東日本大震災が起きてから、これまでに20回を超える支援活動を続けてきた浦和学院高校(さいたま市緑区)が、市文化センター(同市南区)に石巻市立北上中学校の畠山卓也校長らを招き、震災当時の状況を伝える講演会を行った。
浦和学院が支援物資を送ったり、被災地の子供と交流したりしてきた活動が9月に1冊の本にまとめられ、刊行に合わせて10月10日に講演会が開かれた。同校生徒や一般来場者ら約2800人が集まった。
生徒ががれきの撤去をしたり、炊き出しをしたりする様子を写真で紹介。その後、畠山校長は、宮城県南三陸町が津波にのまれる映像をスクリーンに映した。80人を超える児童や教職員が死亡・行方不明となった同市立大川小学校周辺の震災前後の空撮写真も映し出された。
「亡くなられた方の多くは、家族を待った人、家族や財産のために家に戻った人。もし大切な人に避難を阻まれたら、払いのけてでも逃げなさい」
住宅街をのみ込む津波の映像と、生き延びるための厳しい言葉に、涙を流す人もいた。静まり返る場内で、畠山さんは「皆さんならどう逃げるか。この経験を伝え、避難の訓練をしなければならない。あなた方には、何としても生き残ってほしい」と、繰り返し訴えた。
昨冬、支援活動に参加した野球部の明石飛真さん(3年)は「実際に被害を見て、言葉を失った時のことを思い出した。12月にまた行くので、出来ることは全部やりたい」と意気込んだ。
(読売新聞埼玉版)