高め合う力・埼球のみち 浦和学院「チーム成長へ仲間意識を」

◇失敗、責任 全員で共有
打撃指導する森監督(左)と中村コーチ(右)=さいたま市

打撃指導する森監督(左)と中村コーチ(右)=さいたま市

 「勝ちたくないのか!」

 ノックをする中村要コーチ(41)の手が止まった。

 怒気のこもったその声が向けられたのは、エラーをした選手ではない。ミスを見ても黙っていた、控え選手も含めた練習中の選手全員だ。「失敗を指摘しあって、共有しなければチームを裏切ることになる」と話す中村コーチにとって、優勝を逃した昨夏の記憶はまだ新しく、苦い。

 現チームになって公式戦の敗戦は、昨秋の神宮大会と今春の選抜の2敗だけだ。だが、昨夏の敗戦が節目節目で尾を引いているという。

 2013年選抜大会の優勝投手を擁しながら、まさかの埼玉大会3回戦敗退。エース一人にプレッシャーがかかっていた。「レギュラーだけがチームじゃない。失敗はチーム全員で向き合う」。この時、中村コーチが得た教訓だ。

 社会人野球を経て、浦和学院のコーチに赴任して6年目。「もっと選手といる時間を増やしたい」と苦学の末、教員免許を取得。昨年から社会科の教諭として、部員たちと教室でも向き合う。練習だけではわからなかった選手らの日常を観察し、アドバイスできる強みがある。

 「(選手の)足元の私生活から変えていく必要がある」。責任感と仲間意識のあるチーム全体の成長を目指す。

 4強に終わった今春の選抜大会。昨秋の神宮大会で10-0と快勝した東海大四(北海道)に、準決勝で1-3と敗退。2年ぶりの優勝は、指の間をすり抜けていった。森士監督(51)は「裏付けのない『勝てるんじゃないか』という思い込みがあった」と振り返る。

 選抜大会後、頻繁にベンチ入りメンバーを入れ替えた。春の関東大会では新たに5人がベンチ入りした。だが、その5人のうち、夏の埼玉大会の登録選手に残ったのは3人。常に競争する環境に置くことで「活性化を図る」狙いがあるという。

 ただ、あくまでチームのまとまりは忘れない。主将も春の関東大会後、津田翔希選手(3年)から、渡辺亮太選手(同)に変わったが、その意図は「プレーの主将=津田」「精神面の主将=渡辺」の役割分担だ。

 森監督は言う。「『浦学』の名前でつぶされるか。プレッシャーをはねのけて生かすことができるか」。昨夏を乗り越えた時、全国制覇が見えてくる。

(朝日新聞埼玉版)

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