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センバツV浦学、県内圧勝 高田豪快3ラン 春季高校野球県大会

◇浦学、徳栄下しV

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【写真】8回裏浦和学院1死三塁、服部の中犠飛で三塁走者西川が8点目の生還。捕手若月(埼玉新聞)

 春季高校野球大会最終日は5日、県営大宮球場で決勝と3位決定戦が行われ、選抜大会出場校同士の決勝は全国制覇した浦和学院が花咲徳栄に8-0で快勝し、4年ぶり10度目の優勝を飾った。

 浦和学院は一回、主砲高田が左翼席へ先制の3ランを放つと、五回には木暮の2点二塁打、六回にも西川のソロと贄(にえ)の中前打で2点。八回にも1点を追加した。先発山口は変化球の制球がさえ、被安打6で完封した。

 3位決定戦は鷲宮が埼玉栄を5-3で退けて浦和学院、花咲徳栄とともに関東高校大会(18~22日・栃木)の出場権を獲得した。

◇センバツV浦学、県内圧勝 高田豪快3ラン

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【写真】1回裏浦和学院1死一、三塁、高田が左越えに先制の3点本塁打を放つ。捕手若月(埼玉新聞)

 (5日、最終日・県営大宮)

 全国王者がその実力を見せつけた。浦和学院が決勝でともに選抜大会に出場した花咲徳栄に8-0で完勝し、4年ぶり10度目の優勝。甲子園3発男の主砲・高田が一回に先制3ランを放つと、右腕山口が6安打完封する隙のない戦いぶりだった。3位決定戦は鷲宮が埼玉栄を5-3で下し、7年ぶり4度目の関東大会出場を決めた。関東大会で浦和学院は日大三(東京)-作新学院(栃木)の勝者と、花咲徳栄はドクターK松井擁する桐光学園(神奈川)と19日の2回戦で激突し、鷲宮は18日の1回戦で霞ヶ浦(茨城)と対戦する。

◇際立つ王者の強さ

 戦いの場を甲子園から埼玉に移しても、やはり浦和学院の強さは群を抜いていた。

 花咲徳栄との昨秋から数えて3度目の決勝は完勝。打っては本塁打2本を含む12安打8得点、投げても先発の背番号10山口が6安打完封した。森監督は「一戦一戦の積み重ねで勝てることができた」とほっと一息ついた。

 準決勝で振るわなかった打線が、本来の輝きを取り戻した。一回1死一、三塁から主砲・高田が甘い直球を左翼席にたたき込む3ラン。甲子園でも見せた強烈な先制パンチで流れをつかんだ。五回には木暮が「コンパクトに振り抜く」と直球を左翼フェンス直撃の二塁打で2点を追加。攻撃の手を緩めず六回にも西川のソロなどで2点、八回にも1点を追加した。

 準決勝後の練習で、踏み込みの甘かったスイングを各自で修正した。主将の山根も「しっかり徹底でき、内容も良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 右腕山口も変化球の制球がさえ、強力打線を手玉に取り、相手に三塁すら踏ませなかった。

 3年連続で選抜大会に出場したが、一昨年は3回戦、昨年は8強で敗れた。今回は初の全国制覇を果たし、多くのファンの注目が集まる中で、4年ぶりの栄冠を勝ち取った意味は小さくない。

 森監督は選抜大会終了後から夏までの道のりを登山に例え「春の山を頂上まで登り切って一度、山を下らないといけない」と堂々と語っていた。

 その区切りの日を快勝で飾り、指揮官は「今日を境に、夏に向けての準備を進めていきたい」と力を込める。春よりもはるかに高い日本一の頂を目指し、浦和学院ナインが再び山を登り始める。

◇山口、6安打完封

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【写真】花咲徳栄打線を6安打完封した浦和学院の山口(埼玉新聞)

 この試合で一番燃えていたのはこの男だろう。

 昨秋決勝で花咲徳栄相手に1回を持たずにノックアウトされた右腕山口が6安打完封で借りを返した。しかも三塁すら踏ませず「苦い思い出があり、1点も取られないように投げました」と心地良さそうに汗を拭った。

 変化球の制球がさえ渡った。特に有効だったのが縦のスライダーと追い込んでからのチェンジアップ。内角へ強気に投げ切る直球にも精神的な成長の跡が見られ「信頼される投手になりたい」とさらなる高みを目指す。

◇甘い直球逃さずジャストミート

 選抜甲子園での3戦連発が記憶に新しい浦和学院の4番高田が、県営大宮では初となる豪快なアーチを左翼席にかけた。

 一回、味方が築いてくれた1死一、三塁の好機にカウント2-2から甘い直球をジャストミート。「フェンスが高いので打った瞬間は行くとは思わなかった」。言葉とは裏腹に打球はぐんぐん伸びスタンドまで到達した。

 「ホームランはたまたまです」といつものコメントを残したが、準決勝終了後、相手投手に対して打線が受け身になってしまった点を反省し「初回から攻めるウラガクの魂を見せたい」と悔しそうに語っていた高田。まさに有言実行だった。

 それでも本塁打後は3打席凡退に終わり、「外の変化球を振ってしまったのは課題」と笑顔はない。関東大会へ、「打てるチームづくりを目指す」と意気込んでいた。

◇西川、3安打固め打ち

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【写真】6回裏浦和学院無死、西川が左越えソロを放つ。捕手若月(埼玉新聞)

 選抜大会では正捕手だった西川が、今大会初スタメンで3安打の固め打ちと、大活躍を見せた。

 先頭で回ってきた六回の第3打席だった。「開かずにつぶして打つ」といつも通りバットを短く持ち、上から強くたたいた打球は県営大宮の左翼フェンスを越えた。

 だが公式戦初アーチにも「自分はそういうバッターではないので」とおごらず、持ち味の常に中堅へはじき返すイメージを忘れない。「全力で戦うだけ」と、関東大会でも攻守にひたむきに白球を追いかけるつもりだ。

◇徳栄「夏は勝つ」

 昨秋に見せた力強さと情熱はどこへ消えてしまったのか。花咲徳栄は投手陣が被安打12、8失点と炎上。岩井監督は「厳しい練習と日程の中で埼玉栄に勝ち、関東切符を取って満足したような気配があった」とナインに漂った緩みを指摘した。

 公式戦初先発の小山は4回3失点。「外の低めを狙った球が真ん中に入ってしまった」と、一回に高田にスタンドへ運ばれた失投を悔やんだ。浦和学院を得意としていた2番手小栗も「心の準備はできていたはずだが、どこかに動揺があった」と4失点に肩を落とした。

 昨秋の県、関東大会と合わせた浦和学院との対戦成績は1勝2敗。さらに今回は現時点でのチーム力の差を見せつけられる大敗を喫した。再び浦和学院に追い付き、追い越すためには小暮、関口を含めた投手陣の奮起が不可欠となる。

 指揮官は敗戦を糧に全国の頂点へ駆け上がった浦和学院を例に挙げて「負けて強くなることもある。夏につなげてくれれば」と期待を込める。

 2安打と孤軍奮闘した楠本は「次は自分たちが強くなる番。夏の埼玉大会で優勝することしか頭にない」と前を向く。夢の続きを見るためには、最強のライバルを破らなければならない。

◇打撃での不調 リードにも影響 若月

 浦和学院・高田の3ランに刺激を受けた主砲の若月だったが、終わってみれば単打1本。「どうしてヒットが出たかも分からない。何が悪いか、どうすればいいのか…」と弱気な表情。「県外の強豪からいろいろなことを学べれば」と関東大会での浮上を図る。

 打撃の不調がリードにも影響したのか、投手陣をけん引できず「相手の強さは分かっていたはずなのに」と悔しがる。チームの主軸として「練習のレベルから上げていきたい」とわずかな緩みも許さないつもりだ。

■決勝(5月5日)

花咲徳栄
000000000=0
30002201x=8
浦和学院

【花】小山、小栗、小暮-若月
【浦】山口-西川

▽本塁打 高田、西川(浦)
▽二塁打 木暮、西川(浦)

▽投手成績
山口(浦)9回、135球、被安打6、7奪三振、与四死球2、失点0、自責点0

小山(花)4回、 63球、被安打5、1奪三振、与四死球2、失点3、自責点3
小栗(花)2回、 48球、被安打5、1奪三振、与四死球1、失点4、自責点4
小暮(花)2回、 28球、被安打2、1奪三振、与四死球0、失点1、自責点1

【浦和学院】
⑥竹 村4-2-0
④ 贄 3-1-1
⑧山 根3-2-0
⑤高 田4-1-3
③木 暮4-2-2
⑨斎 藤3-0-0
②西 川4-3-1
①山 口2-0-0
⑦服 部3-1-1

(打数-安打-打点)

安 打:浦12、花6
失 策:浦0、花0
三 振:浦3、花7
四死球:浦3、花2
犠 打:浦5、花0
盗 塁:浦0、花1
併 殺:浦0、花0
残 塁:浦6、花7

 浦和学院が12安打8得点で花咲徳栄に完勝した。1回に高田が左翼席へ先制3ランを放ち主導権。5回に木暮が2点適時打、6回には西川のソロ本塁打などで加点した。先発山口は緩急巧みにコースを突き、6安打完封。花咲徳栄は投手陣が打ち込まれ、打線も連打が出なかった。

(埼玉新聞)

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