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はばたけ浦学:センバツへの軌跡2012(下)石巻の園児から横断幕

「勝利を届けたい」

約2週間かけて作った横断幕を前に園児らも思い思いのポーズで応援=鹿妻・渡波保育所提供

約2週間かけて作った横断幕を前に園児らも思い思いのポーズで応援=鹿妻・渡波保育所提供

 センバツ出場が決定した翌日の1月28日。宮城県石巻市の鹿妻(かづま)・渡波(わたのは)両保育所の園児28人が作った横断幕が、同市を訪れた浦和学院の職員に手渡された。津波の被害を受けた渡波保育所の園児たちは鹿妻保育所で過ごしている。

 赤、青、ピンク、色とりどりの水玉と、ニコニコ笑う子供たちの似顔絵が描かれた横断幕には「浦和学院のお兄ちゃんがんばって!!」と書かれている。鹿妻保育所の阿部たか子所長は「これまでの支援に感謝しています。甲子園出場おめでとう。全力で頑張ってください」とのメッセージを寄せた。

 東日本大震災の発生直後から、浦和学院は宮城県石巻市を中心に独自の支援を続けてきた。ペットボトルに掃除などに使う生活用水を詰めて送ったり、同校で保有する散水車を貸与したり。被災地の少年サッカーや少年野球のチームを同校に呼んで交流も行った。小沢友紀雄校長は「学業や部活動だけではなく、生徒たちには大震災を前にして自分で感じたり考えたことを行動に移してほしかった」と明かす。

 学校ぐるみの支援を続ける中で、野球部は昨年12月21~24日と今年1月6~10日の2回に分けて夜行バスで石巻市に入り、ごみ拾いや保育園児らとの交流を行った。

 12月22日には鹿妻保育所で園児にクリスマスカードとお菓子をプレゼントし、ブランコや縄跳びで遊んだ。翌23日には、津波の被害を受けた住宅跡でごみ拾いをした。泥で汚れた洋服や茶わんのかけら、写真を一つ一つ拾って麻袋に入れていく。午後3時までの5時間で直径1メートル以上の袋15個がいっぱいになった。ごみを拾った石橋司外野手(2年)は「津波がこんなに恐ろしいとは思わなかった。苦しい気持ちでいっぱいになる」と顔をゆがめた。

 選手とともに被災地に入った森士監督は「一人一人が自らを見詰め直す時間になった」と振り返る。石巻市から戻った後、選手全員がリポートを書いた。その中で、西岡伸朗選手(2年)は「これからも東北の方々が元の生活に戻れるように何らかの形で貢献したい。その一つとして今は高校野球をやっているので甲子園でテレビを通してみんなを勇気づけられるようなプレーをする」と誓った。

 1月30日、横断幕が浦学の校舎正面入り口に掲げられた。笹川晃平外野手(2年)は言う。「つらい思いをしているはずなのに応援してくれる人たちにプレーだけでなく勝利を届けたい。『一緒に遊んだお兄ちゃんだ』と思い出し、少しでも頑張る気持ちが湧いてくるように。自分たちにできることはそれぐらいしかない」

 大会開幕は3月21日。被災地からの応援に背中を押され、浦学の「日本一」を目指す戦いが始まる。

(毎日新聞埼玉版)

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