沖縄市野球場で行われていた広島の1次キャンプが13日、打ち上げとなった。右肩痛からの復活を目指す大竹寛投手(27)は、志願して今キャンプ4度目のブルペン入り。自身最多の72球を投げた。カーブ以外の変化球も解禁。順調な回復ぶりに他球団スコアラーは、開幕ローテ入りへ警戒を強めた。
気持ちよさそうに汗をぬぐった。その表情も明るい。投げ終わった後に右足をけり上げる勢いは、全盛期をほうふつとさせた。晴天に恵まれた沖縄キャンプ最終日。大竹が復活へ向けてギアを一段、上げた。
沖縄市野球場の一塁側マウンドで、捕手を座らせて72球。中盤からは肩に不安のあった投手とは思えない投球内容を見せた。小窪、岩本、丸を打席に立たせて、コースと球種を指定。肩に負担がかかると言われるシュートや、チェンジアップも投げた。言葉にもこれまでにはなかった前向きな姿勢が見えた。
「内容はそこまでよくはなかった。ただ、投げられたことが一番。恐怖感は取れないけど、攻めていかなきゃいけないと思っている。やらないことには前には進めない」
力感あふれる投球に、他球団もこれまでの見方を一変させた。開幕カードで対戦する中日の善村スコアラーは「表情がよかったし、肩を気にするしぐさがなかった。開幕に間に合うんじゃないかな。マエケン、バリントンと右の3人が、うちに来ることも考えないと」。阪神・飯田スコアラーも「シュートが投げられるということは、肩の状態はいいんでしょう。本人の気持ち次第というところまで来ているのでは」と警戒を強めた。
チーム内の評価も上昇一途だ。ネット裏で投球を見つめた山内投手コーチは「きょうは(球数、球種は)制限しなかった。沖縄では思ったより投げられていたし、希望的な部分も含めて(開幕までに)何とかなるんじゃないかという感じはある」と今後の順調な調整を願った。
6日に約4カ月ぶりとなるブルペン入り。その後も右肩には細心の注意を払い、宿舎では「今までで一番マッサージしているんじゃないかな」と話すほどケアに時間を割いている。今後については「あしたにならないと分からない」と慎重な姿勢を崩さなかった。だが、おぼろげながらも完全復活への道は見えてきた。
(デイリースポーツ)