甲子園球場で開催中の第103回全国高校野球選手権大会に埼玉代表として出場した浦和学院は、30年間チームを率いた森士(おさむ)監督が今大会限りで退任。同監督の長男で部長の大(だい)新監督が就任し、24日に新チームの初練習が行われた。同大会で浦和学院は、21日の2回戦で日大山形に敗れた。
選手たちは午後0時30分から、ミーティングを約2時間実施。その後、グラウンドに移動してシートノックや3カ所バッティングなどで3時間ほど汗を流した。
OBでもある30歳の大監督は、「生徒たちに分かりやすく指導したい」と気合十分。練習中には「てきぱき動け」とすかさず指示を送るなど、父親譲りの野球への厳しい姿勢がうかがえた。
新主将の八谷は「スピード感を重視しているから、継続しなければいけない。そのためにも、リーダーとしてみんなを引っ張っていきたい」と意気込んだ。
地元に愛されるチーム目指す
「父親が築いた基盤をアップデートしていきたい」―。浦和学院を30年間率いた父・士前監督から引き継いだ森大監督は、初練習を見つめながら抱負を語った。
森家の長男として生まれ、小さい頃から野球に親しんできた。高校時代は父が監督を務める浦和学院に入学。3年時に投手として第90回全国高校野球選手権大会に出場した。早大卒業後、社会人野球の三菱自動車倉敷オーシャンズに所属。日中はサラリーマンとして8時間勤務し、終業後は野球の練習に明け暮れたという。
2016年1月に父から同校のコーチに誘われ、「監督の息子ということで周りの目があるから覚悟を持って臨んだ」と就任。コーチ業の傍ら、将来は監督になることを見据えて筑波大大学院でスポーツバイオメカニクスを学んだ後、早大大学院では心理学を専攻した。今後はこれらの知見を生かし、さまざまな形で日々の練習などに導入していくつもりだ。
地元に愛されるチームを目標にする若き新指揮官。そう思うようになった切っ掛けは、15年夏の第97回埼玉大会準決勝で白岡に1-4で敗れた経験だ。「自分が現役時代と違って、(県内出身のメンバーが少なかった浦和学院へのスタンドからの)応援が少なかった」と感じ、県内出身者を中心としたスカウティングにも力を入れている。初采配は父が監督になった時と同じ秋季大会。「まずは悔いなくやり切りたい」と意気込んだ。
(埼玉新聞)