【写真】お世話になった宿舎の従業員らにあいさつする選手=兵庫県伊丹市(朝日新聞埼玉版)
第84回選抜高校野球大会で、浦和学院(埼玉)は打線爆発の初戦と2戦目の投手戦を勝ち抜いて、8強入りを果たした。3試合で失策なしの鉄壁の守りを見せたものの、好機であと1本が出ない打線など課題も見えた。
昨春の選抜大会で投球が乱れ、初戦敗退の一因となった佐藤拓也投手(3年)。昨秋まで不調だったが、本来の実力を取り戻し、今大会では背番号「1」をつけて甲子園に戻ってきた。
3試合計22イニングで与えた四死球は三つ、失点5。切れのあるスライダーやツーシーム、カーブとの緩急で、相手打線をねじ伏せた。山口瑠偉投手(2年)も5回無失点。守備陣は、テンポの良い投球に合わせ、完全に守りきった。
初戦の敦賀気比(福井)戦は、森士(おさむ)監督が「非常に落ち着いて、相手のミスをうまく突いて加点できた」とほめるほど打線がつながり、11安打10得点で圧勝した。
2回戦の三重戦は一転、緊迫した投手戦に。140キロ後半の直球とスライダーが持ち味の相手主戦に苦戦したが、2安打2得点で辛勝した。「初戦と比べて低めに集められた」という佐藤投手の無四死球の制球力と緩急が光った。
準々決勝は、150キロ超の直球が武器の藤浪晋太郎投手(3年)を擁する大阪桐蔭(大阪)と対戦。継投で8回を終えて2―1、勝利までアウト二つに迫って逆転された。10安打の大阪桐蔭に対して浦和学院は11安打。9回裏に好機がめぐったが1本が出なかった。
森監督は善戦した大阪桐蔭戦後、宿舎でミーティングし、「一人ひとりが夏に向かって、精神面、技術面で課題を克服してほしい」などとげきを飛ばしたという。
大阪桐蔭戦後、「全国で勝つためのテーマが見えてきた」と森監督。「打撃力と機動力。このレベルになるとあとひとつ足りない。決め手に欠けている」と夏へ気持ちを切り替えた。
選手は3月31日、滞在先の兵庫県伊丹市の宿舎から雨の中を最寄り駅まで歩き、新幹線に乗り継いで埼玉に戻った。1日から夏に向けて練習が始まる。
(朝日新聞埼玉版)