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第83回センバツ大会 代表32校はここだ/報知高校野球

報知高校野球2011年1月号1 報知高校野球2011年1月号2

<2010年全国秋季大会~熱戦を繰り広げたチーム、球児たち~>

◇佐藤拓也(浦和学院/投手・1年)

●生年月日:1994年8月12日、茨城県鹿嶋市出身。16歳。
●球歴:小学1年で硬式の鹿島イーグルスに入団。中学時代は鹿島中軟式野球部に所属し、投手で2、3年時に関東大会ベスト8.浦和学院では1年春に背番号「16」でベンチ入り。投手、内野、外野手を経験。秋の県大会は「7」で、関東大会からエースナンバー
●体格、血液型:171センチ、71キロ、右投左打、A型

 171センチ、71キロの体のどこに、これだけのスタミナと気力が詰まっているのか。今大会初めてエースナンバーを背負った1年生は、甲子園常連校を相手にしてもまったくひるまなかった。準々決勝・千葉経大付戦で3安打完封。準決勝・横浜戦は3失点完投。決勝の東海大相模戦では8回に一度は同点に追いつかれたものの、慌てずに後を抑え、サヨナラ勝ちを呼んだ。1番打者としても今大会.455の高打率を残し、チーム22得点のうち7点を荒稼ぎ。「まさかこんなに早く活躍できると思っていなかった。素直にうれしいです」秋は15年ぶりの優勝を決めて先輩、同級生に胴上げされ、ニッコリ笑った。

 50メートル6秒0の俊足に抜群の瞬発力、センスを備える。もともと投手で、高校入学後も「ずっと投手はやりたかった」が、今夏は遊撃の控え。この秋、エース不在に悩んだ森士監督(46)が「制球力を買って」マウンドに上げたところ、チャンスをがっちりつかんで放さなかった。「球速は130キロ台中盤くらい。遅いカーブ、カットボール、ツーシームをうまく使って、ストレートをどれだけ速く見せるか。それが自分の持ち味です。関東の経験を自信にして、これから頑張りたい」と右腕。「小さな大投手」(森監督)の誕生で、名門校にまたひとつ栄冠が加わった。

◇“開催地特権”生かした浦和学院 決め手なく選考難航か 関東5校目

 浦和学院が“小さな大投手”ことエース右腕・佐藤の投打にわたる活躍で東海大相模を下し、秋3連覇中だった神奈川勢(07年・横浜、08年・慶応、09年・東海大相模)を阻んで15年ぶり2度目のV。これで関東大会春秋連覇、初の神宮大会出場も決めた(前回優勝の翌96年から各地区1位校が出場、それまでは推薦)。今夏の甲子園準V、東海大相模は監督の米国遠征帯同や国体出場など、新チームを作る時間が思うように取れない中での準優勝はさすが。ベスト4の横浜も、3年ぶりのセンバツはほぼ確実だ。関東・東京の一般枠は6(関東4、東京1は決定)。準決勝で8回コールド負けした水城にも、ギリギリ切符が届きそうな気配。東海大相模に準々決勝で競り負けた前橋育英、同じく東海大相模に初戦で今大会一番の善戦をした木更津総合などが、関東5校目の候補に挙がる。

◇浦和学院

 4-4で迎えた決勝・東海大相模戦の9回裏2死満塁。5番・日高の打球が中前に抜けた瞬間、森士監督(46)=今大会の登録は部長=は大喜びした。サヨナラ勝ちで、就任20年目の節目の年に15年ぶり2度目のV。「選手が『監督を男にしよう』と言って頑張ってくれ、思わずウルっときちゃいました」と照れくさそうに笑った。

 関東大会は開催地のみに3校の出場枠が与えられており、1位校は準々決勝からの登場。つまり、1つ勝つとセンバツがグッと近づく“スーパーシード”をもらえる。今大会は全体的に投手力不足という印象。各校ともエースを連投させており、浦和学院は試合がひとつ少ない“地の利”を存分に生かし切った。このチームの中心にいたのが、171センチ、71キロと小柄な右腕・佐藤だ。新チームの柱になる投手が出て来ず、指揮官が「ストライクが入ること」を買ってマウンドに送り出した1年生が、持ち前の身体能力、度胸の良さを発揮。歴代エースたちのお手本のような投球フォームと比べると“野手投げ”に近いが、これが逆に球の出所を見えにくくし、打者は打ちづらい。スタミナも十分で、自身「初」の3連投に耐え、1番打者として打撃をも引っ張った。「小さな大投手。(ドカベンの)里中みたいでしょう。顔もかわいくて」と森監督はご機嫌だった。

 もうひとつの勝因は打線の成長。今大会は3試合でチーム打率.330を残し、22得点を挙げた。また主砲・沼田が準々決勝の千葉経大付戦でソロ、5番・日高が千葉経大付、準決勝・横浜戦で2試合連続本塁打した。埼玉大会でいつも使用する県営大宮球場は、両翼99メートル、中堅122メートルと広い。しかもフェンスが高いため、これまではあえて低い弾道で野手の間を抜くような打撃をすることが多かった。しかし、それでは全国では勝てない。そこで今年2月、社会人野球の日本通運で中軸を打った中村要コーチ(36)を招へい。「体全体を使い、しっかり、強いスイングができるように。また、積極的に振る勇気を持つように」練習を積んできた成果が出た。

 さらにこの秋、慣れ親しんだユニホームを「殿堂入り」させ、正式にオールジャパンのピンストライプのものに変更。「心機一転、頑張ります」と森監督。6年ぶりのセンバツはほぼ確実。“新生・浦学”の今後に注目だ。

◇えっ?森部長?

 大会パンフレットの浦和学院の欄には責任教師に森士監督の、監督には中村要コーチの名前が記されていた。「あれっ?いつ監督交代したの?」とビックリした高校野球ファンも多かったのでは?(もしかしたら気づいていなかった方がいるかも・・・)。実は安保隆示部長(40)が3年生の担任で、ちょうど大会期間は進路指導の真っ最中。大学などに提出した推薦書類にもし不備があった場合には、生徒たちの将来がかかっているのだから、速やかに対応する必要がある。ただし、いくら地元・埼玉での開催で学校は近いとはいえ、まさか責任教師が試合中に抜け出すわけにはいかない。そのため「万が一のこと」(安保部長)に備え、今回に限り緊急措置を取ったのだ。森監督は部長の仕事であるメンバー交換、攻守決めに立ち会ったりと、監督、部長2人分の役目を忙しくこなしていた。

<第41回明治神宮野球大会>

◇一発に沈んだ1年生エース

 日大三・菅沼の3ラン一発で沈んだのは浦和学院の171センチ、71キロの1年生エース・佐藤。6回からリリーフを仰いだが、森士監督は「関東大会の3連投などで疲労も残っていて制球力がなかった。ワンチャンスを持って行かれたが、これが強豪の力。いい勉強になったはず」とショックは少ない。この佐藤、打っては1番を任される切り込み隊長で、東北戦では中越え三塁打を含む5打数3安打2打点。7回には二盗成功と文字通り投打に大活躍。森監督は「運動能力の高い子で、どうしても佐藤におんぶに抱っこ。だが、彼に代わる1番打者はいません」と話したあと、「左の中山が登板できて大舞台を経験させられた。負けましたが吉永君から7安打したことは実績になると思う」と“渦を転じて福とする”表情だった。

◇神宮枠プラスで東京2校は決定 どうなる?関東・東京最後の1枠

 日大三の優勝で、東京からの出場枠が1校増えた。これで東京の準優勝校・國學院久我山に当確ランプが灯ることだけは間違いないだろう。関東・東京の一般選考枠は6。関東4、東京1は決定しており、最後の1枠を関東5校目、東京3校目(今回の場合)で争うことになるが、この“最後の候補”を選ぶのはなかなか難しい。

 東京からもう1校となれば準決勝で日大三に0-12でコールド敗退の昭和はやはり苦しく、國學院久我山に7-10で敗れた八王子が浮上してくる。関東の場合は、出場が確実と思われる4強に神奈川の2校(東海大相模、横浜)が入っており、県のバランスを考えて、群馬1位の前橋育英が最有力。関東大会で準優勝した東海大相模との準々決勝、5-8の試合が評価されそうなことと、春日部共栄は浦和学院と同じ埼玉で2位校、霞ヶ浦も水城と同じ茨城で2位校ということから。なお、東海大相模に最も善戦したのは木更津総合だが、今回は1つも勝っていないのが気にかかる。

 しかし東京にしても、関東にしても絶対的な決め手に欠けるため、どちらが選ばれるかは流動的。ちなみに慶応(神奈川)が優勝した翌09年のセンバツは、下妻二(茨城)が神宮枠で出場し、東京2校目で早稲田実(東京)が選ばれている。

(報知高校野球2011年1月号)

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