観察眼で守備位置を調整した。打席に立っても集中力がさえ渡った。しぶとく四死球を選び、味方の失敗が目立っていた犠打を確実に決めた。

 静岡県の実家を離れ、寮生活。この日、スタンドにはなかなか会えない両親や姉、兄も駆けつけた。「活躍している姿を見せたい」。試合前の意気込み通り、真骨頂を発揮して甲子園デビューを飾った。「うぬぼれてはダメ。もっと打撃でも貢献したい」と表情を引き締めたが、「家族や地元の人たちに、全力プレーを見せることができました」と柔らかな笑顔も浮かべた。

(朝日新聞埼玉版)

◇努力で開花 遊撃手との信頼 二塁手 贄隼斗選手(3年)

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【写真】攻守に活躍した浦和学院・贄選手。左は竹村選手(東京新聞埼玉版)

 一走として迎えた六回2死一、二塁。二走の竹村選手の単独スチールを見逃さず自分もスタートを切る。「直感的に走ると分かった」。竹村選手も「贄なら付いてきてくれると信じていた」と振り返る重盗が決まり、追加点の好機を演出した。

 「俺らの代で絶対に二遊間を組んで、甲子園で活躍しよう」。昨夏、春夏連続で甲子園のメンバー入りを逃して落ち込む背中に、同じ寮生として親しくする竹村選手の声が掛かった。

 中学まで自分も遊撃手だったが、一年生のころから三年生に交じって公式戦で活躍する竹村選手の姿を見て「あいつには、かなわない」と二塁手に専念した。そんな「あこがれの同級生」の言葉に胸が熱くなった。

 朝四時半から一人で黙々と捕球練習を始め、正規の練習後もいち早く夕食を済ませて、誰よりも先にグラウンドに戻る-。二塁手として定着し、関東大会三連覇に貢献した昨秋以降も「チーム一の努力」(竹村選手)を続けた。

 そして臨んだ初舞台。三回と五回の守備では、いずれも一、二塁間を抜けそうな打球を好捕し、相手の同点の芽を摘んだ。竹村選手とは二遊間としても、1、2番コンビとしても、声を掛け合い連携を図った。

 試合後、「竹村との信頼関係が一番大事。次はゲッツーもどんどん決めたい」と力を込めた贄選手。二人の活躍は、これからだ。

(東京新聞埼玉版)

◇好プレーでチームに貢献 浦和学院・3年、贄隼斗選手

 1点リードで迎えた三回表。「何が何でも捕ってやる」。先頭打者の放った痛烈な打球に無我夢中で飛びつくと、白球がグラブに吸い込まれた。どよめくスタンド。「後輩の小島(投手)を助けたかった」

 静岡県島田市出身。地元の中学を卒業後、親元を離れて浦学に進学した。しかし練習の厳しさは想像を超えていた。「帰りたい」。1年の冬、家族に訴えると、父義孝さん(51)と母あや子さん(49)はこう諭したという。「今頑張らなくていつ頑張るんだ」。活躍する姿を2人に見せたいという一心で、練習に打ち込んだ。

 昨秋の公式戦は内野の要として活躍したが、球際の弱さも痛感したという。「もっと守備がうまくなって、チームに貢献したい」。この冬、下半身の強化に取り組み、課題を克服した。

 「今までやってきたことを大舞台で出せたのはうれしい。でもうぬぼれず、次も基本に忠実にプレーしたい」。表情を引き締め、前を見据えた。

(毎日新聞埼玉版)

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