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甲子園へ159校胸躍る 浦学、王座奪還へ「挑戦」

 第93回全国高校野球選手権埼玉大会の組み合わせ抽選会が17日、さいたま市民会館おおみやで行われ、昨年と同数の参加159チームの対戦カードが決まった。

 春季県大会優勝の花咲徳栄と、準優勝の上尾のAシード2校に続いて、同大会ベスト16のB、C、Dシードの順にくじを引き、その後にノーシードの各校が到着順に抽選に臨んだ。

 シード校はいずれも2回戦から登場し、10年ぶりの優勝を狙う花咲徳栄は富士見、27年ぶりの甲子園出場を目指す上尾は三郷北との顔合わせとなった。

 Bシード桶川は松山、浦和実は川口工と対戦。昨年覇者でノーシードの本庄一は2回戦で越谷西、今春の選抜大会代表でDシードの浦和学院は草加東の挑戦を受ける。

 開会式の選手宣誓は大会回数にちなみ93番のくじを引いた北本の小川弘輝主将が務める。

◇上位4シードの主将

■花咲徳栄

 2年連続で第1シードに座った花咲徳栄は10年ぶりの出場を狙う。昨年は決勝で敗れ惜しくも準優勝。岩井監督は「去年とことしは違う。まだ強さはないが、力を全部出し切って終われば結果はついてくる」とチーム力を信じる。

初戦は難敵の富士見との対戦。昨夏の5回戦で大勝した相手だ。主将の広岡は「途中まではいい勝負だった。粘り強いチームだが、自分たちも粘りでは負けない」と早くも試合を思い描く。岩井監督は抽選の前も後も変わらず「一戦一戦大事にやる」ことを強調した。

■桶川

 Bシード桶川は初戦で松山と対戦。主将の針谷は「初戦からいい相手と戦える」と昨秋、サヨナラ勝利を収めた相手に闘志を燃やす。

 「チーム打撃が良くなってきた」と針谷。春季大会で桶高野球の代名詞だった“攻める野球”に磨きがかかったようだ。それでも「泥臭く、地道に点を取りたい」とあくまで挑戦者として臨むつもりだ。

■上尾

 春季県大会準優勝でAシードの上尾は初戦で三郷北の挑戦を受ける。24年ぶりに出場した関東大会では全国区のレベルを目の当たりにした。主将の新井は「まだ駄目なところが多い。時間を大切に使いたい」と成長を誓い、高野監督は「楽に勝てる相手はいない。初戦がすべて」と引き締める。

 チームが目指すのは堅い守りとしぶとい打撃でつなぐ野球。高野監督も「競り合いで負けない勝負強さと集中力」を強調する。接戦を乗り越え勝ち進めば、27年ぶりの栄冠が待っている。

■浦和実

 浦和実は9年ぶりのBシードに収まり、川口工と対戦する。主将の上地は「やったことがないのでわからないが、相手より自分たちの野球ができるようにしたい」と話す。

 昨秋と今春の県大会でともに4強に入ったが、あと1勝というところで関東大会出場を逃している。上地は「秋も春もあと一歩で負けた。甲子園を取れるように全力でやりたい」と力を込めた。

◇選手宣誓、北本の小川主将

 人生初となる選手宣誓の大役に決まり、大きな拍手と歓声に包まれた北本の小川主将は「どれを引いても93番だと思っていた」と幸運を予感。東日本大震災の影響により県内の球場にも被害が及ぶ中で、「普段通り野球ができることに感謝し、選手の代表として元気よく声を出したい」と力を込める。

 「これから一緒に考えたい」と話す斎藤監督は鷲宮で指揮を執っていた1995年、阪神大震災後の選抜大会でも教え子が宣誓を務めた。数奇な巡り合わせに「最後のフレーズは決めている」と神妙な面持ち。復興を目指す日本に活力を与える宣誓を期待したい。

◇王座奪還へ「挑戦」

 選抜大会出場の浦和学院は春季県大会3回戦で市川口に敗れ、Dシード。初戦の2回戦で草加東との対戦が決まり、「余裕はない。どこが相手でもわれわれはチャレンジャー」と森監督。主将の小林も「わくわくしている」と気負いはない。

 開幕まで1カ月を切った現在は実戦形式での練習を重ね、平日も練習試合で試合勘を養う。エース佐藤が調子を上げ、課題の投手力にもめどがついた。小林は「磨いてきた技術を試合で発揮するだけ」と王座奪還へ闘志を燃やした。

◇ノーシードで連覇に挑戦

 昨年王者の本庄一は甲子園に出た過去2度と同様にノーシードから頂点を狙う。須長監督は「ことしは何もないよ」とはぐらかしつつ、「去年は力があったが、今回は未知数。接戦を一つ一つ拾っていけば、去年のような雰囲気が出てくる
だろう」と冷静に分析する。

 昨年の優勝メンバー4人が残る。主将の岡野は「去年は先輩がやったこと。自分たちは一戦一戦全力でやる」。甲子園のマウンドを経験した左腕設楽は「甲子園ではふがいなかった。もう一回行きたい」と目を輝かせた。

◇創部2年目で念願の初出場

 大宮開成が創部2年目で初出場。「大好きな野球で青春を送りたい」という主将の井上らの熱意が実を結んだ。春には1年生14人が入部し、部員数は23人となった。

 3年生8人のうち、経験者は4人。中野監督は「初心者も多いが、純粋で向上心が強い」と頬を緩める。井上は「やってきた成果をぶち込んで勝ちたい」と歴史に刻む1勝を目指す。

◇本命なく群雄割拠

 優勝争いはAシード花咲徳栄、上尾を軸に、選抜大会出場の浦和学院、昨秋準優勝の春日部共栄などが絡む展開か。浦和実、桶川のBシード以下は本庄一、聖望学園など私立強豪のほか、公立の鷲宮、市川越、大宮東など力の差はなく混戦だ。

■春日部共栄-上尾ゾーン

 上尾のほか、春日部共栄、聖望学園を中心とした戦いが予想される。上尾は三宅、伊藤の左腕二枚看板を擁し、粘り強い野球が持ち味。春日部共栄は右腕竹崎、聖望学園は右腕滝瀬を柱に、攻守とも総合力が高い。両校は順当に行けば5回戦で当たる。狭山ヶ丘は投打ともにまとまりがある伏兵。川口、昌平も侮れない。

■花咲徳栄-市川口ゾーン

 昨年準優勝メンバーの大塚、田中らを擁する花咲徳栄が一歩リードしている。しかし、初戦の富士見は左腕川口ら昨夏の主力6人が残る強敵。春日部東、南稜、立教新座も投打に地力を備える。反対側では、古川大ら打線が活発な市川口をはじめ、投手力が自慢の所沢北、秋8強の朝霞など公立勢が上位をうかがう。

■浦和実-市川越ゾーン

 シードを中心に力が接近し、どこが勝ってもおかしくない激戦だ。秋春連続4強の浦和実は左腕早川ら投手を打線がどこまで支えられるか。市川越は左腕大岩根の復調が鍵になる。好左腕の増渕が軸の鷲宮、右腕安本に期待の大宮西も実力校。昨年王者の本庄一は底力がある。昨年4強の川越東はダークホースだ。

■大宮東-桶川ゾーン

 Dシードに控える浦和学院がけん引する展開になりそう。右腕佐藤、3番小林ら選抜出場メンバーが健在だ。初シードで攻撃的野球が持ち味の桶川は初戦の松山から気の抜けない戦いが続く。大宮東は今川ら強力打線で勝負。埼玉栄は投手を中心とした守りが堅い。秋8強の慶応志木、打力のある栄北も勝ち上がる可能性を秘めている。

(埼玉新聞)

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