第11日は22日、東西南北の各地区大会を制した4校による県大会が開幕。準決勝が行われ、東部地区の昌平と西部地区の狭山ヶ丘がそれぞれ勝ち、決勝に進出した。狭山ヶ丘が決勝に進むのは、春夏秋を通じて県大会初。昌平は夏の県大会は初の決勝切符で、東和大昌平時代の1997年春季県大会以来となる。
2018年の全国高校野球選手権北埼玉大会以来、夏の県大会で2年ぶりの準決勝に臨んだ昌平は、延長九回タイブレークの末、南部地区の浦和学院に5-3で競り勝った。二回に宮坂と角田の適時二塁打で2点を先制。七回に2-2の同点とされたが、九回1死一、三塁から渡辺の二ゴロが併殺崩れとなる間に勝ち越し。続く吉野哲が決勝の2点本塁打を放った。
同選手権埼玉大会を含め、夏の県大会で初めて4強入りした西部地区の狭山ヶ丘は、北部地区の正智深谷に7-2で逆転勝ちした。1-2の六回、3連続適時打など打者一巡の攻撃で一挙5点を奪って試合をひっくり返すと、七回には平賀のソロ本塁打でダメ押しとなる1点を追加。エース清水は、一回に味方守備のミスが絡んで失った2点のみに抑えて完投した。
最終日は23日、メットライフドームで初優勝を懸けて昌平-狭山ヶ丘の県大会決勝(10時)が行われる。
土壇場に追い付く粘り 浦和学院
浦和学院は敗色濃厚だった0-2の七回、1死二、三塁から石崎の右前2点打で追い付く。一気に押せ押せムードでサヨナラに持ち込むかと思われたが、続く美又は遊ゴロ併殺。森監督は「(好機で一本が出るかどうか)紙一重。後悔しないと言えばうそになる」と悔しさをにじませた。
南部地区大会5試合で56得点、4割3分4厘の強力打線が昌平の先発宮坂の前に沈黙した。三、四回と得点圏に走者を進めながら一本が出ず、六回まで無得点。テンポのいい宮坂の投球に手を焼き、森監督も「変化球を捉えられなかった」。主将の金丸も「美又が踏ん張っていたので援護したかったが、相手投手がよかった」と脱帽した。
二回に2点を奪われたものの、打線の援護を信じて我慢の投球を続けた美又。六回から右翼の守備に就き、八回表1死から再登板。九回に「失投」と認める抜けた変化球を捉えられ、5番吉野哲の2ランなどで3失点。最速146キロの直球を軸に全力投球を貫き、「メットライフドームで野球ができたことに感謝」と実感を込めた。
(埼玉新聞)
浦学、決勝進出ならず 延長で力尽きる
2-2で迎えたタイブレイクの延長9回。浦和学院の148キロ右腕・美又王寿投手(3年)は、1死一、三塁の場面から内野ゴロ併殺崩れの間に勝ち越しを許すと、続く吉野哲平三塁手に左越えの2点本塁打を浴びた。
先発して5回2失点で右翼に回り、延長8回1死一、二塁から再登板。最初の打者を三ゴロ併殺に取ってピンチを脱出したが、9回で力尽き、準決勝敗退となった。「常に自分が投げるという気持ちで準備していた。今後に向けては、変化球の精度を高めたい。(本塁打を)打たれた球も抜けていたので、これからは、しっかり投げ切れるようにしたい」と美又。すでにプロ志望届を提出しており、上のステージでの飛躍を心に期している。
森士監督(56)は「(コロナ自粛の)5、6月に投球練習が出来ていないという状況だったので、致し方ない。まだまだ、これからの選手。いいボールを持っているので、一球の大事さをかみしめながら、自分の力を発揮できるようになってほしい」とエールを送っていた。
(スポーツ報知)
浦和学院・美又王寿「悔しい」9回に3失点
浦和学院が昌平に延長9回タイブレークの末、3-5で惜敗した。
プロ志望届提出済みの美又王寿投手(3年)は、「本当に悔しい。大事なところで投げきれるようになりたい」と唇をかみしめた。
延長9回に1点を失うと、2死一塁で5番吉野哲平内野手(3年)に左越え2ラン本塁打を打たれた。3点を失い、裏の攻撃で追いつくことができず、チームは敗れた。
美又は「上を目指していきたい。今後は変化球が課題です」と話し、合同練習会に参加することを口にした。
(日刊スポーツ)
エースの責任 仲間信じ堂々 美又王寿投手
浦和学院エースの右腕美又王寿君(3年)は、メットライフドームのマウンドで、自慢の速球を堂々と見せつけた。
「自分がチームを引っ張っていく」。こう固く誓ったのは、1年生の夏。第100回全国高校野球選手権記念大会の南埼玉代表として向かった甲子園で登板する機会に恵まれた。最下級生ながらベンチ入りしたという責任感を背負い、野球生活を続けてきた。
昨夏の埼玉大会は4回戦敗退。今夏は、選手権大会の中止で甲子園出場の目標さえ失われ、悔しくて涙が出た。しかし、夏のゴールはメットライフドームだと切り替え、この独自大会に臨んだ。
心強かったのは、打線の援護だった。チームを牽引(けんいん)するのは自分でも、戦うのは一人ではない、とチームメートを信じた。昌平に先行されても「粘って戦える」と気を落ち着かせて投げることに集中できた。
中盤の五回は思い通りの投球ができた。「まっすぐがよく投げられた」。自己最速に近い140キロ台後半の直球をコーナーに決め、上位打線を三者凡退に封じ込めた。その後に退き、タイブレークの延長八回に再びマウンドを任されたが、力尽きた。
13日にプロ志望届を提出した。「最高のゲームだった」と振り返る森士監督は、美又君について「のびしろがある。あとは素質をどう発揮するかだ」と将来の活躍にも期待した。
(朝日新聞埼玉版)
試合結果
県大会準決勝(8/23・メットライフドーム)
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E |
昌平 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 5 | 6 | 1 |
浦和学院 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 3 | 6 | 0 |
【浦】 | 美又、小倉、廣咲、美又-石崎 |
【昌】 | 宮坂、森田-沼生 |
本 | 吉野哲(昌) |
二 | 吉野創、宮坂、角田(昌) |
浦和学院打撃成績 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
⑧ | 里 | 4 | 0 | 0 |
⑦ | 池田 | 4 | 0 | 0 |
⑤ | 小櫻 | 3 | 0 | 0 |
③ | 金丸 | 3 | 1 | 1 |
⑨ | オコーリ | 1 | 0 | 0 |
1 | 小倉 | 0 | 0 | 0 |
H | 眞銅 | 1 | 1 | 0 |
R | 櫻田 | 0 | 0 | 0 |
1 | 廣咲 | 0 | 0 | 0 |
9 | 小川 | 0 | 0 | 0 |
H | 木藤大 | 1 | 0 | 0 |
④ | 齊藤 | 3 | 1 | 0 |
② | 石崎 | 3 | 2 | 2 |
①91 | 美又 | 3 | 0 | 0 |
⑥ | 樋口 | 3 | 1 | 0 |
計 | 29 | 6 | 3 | |
昌平打撃成績 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
⑧ | 千田 | 4 | 1 | 0 |
⑥ | 角田 | 4 | 1 | 1 |
⑨ | 吉野創 | 4 | 1 | 0 |
③ | 渡辺 | 4 | 0 | 1 |
⑤ | 吉野哲 | 3 | 1 | 2 |
② | 沼生 | 4 | 0 | 0 |
④ | 今井 | 2 | 0 | 0 |
⑦ | 島田 | 3 | 1 | 0 |
① | 宮坂 | 3 | 1 | 1 |
1 | 森田 | 0 | 0 | 0 |
計 | 31 | 6 | 5 |
投手成績 | |||||||
TEAM | 選手名 | 回 | 被安打 | 奪三振 | 四死球 | 失点 | 自責 |
浦和学院 | 美又 | 6 2/3 | 6 | 5 | 2 | 5 | 3 |
小倉 | 2 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | |
廣咲 | 1/3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | |
昌平 | 宮坂 | 6 0/3 | 5 | 4 | 1 | 2 | 2 |
森田 | 3 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 |
TEAM | 三振 | 四死球 | 犠打 | 盗塁 | 失策 | 併殺 | 残塁 |
浦和学院 | 4 | 2 | 2 | 0 | 0 | 2 | 7 |
昌平 | 9 | 2 | 0 | 2 | 1 | 2 | 5 |
昌平がタイブレークの末に浦和学院を破った。昌平は二回に宮坂と角田の適時打で2点を先制すると、先発宮坂は六回まで無失点の好投。延長九回1死一、三塁から渡辺の二ゴロの間に三塁走者千田が生還して勝ち越し、吉野哲の左越え2ランで突き放した。0-2の七回に石崎の2点打で追い付いた浦和学院だったが、九回の反撃は1点止まりだった。