浦和学院が4年ぶり11度目V 高校野球埼玉大会

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【写真】4年ぶり11度目の優勝を決め、右腕を突き上げる浦和学院のエース佐藤。奥は一塁へ飛び込む聖望学園・小島(埼玉新聞)

 第94回全国高校野球選手権埼玉大会最終日は28日、県営大宮球場で決勝が行われ、選抜大会8強の浦和学院が聖望学園を4-0で下し、4年ぶり11度目の優勝。10年ぶり3度目の春夏連続甲子園出場を決めた。

 浦和学院は一回に佐藤の中前タイムリーで1点を先制すると、七回には、林崎の左前適時打と山根の左越え2点二塁打で貴重な3点を追加した。投げては先発のエース佐藤は直球が走り3安打完封。投打に強さを見せつけた。

 全国選手権は8月8日に甲子園球場で開幕する。

◇味わったどん底

 人は必ず悔しさを味わう。だが歯を食いしばって必死に乗り越えたからこそ強くなれる。

 浦和学院ナインが結果で証明してみせた。

 選抜大会後に迎えた春季県大会準々決勝。再試合の末、春日部東に0-5で完封負けという屈辱を味わった。打線は好機に凡退を繰り返し、守備も浦和学院では考えられない安易なミスが失点につながった。明らかに疲れの色はあったものの森監督は「どんな状況でも勝負するのが浦和学院。勝負にいってない」。

 敗戦後、チームは精神的に落ち込み、バラバラになった。何をやってもうまくいかない。練習試合でもやるべきことが徹底できず、勝てない日々。主将の明石は「どん底でした。この先、そうなってしまうのか分からなかった」と明かす。

◇体力つけ強さ増す

 光を見いだせないまま練習に明け暮れた。

 ただ、技術的な練習はそっちのけ。早朝5時からは各自が課題練習。その後6時30分からが通常の朝練習でサーキットトレーニング。午後練習は7キロ走に始まり、グラウンドのポール間ダッシュを10本、バットスイングなど、ひたすら走り込みを中心とした地道な鍛錬に取り組んだ。

 走りに走ったことで体力的にはもちろん、どんな状況にも屈しない精神的なスタミナを養った。ミーティングも選手たちで自主的に重ねチームも徐々にまとまりを取り戻した。迎えた今大会。試合ごとに強さを増した。準々決勝の花咲徳栄、準決勝の川口戦ともに、終盤までもつれた試合を2-1で制した。捕手の林崎は「体力の差で勝てた」。森監督も「やってきたことの成果が出ている」と手応えを口にする。

 選抜大会8強から、どん底まで落ち、見事にはい上がってきた浦和学院ナイン。夏の甲子園で、もうひと花もふた花も咲かせてみせる。

◇思い乗せ初球強振 浦和学院

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【写真】7回表浦和学院2死一、二塁、山根が左越えに2点二塁打を放つ。捕手加藤(埼玉新聞)

 七回に1点を追加し、2-0とした直後の2死一、二塁、「初球からフルスイングすることだけ考えた」という4番山根の打球は左翼手の頭上を越える二塁打に。2人が一挙に生還し、聖望学園の追撃を事実上はね返す値千金の一打になった。

 「打ったのは内角甘めの真っすぐ。監督からは外を狙えと指示があったが、前の打席から初球は内角もあると思っていた。打った瞬間、抜けると思った」とにっこり。貴重な2点を追加した瞬間の気持ちを聞くと、「もっともっとうれしかった」と白い歯がこぼれた。

 投打の柱、3番佐藤が敬遠された直後の打席だった。「佐藤さんの敬遠は想定内。問題は自分が打つか打たないか」と気を引き締めた。前打席ではスリーバント失敗し、「自分で決める」との思いは一層強かった。

 5番に下がった準決勝から奪還した大舞台の4番の座。「打順は関係ない。でも、4番で使ってくれたことはやっぱりうれしい」。ここ一番の勝負どころで結果を出した主砲が、“戻れる”と表現した甲子園で虎視眈々日本一を狙う。

◇攻守でエース援護 浦和学院

 「絶対に点をもぎ取る」。七回2死二塁で捕手林崎が有言実行の左前適時打を放った。1-0でこう着していた中の貴重な2点目に貢献。打席に立ったときは「夢中でどんな球がきたか覚えてない」ほど。初球から振って追加点につなげた。

 守備ではエース佐藤を好リード。「佐藤の長所を生かせるように」と直球中心に組み立てた。三回1死一、二塁のピンチでは、けん制球を放って二塁走者を仕留めた。攻守の立役者は「次は全国制覇」と、さらに上を見据えた。

◇もがき続け最後に結果 浦和学院

 大会中、もがき続けた男が、最後に結果を残した。1-0とこう着状態の七回無死。代打・石橋が告げられる。「投手の佐藤が頑張っていた。何でもいいから塁に出てやろう」。強い気持ちでバットを振り抜くと、打球は中前へ。打線に火をつけ、追加点のきっかけをつくった。

 今大会は打撃不振で先発を外れ、準決勝までわずか7打席の出場。「決勝で取り返そうと思った」と心に期するものがあった。この日は途中出場ながら、2打席連続安打。悔しさを乗り越え、背番号7が再び輝きを取り戻した。

◇黒子に徹し小技で貢献 浦和学院

 追加点の欲しい七回。先頭が安打で出塁すると、緑川には犠打のサイン。2球ファウルしたが、3球目をきっちり転がし、追加点をアシストした。「(追い込まれても)次に決めればいい」と冷静だ。

 前の打席でも、犠打を成功。繰り返し練習してきたことを確実に表現している。「百パーセント犠打を求められている」と自認。選抜のレギュラーだが大会前の不調でスタメン復帰したのは5回戦から。9番打者として黒子に徹し、存在感を取り戻した。

◇3安打完封 エース佐藤、投打両立 大黒柱の自覚

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【写真】優勝投手の浦和学院・佐藤がナインに祝福される(埼玉新聞)

 浦和学院の4年ぶりの頂点を飾るマウンドにいたのは、やはり佐藤だった。3安打完封に、先制適時打を含む3安打と投打にわたる活躍。優勝の瞬間は仲間にもみくちゃにされ、「素直にうれしい」。1年秋からエースとしてチームをけん引してきた大黒柱は少し大人になった表情で喜んだ。

 先攻の一回1死三塁、いきなりチャンスで打席がくると、4球目のチェンジアップをたたき先制の中前打。「自分の適時打で先制できたのが大きかった」と投球も快調。序盤はボール先行したものの、直球を軸に球威で押した。野手にも支えられ、得点圏に走者を置いたのは2度だけ。三回2死一、二塁ではツーシームで空振り三振。五~八回は三者凡退に打ち取り、追加点を呼び込んだ。

 選抜後は不調で、チームも県大会は準々決勝敗退。以後、初心に帰って走り込みに力を入れてきた。朝5時から8キロ走り、午後にも8キロ走。さらにサーキットトレーニングや、外野の端から端までを1分で走るダッシュを10本繰り返し、「暑い中でもばてることなく投げられた」とうなずいた。

 1年夏から3年連続でベンチ入りしたが、夏は初の背番号1をつけ、チームを優勝に導いた。甲子園出場は自身3度目。「エースとして自分のスタイルを貫き、全試合に投げて優勝したい」。浦和学院の夏11度目の大舞台で命運を握るのは、間違いなくエース佐藤だ。

◇成長続け宿敵圧倒

 九回2死一塁、大きく弾んだ打球に佐藤が目いっぱいグラブを伸ばす。捕球し、すかさず一塁手明石にトス。その瞬間、浦和学院が4年ぶりに“夏の扉”を開いた。10年ぶりの春夏連続の甲子園出場も勝ち取り「うれしい限りです」。森監督の第一声にも実感がこもっていた。

 佐藤が好投し、打線が応える―。昨秋の準決勝で顔を合わせ、土壇場で逆転サヨナラ勝ちした聖望学園に対して、盤石の試合運びで圧倒した。

 浦和学院の強さを象徴したのが、1-0の七回だ。一回に佐藤の中前打で幸先良く先制したが、その後の四~六回は走者を三塁に進めたもののいずれも凡打。佐藤の好投に報えないでいた。攻撃前に森監督からげきが飛ぶ。「自分たちから勝負しろ」

 積極的な打撃がよみがえった。まずは代打の石橋が口火を切る。「何でもいいから塁に出る」と中前打で出塁。緑川が送って2死後、円陣で「やってきたことはうそでない。1点をもぎ取るぞ」と、ナインを鼓舞し打席に立った林崎が、初球の真っすぐを左前にはじき返し2点目を奪った。

 これだけでは終わらない。佐藤の敬遠で燃えた山根が一、二塁から再び初球の直球をフルスイング。「手応えが良かった」と打った瞬間に確信した左越え二塁打で2点を追加した。塁上でこん身のガッツポーズ。この回で勝敗は決した。

 森監督が選手に求める、自立した野球へは、まだ発展途上だが、春季県大会準々決勝で春日部東に0-5で完敗した悔しさを全員が共有し、走り込みなどを重ね、一回り大きくなった。

 春夏連続出場の重圧をはねのけ、つかんだ4年ぶりの優勝旗。だがここが終着駅ではない。「春は、もう一歩のところで帰ってきてしまった。夢の続きに挑戦したい」と森監督。浦和学院ナインが、目標に掲げる“夏の日本一”へ、スタートラインに立った。

◇浦学ナインひと言

(1)佐藤拓也投手
 素直にうれしい。気を抜かず甲子園優勝まで戦いたい。

(2)林崎龍也捕手
 甲子園では先制点をもぎ取り一戦必勝で全国制覇したい。

(3)明石飛真一塁手
 甲子園でもウラガク野球を貫き、日本一を目指す。

(4)緑川皐太朗二塁手
 夏に勝つことを目標にやってきたのでうれしい。

(5)山根佑太左翼手
 春に負けた甲子園に戻れることが一番うれしい。

(6)竹村春樹遊撃手
 ここは通過点で目指すは日本一。甲子園で暴れる。

(7)石橋司左翼手
 大会に出るからには優勝しようと思っていた。

(8)西岡伸朗中堅手
 甲子園は負けたら終わり。落ち着いてプレーしたい。

(9)笹川晃平右翼手
 打線が上位下位から得点して投手陣を援護したい。

(10)山口瑠偉投手
 直球をしっかり投げられた。甲子園でも抑えたい。

(11)池山颯人投手
 チームのために下働きしてきた。勝てて良かった。

(12)高田涼太三塁手
 他に3年生がいる中で出させてもらい感謝したい。

(13)森戸佑樹二塁手
 うれしいけど、目標は日本一。打撃で貢献したい。

(14)小島和哉投手
 初めての大会で緊張した。優勝は素直にうれしい。

(15)吉川智也三塁手
 うれしい。全国制覇を目指し勝つためにやってきた。

(16)木村尚雅遊撃手
 春に負けてどん底からはい上がってきた。うれしい。

(17)涌本亮太投手
 うれしい。自分もプレーでチームに貢献したい。

(18)安室健太右翼手
 野球ができることに感謝して甲子園でプレーしたい。

(19)渡邊剛投手
 甲子園ではピンチを必ず抑えてチームを勝たせたい。

(20)服部将光左翼手
 勝つために一丸でやってきた。甲子園も優勝を。

◇先制許し、焦り生む 聖望学園

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【写真】4回裏聖望学園2死、中越え二塁打を放った田中が果敢に三塁を狙うがタッチアウト。三塁手高田(埼玉新聞)

 3年ぶりの甲子園は夢へと消えた。投打とも浦和学院に及ばなかった。聖望学園の大越監督は「完敗ですね。佐藤を打ち崩せなかった」とさばさばと語った。

 一回、歯車が狂う。浦和学院先頭竹村の二塁打をきっかけに失点。「緊張感があった」と先発の川畑。捕手加藤は「甘く入ったところをうまく打たれた」。強力打線に対し、大胆な配球を意識しようとした矢先に出ばなをくじかれた。

 この1点が焦りを生む。三回、1死一、二塁で二塁走者川畑が相手捕手の送球で刺殺された。直後に巻口の左前打が出るちぐはぐな攻撃。四回には2死から田中が会心の中越え二塁打を放った。一気に三塁を狙ったが中継に阻まれタッチアウト。「一つでも先の塁へ」との思いは好転しなかった。

 0-1で我慢していたが、七回の3失点で優勝が遠のいた。1点を追加され、さらに2死二塁。3安打の佐藤を迎え敬遠を選択。是が非でも次打者を抑えたい場面で2点適時二塁打を浴びた。

 前日10安打を記録した打線は3安打と振るわず。浦和学院佐藤の低めに制球されたボールを打たされた。準決勝で2安打2打点の4番小島は「雰囲気があり、伸びもあった」。準々決勝狭山ヶ丘戦のような逆転劇再来とはいかなかった。

 だが、ここまでの道のりは色あせるものではない。2年生エース川畑を中心とした堅守と左右の好打者がそろった打線で3年ぶりの決勝までたどり着いた。開会式の時に「決勝でやろう」と誓った宿敵との対戦を実現。主将の小林健は「チームの絆が深まった。悔いはない」と精悍(せいかん)な顔つきで言い切った。

◇「来年こそ絶対行く」 2年生エース川畑 聖望学園

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【写真】6回表浦和学院無死、佐藤にこの日3安打目を中前に運ばれ顔をしかめる聖望学園の川畑(埼玉新聞)

 121球の熱投は実らなかった。三回途中から登板した前日の春日部共栄戦からの連投。2年生エース川畑は、さすがに疲労を隠せなかった。

 春日部共栄打線を2安打無失点に封じた抜群の制球力とキレは、影を潜めた。甘くなった球を見逃してはくれなかった。

 だが一回に1点を先制されてからも、粘り強く投げた。直球にカーブ、スライダー、ツーシームを織り交ぜ、独特の間合いで打者のタイミングを外した。四~六回まで三塁まで走者を進められながら、バックにも助けられ踏ん張った。

 だが七回。ついに決壊した。2死二塁から林崎に左前適時打を打たれて2失点目。続く佐藤を敬遠後、4番山根に痛恨の左越え2点二塁打を浴び、この回一挙3失点。八回を終え降板した。

 「勝ちたかった」。少ない言葉に悔しさがにじむ。それでも背番号1がチームを決勝の舞台に引っ張ってきた。「3年生にはプレーや声掛けで何度も助けてもらい感謝している。思いを受け継ぎ、来年こそは絶対に甲子園へ行きたい」。熱いまなざしは、決意の強さを物語っていた。

◇期待の小島は悔しい無安打 聖望学園

 準決勝の春日部共栄戦は2安打2打点の活躍を見せた主砲小島が無安打に終わった。小島は「(浦和学院の投手)佐藤に完全にやられた。狙い球はストレートに絞ったが、緩急をつけられ、相手が一枚上手だった」と悔しさをにじませた。

 打線の中軸を担い、5回戦から4番打者として、バットでチームを鼓舞してきた。「全力でやり切った。メンバーの中には2年生もいるので、来年こそ甲子園に行ってほしい」と後輩にエールを送っていた。

◇相手の強さ認め 主将「悔いない」 聖望学園

 「相手の方が気持ちが強く、試合の流れも与えてくれなかった。やはり浦学は強い」。主将の小林健は試合後、投打に隙のない浦和学院の壁の厚さをあらためて認めた。

 これまで主将として先頭打者として、チームをけん引。この日も相手の好右腕佐藤から安打し、0-1で迎えた四回のピンチでは好守備で相手の追加点を防いだ。

 「全力で戦ったので悔いはないです。これまで支えてくれたチームメートや監督、家族に感謝したい。来年は甲子園へ行ってほしい」。充実した表情で後輩に思いを託した。

◇快音響かずも好捕で見せる 聖望学園

 「粘ってつなぐことを考えたが…」。三回2死一、二塁の好機に三振に倒れた3番田浦。浦和学院・佐藤を前に2三振を喫し快音はなかった。

 開会式の前日に右脇腹を肉離れし、先発メンバーに入ったのは準決勝の春日部共栄戦から。準決勝は2安打を放ち、気をよくして迎えた決勝だったが、バットは湿った。

 それでも七回の守備では得点圏に走者を置き、中堅手として二つの好捕球を見せ、チームを救った。「大宮は広い球場。走り回るタイプの自分に合っている」。敗れはしたが持ち味は見せた。

◇古豪復活 熱戦に花 今大会を振り返って

 157チームが参加した大会は、選抜大会8強の底力を見せた浦和学院が、4年ぶり11度目の栄冠を飾り閉幕。昨年は史上初めて私立校が8強を独占したが、今年は川口、熊谷商の古豪勢の躍進が熱戦に花を添えた。

 浦和学院は投打で盤石だった。全7試合で失点はわずかに2。佐藤、山口の両右腕の安定感は際立っていた。打撃では強打はもちろん、足技や犠打など手堅く、林崎、山根などここぞの場面の一打が光った。準々決勝、準決勝と2-1で接戦を制す勝負強さもあった。

 聖望学園はノーシードから準優勝に輝いた。小林健、小島らつなぐ打線が機能し、狭山ヶ丘との準々決勝は0-2の九回に3点を奪い逆転サヨナラ勝ち。エース川畑は直球と変化球のキレと制球が抜群。まだ2年生。来年も楽しみだ。

 川口は47年ぶりの決勝進出こそ逃したが今春に続く4強入りは立派。特にエース高窪は全6試合、738球を一人で投げ抜いた。浦和学院にも臆することなく真っ向勝負を挑み、今大会ナンバーワン右腕と言っても過言ではなかった。

 昨夏準優勝だった春日部共栄は、4回戦から辛勝続き。攻撃で残塁が多く投手の踏ん張りに報いることができなかった。

 8強では熊谷商が最も印象的だった。5回戦で今春4強の春日部東に2-0で快勝すると、準々決勝でも小野の満塁ホーマーで春日部共栄を追い詰めた。狭山ヶ丘、昌平は初の4強へあと一歩だった。昨年優勝の花咲徳栄は2年生主体ながら浦和学院に迫った。

 Aシード埼玉栄は4回戦で富士見に惜敗したものの、2回戦では左腕本間が浦和東を無安打無得点に封じ、夏の大会では史上19人目の快挙を達成した。春季県大会を初制覇した南稜は力を発揮できないまま3回戦で坂戸西に敗れた。

 今夏から認められた連合チーム、越生・鶴ヶ島清風と福岡・自由の森・上尾鷹の台はともに初戦で敗れたが最後まで全力プレーを貫いた。

 甲子園に出場した市浦和・中村三四、春日部東・中野春樹両監督が定年により今大会でユニホームを脱いだ。

◇最高の応援 夏Vに歓喜

 春夏連続を狙う浦和学院か、3年ぶりの栄冠を目指す聖望学園か―。28日、県営大宮球場で行われた第94回全国高校野球選手権埼玉大会決勝。最後の試合で最高の試合をしようと、グラウンドで懸命のプレーを続ける選手たち。それを後押ししたのは、スタンドから声援を送る両校の応援団。「応援で勝たせたい」「力の限り応援する」。選手たちに向けた必死のエールは、最後まで途切れなかった。

◇甲子園でも勇気を 浦和学院

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【写真】浦和学院の甲子園出場が決まり、喜びを爆発させる一塁側スタンド(埼玉新聞)

 春夏連続の甲子園出場を目指す浦和学院。夏の大会の決勝進出は4年ぶりで、一塁側スタンドの夢舞台へ懸ける思いは強い。

 応援団長で野球部3年の西尾太志君(17)は「2年4カ月の練習の証しを見せてもらえれば。応援で勝たせたい」と力強く意気込む。野球部OBの高田祐次さん(30)は「要所に好プレーをみせる林崎君に期待する」とチームを引っ張る後輩の活躍を願った。

 浦和学院は一回、先頭打者の竹村春樹選手の二塁打を皮切りに先制。幸先良いスタートにスタンドは活気づく。竹村選手の父親の達矢さん(49)は「欲しかった先制点。これでリラックスしてもらえれば」とほっとした様子。その後は投手戦が続き、応援席はチャンスやピンチに一喜一憂した。

 1点を争う展開だったが、七回に林崎龍也選手と山根佑太選手のタイムリーヒットが飛び出すと、たまっていたうっぷんを晴らすようにスタンドは大歓声に包まれた。

 試合終了が近づくと、勝利の瞬間を固唾(かたず)をのんで見守った。最後の打者をピッチャーゴロに打ち取ると、みんな抱き合って喜びを爆発させた。

 チアリーディング部長で3年の杉本優さん(17)は「夢だった甲子園での応援がまたできる」と笑顔。投打に大活躍した佐藤拓也投手の母親の馨さん(47)は「みんなの応援が勇気になったと思う。何度も悔しい経験をして、体も気持ちも大きくなった」と息子の成長ぶりに思わず涙ぐんだ。

 父母会会長の緑川美博さん(44)は「深紅の大優勝旗を持ち帰ってほしい」と甲子園での活躍を期待していた。

◇選手の健闘に拍手 聖望学園

 聖望学園の三塁側スタンドは、チームカラーの青色のメガホンを持った父母会や生徒らがエールを送った。

 応援を盛り上げる演奏に、サンバのリズムも流れる。オーストラリアからの留学生コートニー・エロックさん(18)は「オーストラリアの野球は人気がない。日本の野球はとっても楽しい」と友人とともにメガホンを振った。

 今年初めて、音楽部の卒業生もスタンドで応援した。きっかけは5月に、音楽部の元顧問の古希を祝う卒業生演奏会を開催したこと。高校2年の時に甲子園でも演奏した音楽部卒業生で明治大学2年の茂木紀之さん(19)は「また甲子園に行きたい」と後輩のためにスタンドを盛り上げる。

 試合は一回に1点を先制され、なかなか点が入らない苦しい展開。音楽部3年の上田純さん(17)は「取り返してくれると信じている」と音楽部で最も重いスーザフォンを吹いて応援した。七回には3点を許したが、スタンドからは「まだ七回。諦めるな」と声が飛び交った。

 音楽部3年で前部長の大竹芹奈さん(17)は「苦しいけど、力の限り応援したい」と汗を流す。野球部で応援団長の真下祐太君(18)は「昨年の秋に負けているので、絶対に勝ってほしい」と最後まで応援を続けた。

 敗戦が決まると、スタンドは静まり返り、呆然と立ち尽くす人たち。だが、どこからともなく拍手が沸き起こり、「よくやった」と選手の健闘をたたえる声が聞かれた。

(埼玉新聞)

■決勝(7月28日)

浦和学院
100000300=4
000000000=0
聖望学園

【浦】佐藤-林崎
【聖】川畑、小林佑-加藤、中島

▽二塁打 竹村、佐藤、山根(浦)田中(聖)

【浦和学院】
⑥ 竹 村5-1-0
② 林 崎4-1-1
① 佐 藤4-3-1
⑦ 山 根4-2-2
⑨ 笹 川2-0-0
⑤ 高 田4-0-0
③ 明 石4-0-0
⑧ 西 岡2-1-0
H8石 橋2-2-0
④ 緑 川2-1-0

(打数-安打-打点)

安 打:浦11、聖3
失 策:浦1、聖0
三 振:浦1、聖6
四死球:浦4、聖2
盗 塁:浦4、聖0
犠 打:浦4、聖0
併 殺:浦0、聖1
残 塁:浦10、聖4

 浦和学院は先発佐藤がバックにも助けられ3安打完封。打線は11安打で聖望学園の先発川畑を打ち崩し、快勝した。

 浦和学院は一回1死三塁、佐藤の中前適時打で先制。中盤まで加点できなかったが、七回に代打石橋の安打から好機を築き、2死二塁で林崎が左前適時打。その後2死一、二塁で山根が左越え2点適時二塁打を放った。

 佐藤は直球が走り、2四球と制球も安定。五~八回を三者凡退とし、攻撃の流れをつくった。三回に捕手林崎が走者を刺し、四回には西岡-竹村-高田の中継プレーで走者をアウトにした。

 聖望学園は川畑が六回まで1失点とよく投げたが打線が援護できず。三回1死一、二塁では二塁走者が刺され、その後再び2死一、二塁の好機も逃した。川畑は七回、先頭打者を安打で出し、2点目を奪われて崩れた。



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