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不屈の浦学、サヨナラで散る 意地の集中打

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【写真】3回表浦和学院1死二、三塁、木暮は左越え2点適時二塁打を放つ(朝日新聞埼玉版)

 ありがとう、浦和学院――。第95回全国高校野球選手権記念大会1回戦で、浦和学院は仙台育英(宮城)に惜しくもサヨナラ負けを喫した。初回から5点リードされても誰一人あきらめず、猛攻撃で逆転に成功。エース小島は猛暑の下、180球を超える力投を見せた。最後まで気迫あふれるプレーを貫いた選手たち。2年連続の初戦突破はならなかったが、見る者の胸を熱くさせる素晴らしい戦いだった。

◇一時は逆転 地力見せた

 「多分、打撃戦になる」。浦和学院・森監督の悪い予感が的中した。

 1回、幸先良く1点を先取した直後だった。エース小島が、先頭打者の右前安打を皮切りに無死満塁と追い込まれた。そこから、3四死球と2本の適時打で6点を失い、序盤の主導権を握られた。

 埼玉大会7試合はいずれも早朝の第1試合。不慣れな夕刻開始だったという不運もあった。小島は夏の満員の甲子園の特有の雰囲気にのまれたのか、腕が振れず、球がうわずった。この回だけで5四死球を与えるなど、持ち前の制球力がみられなかった。

 しかし、打線は不調の小島を援護しようと奮起。5点を追った3回には、コンパクトかつ力強いスイングで打者一巡の7長短打。そこに四死球や相手の暴投なども絡んで一挙8点を奪い、9-6と逆転に成功した。二塁走者が単打で迷いなく本塁を突くなど、積極的な走塁も目についた。

 ところが、これで終わりではなかった。小島は得意の内角への制球が定まらず、6回にも集中打を浴びて4失点。10-10の同点にされ、振り出しに戻った。

 その後、小島は8回無死満塁の場面を3者連続三振で切り抜け、力投を見せたが、足をつるアクシデントに見舞われた。9回2死から安打を浴び、182球で降板。救援の山口がサヨナラ打を浴びた。

 ほんのわずかな差で敗れたが、打線の奮起でひっくり返すなど、選抜優勝校の地力を見せつけた。追いつ追われつした2時間59分。高校野球史に残る「好勝負」に4万2千人の観衆は大きな拍手を送った。

◇勝てる試合を落とした 山根佑太主将

 選抜の時は大量点を取った後も集中力が途切れなかったのに、今日は甘さがあったかも。勝てる試合を落としてしまった。小島の調子が戻ってくればいけると思って、相手投手に食らいついたのだが……。申し訳ない。

◇苦しい展開よく頑張った 森士監督

 小島は序盤から見たことがないほど不調だったが、それでもできれば彼に最後まで投げさせたい、という思いがあった。非常に苦しい展開の中、一度は逆転した打線のエネルギーはすごかった。本当によく頑張ってくれた。

◇勝利をもぎとりたかった 仲間に感謝

(1)小島和哉投手(2年)
「自分が壊した試合だからこそ最後まで投げたかった。来年も甲子園に戻る。」

(2)西川元気選手(3年)
「小島に一番近い捕手の自分が守って打って、何とか助けてやりたかった。」

(3)木暮騎士選手(3年)
「小島が踏ん張っていたので、3年生がなんとかしたかった。」

(4)津田翔希選手(1年)
「相手投手にねじ伏せられた。力不足だった。先輩たちに申し訳ない。」

(5)高田涼太選手(3年)
「小島が頑張って投げてくれたのに、安打を1本も出せず情けない。」

(6)竹村春樹選手(3年)
「最後、『間に合ってくれ』と西川のミットをめがけて投げたが遅かった。」

(7)服部将光選手(3年)
「守りきれず、すごく悔しい。絶対に勝利をもぎとりたかった。」

(8)山根佑太選手(3年)
「3年生中心のチームで投げてくれた2年の小島は頼もしい後輩だった。」

(9)斎藤良介選手(3年)
「甲子園で素晴らしい経験ができた。森先生や仲間たちに感謝したい。」

(10)山口瑠偉投手(3年)
「『俺が抑えるから』と小島に言い、マウンドにあがった。」

(朝日新聞埼玉版)

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