【写真】木製バットでフリー打撃に励む高田(左端)ら浦和学院ナイン=21日午後、大阪府池田市の渋谷高校グラウンド(埼玉新聞)
大会3日目の24日に土佐(高知)との初戦を迎える。
チームは21日、午前10時から開会式のリハーサルに臨んだ後、午後1時からは大阪府池田市の渋谷高校グラウンドで2時間の練習を実施。20日に土佐の映像を見たナインらは、この日の練習から相手投手対策を開始した。
シート打撃では、先発が有力な相手エース宅間を想定し右上投手が登板。緩いカーブなど変化球を多めに投げ、右打者は二塁手、左打者は遊撃手の頭の上を狙って打つことを心掛けていた。
フリー打撃では継投が見込まれる高橋をイメージするため、右サイドからの手投げを軌道を確かめるように入念に打ち込んだ。
緩い球を引っ掛けたら相手投手の術中にはまる可能性は大だ。それだけに「ボールにバットを潜りこませるようなイメージで、逆方向を意識したい」と鍵を握る左打ちの1番竹村は力説。横投げ攻略についても「体を開かずに、しっかり踏み込むことが大事」と、本番までテーマを持って取り組むつもりだ。
(埼玉新聞)
◇土佐、打ち勝つ野球に変身
選抜開幕を翌日に控えた21日、土佐ナインは兵庫県西宮市内の高校で汗を流した。打撃練習でマウンドに立ったのは関西学院大野球部の左腕2人。初戦で対戦する浦和学院(埼玉)のエース、小島和哉の仮想投手だった。
小島は最速135キロの直球で内角を突く好投手。関東大会3連覇の原動力になった。その球筋をイメージするためにOBが手配した練習相手で、約2時間半の大半を打撃にあてて目を慣らした。4番の南武志はフェンス直撃の打球を何度も放ち、「打ち崩すイメージはできた」と自信を深めた。
伝統的に堅守を志向する土佐だが、今年は趣が違う。身長1メートル78の南、1メートル83の久保田周ら体格に恵まれた選手がそろい、1メートル73と小柄な部類の主将・織田真史も、昨年8月の県選抜大会決勝で明徳義塾から満塁本塁打を放つなどパンチ力がある。新チーム結成時、打撃に可能性を感じた西内一人監督(47)は「失点しても取り返す、打ち勝つ野球」を目標に掲げた。
平日は2時間半と限られた練習で、打撃の密度は高まった。グラウンドに四つのケージを構えるフリー打撃の時間には、もう1人打ち込みが出来るようグラウンドの隅にもネットを張った。これまで自主性に任せていた寮での素振りは300回をノルマとし、毎晩続けてきた。
守備のミスにとらわれず、打力アップに励んだ成果は昨秋の県大会から発揮された。5試合で計47安打を放ち、1試合平均6得点。四国大会出場権をかけた高知南との3位決定戦は、八回に長打で追い付き、九回の一挙4点で突き放す爆発力を見せた。
土佐は過去に春夏合わせて10度甲子園に出場し、1953年夏、66年春の準優勝などの実績を残した。西内監督は「いずれも勝負強い長距離打者がいた」と分析しており、冬場には外部トレーナーの指導で体力も強化。ベンチプレスの記録が10キロ増の95キロになった選手もいるなど、再現の準備を着々と進めてきた。
強打を掲げて20年ぶりの出場を果たしたが、その挑戦には続きがある。織田主将は「今回の出場を伝統校の復活とするのではなく、『伝統の強豪校』に生まれ変わる第一歩にする」。初戦は3日目第3試合。日程が順調に進めば、24日に行われる。
(読売新聞高知版)