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夏彩った伝統校の躍進 今大会を振り返る

 Aシード川越東、昨夏王者の春日部共栄が3回戦で敗れ、選抜大会4強の浦和学院が決勝を目前に涙をのむなど、中盤戦から波乱が相次いだ今大会。終わってみれば、浦和学院に次ぐ総合力と高い評価を得ていた花咲徳栄が4年ぶり3度目の栄冠に輝いた。

 花咲徳栄はプロ注目の大滝を主軸に据えた機動力のある打線が猛威を振るった。小技を絡めて効率的に得点した春日部工戦、2-2の九回に連打で一挙5得点した埼玉平成戦など、攻撃の多彩さが際立った。エース右腕鎌倉から2年生左腕高橋につなぐ継投も盤石だった。準決勝まで6試合を5点差以上の快勝で勝ち上がり、白岡との決勝では強固な守備で勝利を手繰り寄せた。

 公立校の躍進を象徴した白岡の決勝進出は全てのチームを勇気づけた。谷中、永島の両右腕は強豪に対しても自らの持ち味を存分に発揮。これまで4回戦(ベスト32)が夏の最高成績で、昨秋、春と公式戦未勝利だったチームの快進撃には胸を熱くさせられた。

 選抜大会4強で今大会でも大本命に推された浦和学院は準決勝でまさかの敗退。全国レベルの好投手を次々と打ち砕いてきた打線が、白岡戦では6安打1得点と沈黙した。あらためて、追われる重圧の中で勝ち続けることの難しさを痛感させられた。

 伝統校の躍進も夏を彩った。エース左腕北島を軸に24年ぶりの4強に進んだ松山は磨き上げた集中打を武器に、5回戦で本庄第一、準々決勝でBシード聖望学園を撃破。熊谷も優勝した1982年以来33年ぶりの8強入り。緩急巧みに朝霞、慶應志木のシード勢を連破した右腕中村の投球はOBたちにも夢を与えた。

 8強では全5試合を一人で投げ抜いた聖望学園のエース松本が抜群の安定感で輝きを放った。多くの2年生が経験を積んだ西武文理は新チームに期待。若生正広氏が監督に復帰した埼玉栄も復権への礎を築いた。

 川越西-朝霞西は延長十五回引き分け再試合の末、2日間、6時間51分にわたる熱戦となった。昨年4月にグラウンドを失い、部員の募集を行わず3年生17人で夏に挑んだBシード成徳大深谷の戦いぶりにも心を打たれた。

(埼玉新聞)

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