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浦和学院、重圧退け本領発揮 きょう準決勝 第97回全国高校野球埼玉大会

 (25日・県営大宮ほか)

 第11日は2球場で準々決勝4試合を行い、浦和学院、白岡、松山、花咲徳栄がそれぞれ勝って4強に進出。ベスト4入りはAシード浦和学院が2年ぶり、松山は24年ぶり、白岡は初、Cシード花咲徳栄は4年ぶり。

 松山は1点を先行された直後の四回2死一、二塁、鈴木の中前適時打と敵失で2点を奪って逆転に成功。投げては5試合続けて先発のエース左腕北島が1失点完投。八回1死二、三塁の窮地も後続を空振り三振、左飛に仕留めた。

 白岡は6-9の八回無死満塁から谷中の適時打などで2点を返して1点差とし、大木の遊ゴロが敵失を誘って2者が生還した。浦和学院は15安打14得点で熊谷に快勝。花咲徳栄は西武文理に6-1と上位シードの意地を見せた。

 第12日は26日、県営大宮球場で浦和学院-白岡(10時)松山-花咲徳栄(12時30分)のカードで準決勝が実施される。

◇対策徹底 右腕を攻略 浦和学院
浦和学院-熊谷 3回裏浦和学院2死二、三塁、諏訪が右越えの2点適時三塁打を放つ=県営大宮

浦和学院-熊谷 3回裏浦和学院2死二、三塁、諏訪が右越えの2点適時三塁打を放つ=県営大宮

 大観衆の重圧もなんのその。浦和学院の強力打線が15安打14得点と本領発揮し、勢いに乗る伝統校をのみ込んだ。内角球はファウルで粘り、外の変化球をしっかり踏み込んで中堅方向へ。徹底してきた対策通り、熊谷の右腕中村を攻略した。

 一回に敵失で先制点を得ると、なおも無死一、三塁から高橋が中越えの2点三塁打。荒木の中前適時打、西野のスクイズと続いて5点をもぎ取った。高橋は「プレッシャーの中でも練習してきたことが発揮できた」と大粒の汗を拭った。

 毎回得点で今大会初の五回コールドに仕上げ、投手陣の消耗も最小限に抑えた。森監督は「連戦となる準決勝に向けて、(投手陣を)浪費せずに済んだのは願ったりかなったり」と歓迎した。

 2回戦から地力のある公立勢との戦いが続く。「相手スタンドから100年の歴史を感じた。エネルギーをもらって次に向けて頑張りたい」と森監督。先発した左腕小倉も「試合後には頑張れと声を掛けてもらった」。打ち破ってきたチームの思いまでも力に変え、頂点へと突き進む。

◇1番打者諏訪が4安打4打点

 リードオフマンの諏訪が4安打4打点の固め打ち。軸を意識したシャープな打撃で、チームに勢いを呼び込んだ。「1打席目から流れをつくれたので、結果的に良かった」と振り返った。

 1打席目に中前打で先制点のきっかけをつくると、2打席目も先頭で出塁。3、4打席目はそれぞれ、走者一掃の2点適時三塁打を放った。これで5試合計20打数12安打。打線にリズムをつくっている。「多くの人の支えで野球がやれている。結果を出すことが恩返し」と充実感に包まれていた。

◇応援背に闘志衰えず 熊谷
準決勝進出を逃した熊谷ナインにスタンドの大応援団から大きな声援が送られた=県営大宮

準決勝進出を逃した熊谷ナインにスタンドの大応援団から大きな声援が送られた=県営大宮

 一回1死二塁の好機に3、4番が凡退。33年ぶり8強の躍進の陰に過去毎4試合遂行してきた一回の先制点が奪えず、歯車が狂い始めた。ファウルで粘るが二ゴロに倒れた4番三井は「食らい付いていくつもりだったのに。切れのある変化球を引っ掛けてしまった」。一度遠のいた流れは、最後まで引き戻せなかった。

 「前の試合は外の球を打ち返した。相手が攻めてくる内角を狙え」。須藤監督の指示通り、3安打は全て右打者の左方向。粘りに加えた緻密さで随所に熊高らしさを発揮するが、センバツ4強の壁は厚かった。二回2死二塁、左前打で好機を広げた鈴木凌は「コースをしっかり投げ分けてくる。甘い球は絶対に見逃せなかった」と、必死に食らい付いた直球の手応えを思い返した。

 点差が離れても勢いを増すスタンドを背に、ナインも闘志を貫いた。1番永田は初回の死球、三回の内野安打ともに三進し得点に迫るが、「冷静さを失い、変化球を振ってしまって」と泣き崩れ、最後の打者になった三振ばかりを何度も悔いた。

 「一人一人の能力は高くないが、個々が集まると大きな力を発揮する」と選手が口にする熊高野球。飯野主将も「自分たちの力を出せたのは応援のおかげ」と創部100年目に示した存在感の一因を強調した。「この8強は101年目に絶対つながっていく」。須藤監督は真っ赤な目で堂々と言い切った。

◇躍進支えた右腕 達成感と悔しさ 熊谷

 創部100年の勢いもここでついえた。躍進の原動力となったエース中村は一回、4安打を浴び3失点。1死も取れずマウンドを降りた。須藤監督は「中村のボールが甘く高めに入ってしまった」と悔しさをにじませる。中村は「打たれた瞬間、戦ってきた他のチームとは全く違った」と振り返る。

 33年ぶりの快進撃は終わったが、伝統校の活躍は大会を盛り上げた。エースは「ここまできた達成感と悔しさ両方ある」と複雑な思いを吐露した。

◇きょう準決勝

<不用意な失策禁物 浦和学院-白岡>

 3回戦から4試合連続逆転勝ちで勢いに乗る白岡と、投打で地力に勝る浦和学院の顔合わせ。

 初4強の白岡は終盤の粘りを生かすためにも、谷中、永島の両右腕が接戦に持ち込んで勝機を見いだしたい。積極的な打撃で得点を重ね、とにかく相手を慌てさせたい。失点につながる不用意な失策も禁物だ。

 浦和学院は5回戦で15安打14得点と爆発した打線が序盤から投手陣を援護したい。5回戦、準々決勝と同様、左腕小倉の先発から継投含みの投手起用が予想される。

<連投エースに託す 松山-花咲徳栄>

 打線の状態が上向いてきた花咲徳栄に、松山のエース左腕北島が挑む。

 5試合全てで先発している北島の疲労は不安材料だが、バックの堅守と打線の援護でエースを盛り立てたい。ワンチャンスをものにした準々決勝同様、時折制球が乱れる相手右腕鎌倉の隙を突きたい。点取り合戦では分が悪く、接戦に持ち込むことが必須条件だ。

 昨秋は10-2と快勝している花咲徳栄は、右腕鎌倉から2年生左腕高橋につなぐタイミングが重要。機動力を絡めて序盤から攻め立てたい。

(埼玉新聞)

◇初回に猛攻の口火 4打点、浦学・諏訪選手

 14-0。コールド勝ちで4強入りが決まった瞬間も、浦和学院の選手たちは「まだ喜ぶところではない」と、すみやかに本塁に向かい整列した。今春選抜で4強入りした強豪が目指すのは、昨年果たせなかった夏の栄冠のみだ。

 猛攻は一回から始まった。先頭打者の諏訪賢吉選手(2年)が中前安打で出塁すると、熊谷の先発中村投手の不安定な立ち上がりを攻め一挙5得点。熊谷を相手に、計15安打と圧倒的な打力を見せつけた。投げては小倉匡祐投手(3年)、榊原翼投手(2年)、エース江口奨理投手(3年)の盤石のリレーで無失点に抑えた。

 4打数4安打4打点と大当たりの諏訪選手は、「これまで支えてきてくれた人に恩返しするには優勝しかない。一戦必勝で次も勝ちます」と気を引き締めた。

(朝日新聞埼玉版)

 試合結果
 準々決勝 7月25日(県営大宮球場)
TEAM123456789HE
熊谷00000    032
浦和学院5126x    14150
【浦】小倉、榊原、江口-西野【熊】中村、稲毛田、平田、三井-飯野
▽三塁打:高橋、諏訪2(浦)▽二塁打:津田、燈中、臺(浦)
 浦和学院打撃成績
位置選手名打数安打打点
諏訪444
321
津田330
高橋213
荒木322
H7鈴木100
山崎210
渡邊211
西野001
小倉200
1榊原000
H燈中111
R水岡000
1江口000
231513
 熊谷打撃成績
位置選手名打数安打打点
永田210
鈴木悠000
須合200
⑧1三井200
飯野210
坂田200
曾田200
鈴木凌110
H100
中村000
1稲毛田100
1平田000
8井田000
H浅見100
1630
 投手成績
TEAM選手名球数被安打奪三振四死球失点/自責
浦和学院小倉3603410/0
榊原1140100/0
江口1130300/0
熊谷中村0/3214025/4
稲毛田3 1/3445014/4
平田1/3204015/4
三井1/3162010/0
TEAM三振四死球犠打盗塁失策併殺残塁
浦和学院0541006
熊谷8121204

 15安打14得点と打線が爆発した浦和学院が熊谷に快勝した。

 浦和学院は一回に敵失で先制すると、なおも無死一、三塁から高橋の中越え2点三塁打、荒木の中前適時打など打者9人の猛攻で計5得点。四回にも燈中、諏訪、臺の3連続適時打などで6点を奪って突き放した。

 熊谷は散発3安打と打線が振るわず、一回途中で降板した右腕中村も5回戦までの連投で疲労の色が濃かった。

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