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令和初の夏開幕 夢懸け152チーム参加

 第101回全国高校野球選手権埼玉大会は10日、県営大宮球場で152チームが参加して開会式が行われ開幕。夢の甲子園出場を懸け、19日間にわたる熱戦の火ぶたが切られた。決勝は28日午前10時から同球場で行われ、優勝チームは全国高校野球選手権(8月6~21日・甲子園)に出場する。

 午前11時、約2万人の観客がスタンドから見守る中、開会が告げられた。球場のスタンドゲートから春季県大会優勝の春日部共栄を先頭に、最後の浦和実まで全152チームが入場行進。開会式の前は雲に覆われていた空は、選手たちの元気な掛け声と一糸乱れぬ行進の熱気が通じたのか、式典が始まると時折晴れ間がのぞくようになった。

 グラウンドでは、今大会から新調された優勝旗がお披露目。吉沢紀生県高野連会長は「新しい旗の下、高校球児の熱い戦いが始まると思うと、わくわくいたします。一瞬の夏に懸けた全力プレーの輝きが、多くの人に夢と希望を与えることを期待しています」とあいさつした。

 続いて、上田清司知事が「積み重ねてきた皆さんの力が、どこかで大きな力に爆発することを確信しています。素晴らしい戦いを、それぞれの思いの中で実現してください」と選手たちを激励した。

 最後に選手代表で川口工の菅野玄太主将が力強く選手宣誓。「次の世代へと高校野球の素晴らしさを伝えていくため、勇気と誇りを持ってプレーしていくことを誓います」と、新しい歴史の始まりとなる令和元年の夏に懸ける球児たちの思いを代弁した。

 開幕戦は志木が5-4で浦和商にサヨナラ勝ちした。3-4の九回無死一、三塁、鈴村が右中間へ適時二塁打を放って同点。なお二、三塁で高野の投ゴロが敵失を誘い、三塁走者大森が生還して決勝点を挙げた。

 大会は第2日の11日から本格化し、8球場で1回戦23試合が行われる。入場料は一般500円、中高生200円。引率された少年野球、中学生チーム(引率者・保護者有料)、障害者(障害者手帳を提示)と介添者1人、小学生以下は無料。

野球できる喜び熱く 選手宣誓・川口工の菅野主将

 川口工の菅野玄太主将が令和元年度の選手宣誓を務めた。「直前まで練習していたが、本番は緊張した」と言い、堂々と大役を全うした。

 抽選会で101番を引き当て、家族からは「やるしかないでしょ」と活を入れられた。抽選会の2日後から宣誓文を考え始め、天内監督や池谷部長、国語科の先生と相談しながら開会式の2週間前に完成。毎朝15分間、学校の体育館で練習を積み重ねてきた。

 自らの思いを込めて考えて一文に「野球ができる喜び」を挙げた。「昨冬は部員が8人で練習試合を組むことができなかった。新入生が入部し、(9人そろって)野球ができる喜びをみんなに伝えたかった」と本番は大きな声で感謝の思いを表現した。

 「80点。残りの20点は滑舌が悪かった」と自己採点は厳しいが、大きな拍手と歓声が球場を包んだ。チームメートは「よかったじゃん」とあっさり。川越工-川越南の勝者と対戦する14日の初戦へ「一戦一戦大事にして勝ちにいきたい」と気持ちを切り替えた。

選手宣誓全文

 宣誓、私たちは令和という新たな時代の中、101回という歴史のある今大会を迎えます。仲間と過ごしたこれまでの時間は私たちにとって大切な日々でした。その仲間と野球ができる喜び、そして、感謝を胸に試合に臨みます。次の世代へと高校野球の素晴らしさを伝えていくため、勇気と誇りをもってプレーしていくことを誓います。

 令和元年7月10日 選手代表 埼玉県立川口工業高等学校 野球部主将 菅野玄太

「60歳まで」夢かなう 新井監督(伊奈学園)に育成功労賞

 日本高野連が選手育成などに尽力した指導者を表彰する「育成功労賞」に、伊奈学園の新井浩監督(60)が選ばれた。「皆さんのおかげで大きな賞をいただけて大変光栄です」と話した。

 上尾では1984年に25歳の青年監督としてチームを甲子園に導き、吹上、大宮工、伊奈学園でも監督を歴任して36年、多くの選手たちを育て上げてきた。「60歳まで監督を続けていることが夢だったので、一つ夢がかなった」と笑顔を見せた。

 このほか川越工の熊沢光監督、川口市立の鈴木久幹監督が県高野連の永年勤続賞の表彰を受けた。

気持ち一つに連覇を 浦和学院、花咲徳栄

 昨夏の北埼玉大会優勝校で5年連続の甲子園出場を狙うCシード花咲徳栄は、打力を武器に頂点へ突き進む。主将の吉倉は「他校が5連覇を阻もうと必死で向かってくると思うので、気持ちで負けないようにしたい」と意気込む。2年前の全国制覇をベンチで経験している遊撃手の韮沢は「何が起こるか分からないので、一球一球を大切に戦いたい」と話す。

 昨夏の南埼玉大会覇者の浦和学院は昨秋、今春とも県大会2回戦敗退を喫し、34年ぶりに迎えるノーシードでの夏。エース下薗は「あの悔しさは絶対に忘れない。今大会に懸ける思いはどのチームよりも持っている」と力を込める。チームのテーマは「一体感」。捕手の畑は「みんなの気持ちを一つに、挑戦者の気持ちで挑む」と表情を引き締めた。

(埼玉新聞)

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