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早大大学院博士課程で新たなチャレンジ 浦和学院・森大監督が学び続ける理由とは

【写真】浦和学院・森大監督

 夏の甲子園制覇と博士号の二兎(にと)を追う。埼玉の強豪・浦和学院を率いる森大監督(33)が、4月から早大大学院教育学研究科博士課程での学びをスタートさせた。

 森監督は、かつて同科の修士課程で教育心理学を専攻した。2021年秋にチームを預かると、選手に心理面からのアプローチを試み、翌春のセンバツ4強という成果を得た。「超攻撃野球」という明確なテーマ掲げ、繰り返し口にすることで選手を“その気”にさせ、4試合で4本塁打を記録した。

 森監督は、改めて当時の狙いを説明する。「今の時代、子供は『自分は出来ない』という不安を抱えていて、周囲に何か言われたらシュンとなってしまう。それなら、皆と一緒になって頑張ろうという気持ちを高めていけばいい。そうすれば、一人一人が自分は出来ると思えるようになるんです」。目標を決めて共同活動する。その旗印が「超攻撃野球」だったのだ。

 修士課程が学習の場だったのに対し、博士課程では学術論文を作成するための研究を行う。森監督が論文という形で発信したいと考えているのは、野球における教育論。もちろん、ベースには心理学がある。「心理学は、一人一人の個性、特徴を尊重した指導に生きていると思う。これまで、高校野球は集団として指導することが多かったけれど、個別指導にベクトルが向きました。こういうふうにやれば子供たちが成長するんだ、という手応えを感じているので、論文できちんと述べていきたい」と話す。

 高校野球の名監督の指導論は、数多く出版されているが、研究に基づいた論文は誰も手がけていない。「野球の結果ではなく、子供たちとちゃんと接して質的量的研究を行い、根拠を文字化したい」と森監督。意欲の源となっているのは、「高校野球のために」という思いだ。

 「たとえば『慶応だから、仙台育英だから優勝できたんだ』と言うのはやめて、正しいことをしているから結果が出ているし、根拠もあるということを世の中に発信したい。そうすれば、体罰も少なくなると思うんです。『誰々だから…』というのではなく、皆が実践できる指導方法を確立したいんです」

 春季埼玉県大会は25日に開幕。27日に初戦(2回戦)を迎えた浦和学院は、5-1で武南を下した。昨年に続く夏の甲子園出場に向けて多忙を極めるなか、森監督は「テーマが指導行動なので、野球をやりながら情報収集が出来るんです」と充実感をにじませる。さらなる目標として、国家資格である公認心理士の免許の取得も考えている。高校野球の全てが教材。「学び」という歩みが止まることはない。

(スポーツ報知電子版)

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