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浦和学院、2年連続V 聖望学園にサヨナラ勝ち 春季高校野球県大会

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【写真】サヨナラ二塁打を放った木村(5)を大喜びで迎える秋山(中央奥)ら浦和学院ナイン=4日、県営大宮球場

 春季高校野球県大会最終日は4日、県営大宮球場で決勝が行われ、浦和学院が聖望学園に延長十一回、4-3でサヨナラ勝ちし、2年連続11度目の栄冠に輝いた。浦和学院と聖望学園は関東大会(17~21日・神奈川)に出場する。

 3-3の延長十一回2死一塁、木村の一打が左中間を破り、一塁走者秋山が生還すると、ここ最近では見たことがないぐらい、浦和学院ナインは喜びを爆発させた。

 それだけこの冬は、いろいろな意味で苦しかった。

 昨年の9月26日、秋季県大会3回戦で本庄第一に延長十一回の末、2-3で破れ、4年連続を狙った選抜大会出場を逃した。この大会、チームはけが人が続出した上に、選抜優勝投手のエース小島も夏の疲れが尾を引き、いつもの腕振りとは程遠かった。代名詞の直球もはじき返された。森監督が「かわいそうだった。神様が『勝つな』と言ってる」と感じるぐらいどん底だった。

 しかも選抜大会を制した前チームと、どうしても比べられる。今の最上級生は、昨夏の甲子園メンバーは小島だけと、常に歯がゆい思いをしてきた。当時の3年生に隠れて「2年生は自覚がない」とも言われ続けた。それでも自分たちを見詰め直し、何事にも毎日必死に食らい付いた。「努力を積み重ねて階段を上っていくしかない」と主将の土屋。メンタル面も含め、主にトレーニングを担当する田中コーチは「3年生の“やる気スイッチ”が入ってきた」と精神面の変化を語る。

 この日は、力投した小島を筆頭に五回の逆転打を放った石森、サヨナラ劇の口火を切った秋山、そして試合を決めた木村は全て3年生。小島は「『弱い、弱い』と言われたチームでも優勝できることを見せたかった」と拳を握る。

 ただあくまで本当の戦いは夏。小島も「これで終わりじゃない」とすぐさま引き締める。埼玉を勝ち抜く正真正銘の力をつけるべく、浦和学院ナインは関東でも一戦必勝を貫く。

◇勝負どころ逃さずサヨナラ!!浦学V2

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【写真】延長11回裏浦和学院2死一塁、木村が左中間を破るサヨナラ二塁打を放つ。捕手小金井

 (4日・県営大宮)

 決勝が行われ、浦和学院が聖望学園に延長十一回、4-3でサヨナラ勝ちして2年連続11度目の栄冠を獲得した。

 浦和学院は1点を追う五回に石森の2点打と敵失で3点を奪い逆転。六回に追い付かれた後、延長十一回に木村が左中間越えの決勝二塁打を放った。六回2死から登板した2番手小島は、捕逸と失策で同点にされたが、その後は無失点に抑えた。

 浦和学院と聖望学園は関東大会(17~21日・神奈川)に出場。県勢はともに17日に登場し、横浜スタジアムで、浦和学院は山梨2位、聖望学園は神奈川3位とそれぞれ初戦を争う。

◇春に芽生えた若葉

 まるで甲子園出場を懸けたような白熱の決勝だった。互いに一歩も引かない展開。春とは言え、浦和学院はエース小島がマウンドに立った以上、絶対に負けられない。そしてサヨナラできっちり勝った。

 1点を追う五回。初めてつかんだ2死二、三塁の好機に、石森の2点中前打と敵失で3点を奪い逆転した。六回に先発岸が1点を返され、なおも2死二塁のピンチで小島を投入した。だが代打野瀬をスライダーで空振り三振に仕留めたが、田畑が捕逸。振り逃げを刺そうとした一塁への送球がそれ、追い付かれた。

 その後、聖望学園の2番手松本を打てず、延長十回まで無安打と押さえ込まれた。それでも延長十一回、2死走者なしから秋山が左前打で出塁すると、途中出場の木村が初球の直球を左中間へはじき返し、熱戦に終止符を打った。

 4年ぶりに選抜出場を逃したが、逆にもう一度足元を見つめ直し、徹底的に鍛えるという意味で貴重な7カ月になった。

 オープン戦が解禁となった3月から公式戦を含め、この日が53試合目。ノーシードで挑んだ今大会は1回戦から決勝までほぼ中1日、10日間で6試合を戦い抜き、1点差勝ちが3試合。昨秋に比べて、実戦の中で格段に勝負強さが養われた。

 森監督は現時点の手応えを「春先に若葉が芽生えた。でも大きな花を咲かせるにはもう少しかかる」と語る。表れた成果、見つかった課題、全てが収穫となる春となった。

◇無心でバット一閃 木村

 「打った瞬間、いった(抜けた)なと思った」というほど左中間を抜ける会心の当たりだったのに、感触は覚えていない。それほど、木村は無心で左打席に立ち、無心でバットを振った。

 延長十一回2死一塁、初球だった。「秋山が出てくれたので後ろにつなごうと思っていた」。変な力みが消え、狙っていた外角の直球に素直にバットが出た。打球は左中間を真っ二つにするサヨナラ二塁打となった。森監督が「よく打ってくれたね」とうなずいた値千金の一打が、浦和学院を2年連続の頂へ導いた。

 今大会、背番号5を付けながらも2回戦から後輩の臺に三塁手の先発の座を譲っていた。この日もベンチスタート。九回1死で代打出場したが、二ゴロ。それだけに「1桁番号をもらっているし、好機で回ってきたので生かそうと思った」と胸をなで下ろした。

 今春の選抜大会にチームを代表し、優勝旗の小島とともに優勝杯を返還した。晴れて全員で戦いに行ける関東の舞台へ、「チャンスが来たら打ちたい」と、もうひと暴れを誓った。

◇小島「1球を大切に」

 「あのイニングまで仲間たちがつくってくれたのに。ゼロで抑えないといけなかった」と小島。3-2の六回2死二塁でマウンドに上がった。低めのスライダーで空を切らせたが、捕逸と一塁への悪送球で失点。結果的に同点に追い付かれたことをまずは反省した。

 この状況でも、すぐに気持ちを切り替えた。味方の援護を信じて、粘り強く投げる。延長十回1死二塁では相手4番に対し、「ここが勝負どころ。1球をより大切に投げた」と十分に間を取り三ゴロに打ち取り、後続も抑えた。十一回は三者凡退に切って取り、サヨナラ勝ちを呼び込んだ。

 優勝にも表情はいつもの通り。「試合展開はどうであれ、勝てたことに意味がある。でも課題も出た。これで終わりじゃない」。エースらしく気を引き締めていた。

◇左の好打者がサヨナラ演出 6番秋山

 サヨナラ打を演出したのは6番秋山だ。

 延長十一回2死走者なしから「小島を助けたいと思った」と直球を左前にはじき返して出塁すると、木村の二塁打で歓喜の生還。五回にも中前打を放っており、好左打者らしく体に巻きつくようなスイングからきれいな打球を生み出した。

 関東大会へ「一つ一つ、目の前のことを全力で、勝ちたい」と力強く見据えていた。

◇好機で勝負強さ 直球を狙い打ち 9番石森

 浦和学院の9番石森が勝負強さを見せた。

 0-1を追う五回2死二、三塁の好機に「打たないと、流れを持ってこられない」。3球連続スライダーの後、張っていた直球をたたくと、高く跳ねたゴロが中前へ抜けていき2者が生還した。

 前日は無安打に終わっていたこともあり「9番として何としても塁に出ないといけない」と満足しない背番号8。この言葉を関東でも体現する。

■春季県大会決勝(5月4日)

聖望学園
10000200000 =3
00003000001x=4
浦和学院
(延長11回)

【聖】中村碧、松本-小金井
【浦】岸、小島-田畑

▽二塁打 大野、中村郁(聖)木村(浦)

【投手成績】

中村碧(聖)6回2/3、93球、被安打6、1奪三振、与四死球0、失点3、自責点2
松 本(聖)4回、56球、被安打2、1奪三振、与四死球2、失点1、自責点1

 岸 (浦)5回2/3、85球、被安打4、3奪三振、与四死球2、失点2、自責点2
小 島(浦)5回1/3、70球、被安打4、3奪三振、与四死球0、失点1、自責点0

【打撃成績】

▽浦和学院
⑤8 臺 3-0-0
④ 土 屋5-0-0
⑥ 津 田5-0-0
② 田 畑5-0-0
③ 山 崎5-2-0
⑨7秋 山5-2-0
⑦ 酒 本3-1-0
H5木 村2-1-1
①  岸 1-0-0
1 小 島2-0-0
⑧9石 森4-2-2

▽聖望学園
④ 菊 池5-1-0
⑥ 津 田1-0-0
H 小 泉0-0-0
R5枝 松2-1-0
⑤6大 野3-1-1
⑦3玉 谷5-1-0
⑨ 中村郁4-2-1
③ 坂 本2-0-0
7 綿 貫0-0-0
H 野 瀬1-0-0
R7徳 永0-0-0
H 上 野1-0-0
7 田 島1-0-0
② 小金井5-1-0
① 中村碧3-0-0
1 松 本2-0-0
⑧ 松 並4-1-0

(打数-安打-打点)

安 打:浦8、聖8
失 策:浦2、聖2
三 振:浦2、聖6
四死球:浦2、聖2
犠 打:浦1、聖3
盗 塁:浦1、聖1
併 殺:浦0、聖1
残 塁:浦7、聖8

 浦和学院が少ない好機をものにし、聖望学園にサヨナラ勝ちした。

 浦和学院は3-3の延長十一回、2死から秋山が左前打で出塁すると、続く木村が左中間を破る決勝二塁打を放った。エース小島は六回途中から登板。味方のミスで同点とされたが、その後は球威のある直球を武器に無失点に抑えた。

 聖望学園は2点を追う六回に中村郁の左翼線適時二塁打、野瀬の三振振り逃げと敵失で同点に追い付く粘りを見せた。しかしその後は得点できず、好投した2番手松本も最後に力尽きた。

(埼玉新聞)

◇つなぐ意識で決勝打

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【写真】延長11回裏浦和学院2死一塁、木村の二塁打で一塁走者秋山が生還。捕手小金井=県営大宮

 勝利を引き寄せたのは、浦和学院・背番号5の木村聡一郎選手(3年)だった。9回に代打で登場したが二ゴロに倒れた。2度目の打席は、11回裏2死一塁で回ってきた。森士(おさむ)監督に「お前が打ってこい」と送り出された。次打者につなぐ意識で、外角に来た球を逆らわずに左へ。打球は左中間を抜け、一塁走者が生還。聖望学園を振り切った。

 「打った瞬間はよく覚えていないけど、うれしい」。県大会に入って、なかなか先発出場の機会が得られなかったが、最後に結果を残した。「またチャンスが来たら絶対に打ちたい」。関東大会に向け、準備は整っている。

(朝日新聞埼玉版)

◇スランプ越えて決勝打 木村聡一郎選手(3年)

 延長十一回2死一塁。外角に来た直球を思い切りたたくと、打球は左中間を抜けた。劇的なサヨナラ。ベンチから飛び出してきた仲間に迎えられると、拳を振り上げて喜びを爆発させた。

 昨秋から一桁の背番号を背負っていたが、思うように打てず最近は試合に出るチャンスが減っていた。悔しかった。それでも腐らず「試合に出ている人が最大限のパフォーマンスができるように」と、ベンチで人一倍声を張り上げた。練習でも少しのすき間時間も無駄にせず基礎練習を重ねた。

 森士監督は試合後、「試合に出られなくても腐らずコツコツ努力してきた選手が成果を出してくれたことで、チームによい効果があるはず」と期待した。

 関東大会に向け「新チームになってから小島(和哉投手)におんぶにだっこのチームと言われてきたが、小島だけじゃないことを見せたい」と力強く話した。冬を越えた新芽が芽吹くように、顔に笑みが広がった。

(毎日新聞埼玉版)

◇浦学公式ホームページより

 今日の先発は岸投手。初回に連続ヒットで先制される。5回に逆転するが、すぐにパスボールで同点に追いつかれる。マウンドはエース小島。3対3のまま、延長戦に突入。

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 センター後方の空には、虹が。この日は夕方にも葛飾区で虹を見ることができた。結果論だが、一日2回虹を見れる幸運な者はいないであろう。延長戦に突入するが、負ける気はしない。

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 延長11回、先頭の6番秋山がレフト前ヒット。続く木村は途中出場。相手投手が下手投げであり、8回に代打で出場し、そのままサードの守備へ。前打席に簡単に初球をファールフライした秋山が逆らわずレフト方向を狙う。真面目に練習を積み重ねた木村が打席に立つ。踏み込んで左中間を破るサヨナラ打だ!!

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 サヨナラ勝ちにスタンドは大賑わい。2年連続11回目の県大会制覇だ。人によっては「春は通過点、勝たなくても」などと野球関係者は話す。しかし、目の前の戦いを全力で行い、浦学は夏の第1シードを獲得した。森監督は絶対に妥協しない。春も夏も秋も、選手にとっては大切な1年だから…。

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