「お前もノックに参加しろ」「配球を考えてバット振れよ」。20日、浦和学院野球部のグラウンドに、来月3日に卒業式を控えた3年生の声が飛んだ。
同校野球部では約10年前から、夏の大会を最後に試合から引退した3年生が新チーム発足後も1、2年生の練習を手伝っている。
22人の3年生の多くが進学先の大学でも野球を続けるため自主練習を兼ねているが、森士監督は「心強いサポーターだ。現役を離れた分、みんなのプレーや体調を客観的に見る余裕があり、自身の経験から適切なアドバイスを与えられる」と、その効果を説明する。
昨年11月に甲府市であった関東大会には3年生9人がチームに帯同し、対戦相手を想定した打撃投手を務め大会連覇に貢献した。
20日にグラウンドでノックを手伝っていた3年生の中山智弘選手は1、2年生について「自発的に質問してきたり成長を感じる」。同じく3年生の今栄尚人選手は「みんな自覚が出てきた。卒業までできる限り練習に来たい」と話した。
3年生の思いは1、2年生にも伝わっている。笹川晃平選手(2年)は「3年生に練習を見られていると『怠けてられない』と思う」と気を引き締める。相ケ瀬大樹選手(同)は「これまでチームが勝てたのは先輩たちのおかげ。甲子園で勝って恩返ししたい」と話していた。
(毎日新聞埼玉版)