文化の発展・振興に多大な貢献をした功労者を顕彰する埼玉新聞社制定の第56回埼玉文化賞の受賞者が決まった。
今回は6部門8氏が受賞した。スポーツ部門は、今春の選抜高校野球大会で初優勝した浦和学院高校野球部監督の森士氏が受賞した。また、8月の世界水泳で、男子400メートル個人メドレーで金メダルを獲得した瀬戸大也氏が同部門特別賞を受賞した。
他に、芸術部門はガラス工芸作家の白幡明氏と文芸評論家の染谷洌氏が受賞。教育部門は元県教育長の稲葉喜徳氏、社会文化部門は日本演奏連盟専務理事の金山茂人氏、農林部門は県製糸協会会長の小林嘉朗氏、商工部門は加須市商工会会長の清水延浩氏がそれぞれ受賞した。
授賞式は26日、さいたま市中央区のラフレさいたまで上田清司知事や多数の来賓を招いて行われる。
◇選抜V 次は夏の頂点へ
恐縮気味に喜びを語る。「勝ち負けに対する表彰は受けますが、こういった形の賞はなかなかいただけるものではありません。とても光栄です」。続けて「一番は生徒たちが頑張ってくれたおかげ」とまな弟子に感謝の言葉を贈った。
1991年8月、27歳の若さで同校の監督に就任。自身18度目の甲子園となった今春の選抜大会で悲願の初優勝を飾った。その時を「すごく昔のように感じ る」と振り返り、「運は良かったけど、勝利の女神が『頑張ってきたから、そろそろ勝ってもいいよ』って言ってくれたのかな」と笑う。
勝負の世界に身を置いている以上、過去の栄光に浸ることはしないが「俺って甲子園で優勝したんだよな」。ふと思い出すことがあるという。それだけ苦節22 年、“聖地”で見た光景は格別だった。選抜大会後、夏の埼玉大会も制した。甲子園では1回戦で敗れたが、その戦いぶりは大きな感動を与えた。だが言い切 る。「並大抵ではない重圧の中、よく(甲子園に)行った、負けちゃったけど感動した、それだけでは今の浦和学院はダメなんだよ」と熱弁。「今まで負けてき た数に喜びが加わった。そういう経験を踏まえ、あらためて埼玉初の夏の頂点を目指していきたい」。目標はただ一つだ。
周囲の高い期待にも焦りはない。「この世界は(白星の)貯金ができなければ、一獲千金もない。急にうまくなるわけでもない。本当、人生一歩ずつ、という感じでね」。自身が歩んできた野球道と照らし合わせるかのような言葉が、心に響く。
(埼玉新聞)