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 第69回春季関東高校野球大会最終日は24日、茨城県の水戸市民球場で決勝を行い、県大会5連覇の浦和学院が東海大相模(神奈川1位)を3-2と逆転で下し、2年ぶり6度目の栄冠を獲得した。

 浦和学院は二回、秋山の中前適時打で先制点したものの、五回に失策から同点とされ、七回に逆転を許した。しかし、八回、1死満塁の好機を築き、本田の左前打で同点に追い付き、続く佐野のスクイズで決勝点を挙げた。

 甲子園出場が懸かる夏の全国高校選手権埼玉大会に向け、投打に収穫の多かった今大会。森監督は「夏に向けて個人の打力アップはもちろんだが、『自己責任』『仲間意識』をチームに植え付け、打線の得点力を伸ばしたい」と意気込む。

 主将の赤岩は「森先生に教わったことを発揮できて優勝できた。夏に勝つには地力が必要。先輩たちがしてきた悔しい思いを晴らしたい」と4年ぶりの夏の甲子園出場へ向け、決意を新たにした。

夏へ勝利の方程式

8回表から登板した浦和学院の左腕佐野

 執念が生んだ逆転劇だ。浦和学院は1-2の八回、本田の適時打と佐野のスクイズで試合をひっくり返した。終盤までもつれた一戦を制し、森監督は「理想通りのロースコアの展開。好ゲームだったね」と2年ぶりの栄冠を獲得し納得の様子で振り返った。

 八回、先頭の3番家盛が安打で出塁。さらに四球二つで1死満塁の絶好機を迎えた。打席にはこれまで3打席連続で凡退だった7番本田。果敢にバットを振り初球をファウルとし、カウント1ボール1ストライクの3球目。高めのスライダーに合わせるようにバットを出し、打球は左翼手の前へぽとりと落ち同点とした。

 「いろいろなパターンがある勝ち方を構築するため勝負にこだわった」(森監督)。なおも満塁で8番佐野は3球目をスクイズ。高めの直球を執念で転がし、三塁走者山本を迎え入れた。森監督は「1点を取る形を崩さずにやり通した」と夏の大会も見据え、勝利に徹したと明かした。

 関東で勝ち切った春の収穫はとてつもなく大きい。地区大会を除く計9試合でコールド勝ちは一度もない。しかも、県大会2回戦の聖望学園戦では九回2死から逆転勝ちし関東王者までこぎ着けた。主将の赤岩は「負けたと思ったところから勝ち続けられたのは大きい」と手応えを口にする。

 打撃力を含めた得点力には課題を残したが、接戦を投げ抜いてきた2年生投手陣は大きな自信も得た。6度目となる関東王者の名を引っ提げて挑む集大成の夏。森監督は「もう一度、基礎基本を見直して戦いたい」。4年ぶりの夏の甲子園へ。浦学ナインはこの結果に満足することなく突き進んでいく。

劣性覆す4奪三振 佐野

8回裏浦和学院1死満塁、佐野が決勝スクイズを決める

 「流れを呼び込もうと、なんとかしたかった」。薄氷の勝利を手繰り寄せたのはやはりこの左腕だった。八回からリリーフした浦和学院の佐野が4奪三振と東海大相模打線を封じた。関東大会はリリーフで4連投となった左腕は「縦のスライダーに相手が全く合ってなかった。自信になる」と汗を拭った。

 劣勢だったチームを生き返らせる投球だった。八回を三者凡退に切って取るとその裏の攻撃。本田の適時打で同点に追い付き、自らのスクイズで再逆転に成功した。「決められて本当に良かった」と笑顔を見せる。

 九回も打たれる気配はみじんもない。相手の3、4番にスライダーを多投し連続三振に切り、最後の打者は2球で二ゴロと簡単に打ち取った。「逆転できて気分良く投げられた」と相手の中軸にも付け入る隙を与えなかった。

 急成長を遂げる2年生投手陣の中でも、存在感は頭一つ抜けている。夏の大一番へ向けて最速141キロの左腕は「先発して完投できるように緩急をつけたピッチングができるようになりたい」と進化し続ける。

意外性の男 窮地救う 本田

 森監督の言う「意外性のある男」の一打がチームの窮地を救った。八回に同点となる適時打を放った7番本田は「とにかく負けたくない一心だった」と拳を握った。

 八回1死満塁の好機。これまで13打数1安打と不振にあえいでいたが「開き直った」。初球から果敢にバットを振りタイミングを計ると「しっかり踏み込めている」。打てるイメージをつかんだ。迎えた3球目。高めに浮いたスライダーを上からたたき、左前へ同点の適時打を放った。

 “意外性”を言い換えればラッキーボーイということだろう。県大会の2回戦の聖望学園戦でも九回に決勝の適時打を放つなど勝負強さも備える。森監督も「関東大会で全く打てなかったが、最後に執念を見せてくれた」とつなぎの7番打者を評価した。

際立つ存在感 チームに勢い 6番秋山

 二回に先制打を放った浦和学院の6番秋山。無死から山本が三塁打を放ち好機を築き、カウント2ストライクと追い込まれた場面から高めに甘く入った直球を力強く振り抜いた。「転がしたら1点入る。間を抜けてくれた」と二遊間をしぶとく破り得点を奪った。

 今大会は横浜戦でも先制二塁打を放つなど得点源としての存在感が際立つ。夏の大会へ向けて、勝負強い6番打者は「バントやエンドランなど各自が状況に応じた打撃をできるようになれれば」と高みを見据えた。

(埼玉新聞)

勝利へ強い思い 流れ呼ぶ同点打 浦学・本田選手

 1点を追う八回裏。相手投手が交代し、「立ち上がりを狙え」と森士(おさむ)監督の指示が飛んだ。安打と2四球で1死満塁の好機を作ると、本田渉選手(3年)に打順が回ってきた。

 前の3打席は凡退。「何でも良いから思い切り振ってやる」と初球、高めのボール球を振ってファウル。冷静になって2球目のボールを見送った後の3球目、甘く入ったスライダーを振り抜いた。「ここまで来たら絶対に負けたくなかった」。勝利への強い気持ちが詰まった打球は遊撃手の頭上を越え、左前へ。同点打で流れを引き寄せ、直後の逆転を導いた。

 7番打者だが常に打席で意識するのは「自分が点を取りに行く」こと。森監督も「意外性のある選手」と評する。打率こそ高くはないが、大事な場面で打ってくれる――。そんな期待を込める。

 冬場はティー打撃で左右に打ち分ける技術を磨くなど「毎日2千回くらいバットを振り込んだ」。努力のたまものの一打が、関東制覇を呼び込んだ。

(朝日新聞埼玉版)

夏までに体力を

 浦和学院と東海大相模は練習試合を行うなど「互いに高め合える存在」(浦和学院の森士監督)。4月の練習試合では2試合とも浦和学院が競り負けており、この悔しさを優勝につなげた。抑えとして八回に登板し、最後は1点差を守りきった佐野は「練習試合で打たれた縦のスライダーで三振を取れた」と笑みを見せた。だが、両監督が見据えるのは、あくまでも夏の大会。森監督と東海大相模の門馬敬治監督は「夏までに体力をつけたい」と声をそろえた。

試合の流れつくれた 浦和学院2年・近野佑樹

 最高の舞台で先発を任され、5回を被安打2、1失点に抑えた。「先発のマウンドはいつも緊張する。初回に点を取られてはいけないと思った。試合の流れをつくることができて良かった」とホッとした表情で話した。

 森士(おさむ)監督は「制球力があった。右打者にも左打者にもしっかり投球できていた」と評価した。

 優勝にも浮かれる様子はない。二回表、東海大相模の5番打者・門馬に中前安打を打たれた場面。「投げ急いで甘い球になってしまった。自分のリズムで投げられるようにしなければ」と気を引き締めた。失投を少しでも減らすのが夏に向けた課題だ。

 六回からは同じ2年生投手の渡辺、佐野がマウンドを引き継ぎ、相手打線を2安打に封じ接戦をものにした。近野は「2人につなげるまで試合をつくろうと思って投げた。ずっと一緒にやってきて、頼りになる仲間です」と笑顔を見せた。

(毎日新聞埼玉版)

 試合動画

8回裏、浦学の攻撃

無死一、二塁で山本は犠打も三塁アウト。1死一、二塁。秋山は四球で1死満塁。本田の左安で同点に追いつく。1死満塁から佐野はスクイズ成功で3-2と逆転。

閉会式 選手行進

(浦学公式ホームページ)

 試合結果
 決勝 5月24日(水戸市民球場)
TEAM 1 2 3 4 5 6 7 8 9 H E
東海大相模 0 0 0 0 1 0 1 0 0 2 4 0
浦和学院 0 1 0 0 0 0 0 2 x 3 11 1
【浦】 近野、渡邉、佐野-秋山
【東】 秋田、大和田、安里-山田翔
山本(浦)
 浦和学院打撃成績
位置 選手名 打数 安打 打点
矢野 4 2 0
杉山 4 1 0
家盛 4 2 0
蛭間 3 1 0
山本 4 1 0
秋山 3 1 1
本田 4 1 1
近野 0 0 0
H 赤岩 1 0 0
1 渡邉 0 0 0
H 中前 1 0 0
1 佐野 0 0 1
森川 4 2 0
32 11 3
 東海大相模打撃成績
位置 選手名 打数 安打 打点
小松 4 0 0
山田拓 4 0 0
黒澤 4 0 0
森下 4 1 0
門馬 3 2 0
喜友名 3 0 0
横田 1 0 0
3 菊池 2 1 1
山田翔 3 0 0
秋田 1 0 0
1 大和田 0 0 0
H 後藤 1 0 0
1 安里 0 0 0
30 4 1
 投手成績
TEAM 選手名 被安打 奪三振 四死球 失点 自責
浦和学院 近野 5 2 3 0 1 0
渡邉 2 2 2 1 1 1
佐野 2 0 4 0 0 0
東海大相模 秋田 6 2/3 9 6 1 1 1
大和田 1/3 0 0 0 0 0
安里 1 2 0 2 2 2
TEAM 三振 四死球 犠打 盗塁 失策 併殺 残塁
浦和学院 6 3 1 1 1 1 9
東海大相模 9 1 1 2 0 2 3

 八回に執念を見せた浦和学院が東海大相模を逆転で下した。浦和学院は二回に山本が三塁打を放ち、秋山の中前打で先制。だが、その後は相手右腕の低めを丁寧に突く投球を前に打線がつながらず、攻撃が沈黙した。好機を築けずにいると、七回にリリーフした2年生右腕渡邉が左前適時打を浴びて逆転された。しかし、八回から登板した左腕佐野が流れを再び引き戻した。三者凡退で切ると、その裏に本田の適時打、佐野の決勝スクイズで再逆転に成功した。

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    • 浦和学院野球ファンのさとし
    • 2017年 5月 25日

    練習とか試合で苦しい時があっても、去年の夏の悔しさを思い出して頑張って下さい。
    今年こそ浦和学院野球を応援してるみんなを甲子園に連れてって。

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