甲子園出場がいよいよ目前に迫った浦和学院(さいたま市緑区)。全国制覇に向け、食べて勝つ!とばかりに、部員の食事は1日7回。約3キロのどんぶりご飯をぺろりと平らげ、パワーの源にしている。
「いただきます!」
午前7時半、食堂に早朝練習を終えたばかりの選手たち約40人が威勢の良いあいさつを響かせた。おかずはソーセージやいり卵、ミックスベジタブルなど。どんぶりには炊きたてのご飯が約300グラム。数分すると、湯気が立ち上る大釜の炊飯器の前に列が出来た。
「420グラムですっ」「360グラムですっ」
おかわりは、重さを量ってコーチに申告しなければならない。体重や体脂肪率などから、選手ごとに食べるご飯の量が決められている。ベンチ入りメンバーで平 均身長約176センチ、体重74キロ程度。朝昼晩で計約2300グラムのほかに、おにぎりなどの「間食」が4回分で約700グラムを食べる。
じっとしていても汗が噴き出る炎天下。猛練習する選手は、普通に食べているだけでは痩せてしまい、体がもたないのだという。
調理を担当するのは野球部OBの田村雅樹さん(35)。毎日午前5時ごろから午後10時ごろまで食堂に詰め、5升炊きの炊飯器2台をフル稼働させ、栄養バ ランスのとれた献立で調理する。練習メニューによって食事の時間が変わるため、コーチと相談して時間を見計らい、いつでも出来たてを食べさせている。
「一生懸命、練習してきた選手に、温かいものをたくさん食べてもらいたいですから」と田村さん。取材の記者も時々、「小盛りの丼」をお相伴にあずかる。ホカホカをほおばると、おかわりが欲しくなる。
(朝日新聞埼玉版)