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王者の風格、浦和学院V 3年ぶり4回目 関東高校野球

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【写真左】優勝を喜ぶ選手たち
【写真右】閉会式で整列する浦和学院の選手たち(朝日新聞)

 第65回春季関東地区高校野球大会(関東地区高校野球連盟主催、朝日新聞社など後援)は22日、宇都宮市の宇都宮清原球場で決勝があり、春の甲子園で全国制覇した浦和学院が前橋育英(群馬)を4-1で下し、3年ぶり4回目の優勝を決めた。県勢の優勝は11回目。

 浦和学院の山口が、今大会2試合目の完投で優勝に貢献した。変化球の制球に苦しんだが、勝負どころで球威のある直球を生かした。投球数が100球を超えた8回には、安打と四球などで1死二、三塁のピンチを招いたが、犠飛による最少1失点にとどめ、主導権を譲らなかった。要所で打線の援護もあった。両チーム無得点の5回1死二、三塁から服部と贄(にえ)の中前適時打で計3点を先行。失点直後の8回には高田の適時二塁打で再び突き放したのも大きかった。

◇下位打線爆発、先制点

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【写真】5回裏に火を噴いた浦和学院の下位打線。服部の中前安打で生還する二塁走者西川(朝日新聞)

 最後の打者を中飛に仕留め、優勝を決めた瞬間、浦和学院の選手たちは、派手に喜ぶでもなく、淡々と整列に向かった。王者の風格が漂っていた。

 決勝の先制点は下位打線から生まれた。両チーム無得点の5回無死。6番斎藤が2球目を右前へ引っ張り出塁すると、続く西川は3球目で一、二塁間を破った。山口の犠打を挟み、服部は12球粘った末、中前へはじき返して2人を生還させた。打順は上位へかえり、さらに1点を加えた。

 約190センチの長身から、140キロ超の直球と、100キロ台の緩い変化球で緩急をつける前橋育英のエース右腕。4回まで見送ったり、見逃したりの繰り返しが続いていた。

 「たとえ凡打で終わっても、相手に重圧をかけるバッティングをしろ」

 試合中、森士監督に雷を落とされた直後、主軸ではない3人が「好球必打」を実践してみせた。それも、快音を響かせたのはそれまでは力負けしていた直球だった。苦手の外角球を教科書通りにピッチャー返しした服部は「どんな球でも食らいつこう。思い切り振ることだけを考えた」。

 選抜大会は上位打線の圧倒的な得点力で制した。夏は一筋縄ではいかない下位も控えるとなれば、「打倒ウラガク」を掲げる全国のライバル校にとって脅威はさらに増す。

 かつて茨城県で取手二と常総学院を全国制覇に導いた木内幸男元監督はこう言った。「春の関東大会はさっさと負けて練習時間をつくるか、じゃなきゃ、最後まで勝ってチームに自信を植え付けることだ」と。

 選抜大会に続き、実力校の集う関東大会も制したが、最終目標は夏の全国制覇だ。「これからですけどね。集大成は」。やがて来る「本番」を見据え、森監督は落ち着いた口調で結んだ。

 《高田涼太主将》 優勝できたことはうれしいが、試合内容には満足していない。夏に向けてさらに体力や精神力を鍛え、大舞台に挑みたい。

 《森士監督》 県大会、関東大会と粘り強い野球ができた。選抜大会優勝の経験が生きていると思う。しっかり腰を据え、夏に向けた課題に取り組みたい。

(朝日新聞埼玉版)

◇故郷の声援が励み

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【写真左】全力疾走で三塁をまわり、本塁に向かう西川元気捕手
【写真右】チャンスで打席に立ち、ファウルで粘る竹村春樹遊撃手(朝日新聞)

 活躍を見せた選手のなかで、西川元気捕手(3年)と竹村春樹遊撃手(同)は、それぞれ小山市と栃木市の出身だ。ともに中学硬式野球チームの小山ボーイズに所属し全国大会で16強に入った。この日の決勝でも、好投する相手エースから安打を奪い、得点の足がかりをつくった。

 「『苦しくても下を向くな』と教えたことを守っている」。スタンドで2人のプレーを見守った小山ボーイズの新島勉監督(52)は話した。「選抜大会にはボーイズを連れて応援に行った。夏も甲子園に出たら、もちろん足を運びます」

 故郷での開催となった今大会。西川選手は「応援してくれる人たちに元気な姿を見せられてよかった」。竹村選手は「初戦はボーイズの同級生が手を振っているのが見えた。決勝は新島監督を見つけた。励みになります。夏も頑張る姿を見せたい」と話した。

(朝日新聞栃木版)

◇公式戦14連勝「貪欲に勝つ」

 前橋育英・高橋光の変化球に翻弄され、無安打のまま迎えた四回、浦和学院は円陣を組んだ。森士監督から今大会初めて激しい言葉が飛ぶ。「自分に負けている。そんな野球を見ても面白くない」。

 直後の五回、下位打線がつながり、「どんな球にも食らいついてやろうと思った」という9番・服部が12球目まで粘って外角の速球を中前に弾き返し、2人を迎え入れた。

 選抜大会以来、公式戦無傷の14連勝。「勝っておごらず、負けてくじけず」がモットーの森監督。無敗の現状を「正直、不安です」とも漏らしたが、「今までは負ける悔しさをバネにしてきた。これからは勝ちへの貪欲さが上回れるかが重要になる」と夏に向けて気を引き締めた。

(産経新聞埼玉版)

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