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実力拮抗し激戦の夏 第105回全国高校野球埼玉大会、あす開幕

【写真】抜群の打撃センスで好機を演出する浦和学院の1番小林

 第105回全国高校野球選手権記念埼玉大会は8日、県営大宮球場で連合5チームを含めた145チーム(156校)が参加して開幕する。

 秋、春と県大会を制し、初の甲子園を目指す昌平と2年ぶりの王座奪還を狙う浦和学院のAシード勢を、Bシード大宮東、市川越が追う。県内で唯一、選手権を制した経験のある花咲徳栄、地力のある山村学園も黙っていないだろう。実力が拮抗する中、どこが優勝してもおかしくない激戦の夏になりそうだ。

 たった一つの甲子園出場権を懸けた戦いの行方を四つのゾーンに分けて探った。

昌平-大宮南ゾーン「頭一つ抜ける昌平」

 秋春2冠を達成し、現チームで県内負けなしのAシード昌平が総合力で頭一つ抜けている。大宮南などのシード勢やノーシード滑川総合らがどこまで食い下がることができるか。

 昌平は、高校日本代表候補の主将斎藤が4番捕手で攻守の要。強みの打力に走塁を絡め、多彩な得点力で他を圧倒したい。2番金子を筆頭に菅沼、山根、桜井ら下位までミート力が光る。制球力の高いエース渡辺俊、140キロ超え右腕佐藤立らタイプの異なる投手を攻略するのは至難だ。

 大宮南は、誰でも仕掛けられる機動力が最大の特徴。1番今井、2番海北が確実に出塁し得点につなげたい。投げては、高山、越石の両右腕が2枚看板を形成する。昨夏王者の聖望学園と対戦する初戦の2回戦は熱戦が予想される。

 Dシード勢は守備力が鍵を握る。川口は緩急を巧みに操るエース遠田と捕手土屋の3年バッテリーが中心。酒井、岡野、寺垣、浜本の2年内野陣が確実にアウトを重ねたい。東農大三は捕手金子が冷静なリードで投手陣を引っ張る。エースの左腕金井は強気に内角を突き、2年右腕の加藤、青木は速球で勝負する。

 昨秋、188センチから投げ下ろす変化球で花咲徳栄を9回3失点に抑えた滑川総合の橋本や、1年秋から主力で戦う浦和実の上田、清田ら好右腕の投球にも注目だ。

上尾-大宮東ゾーン「シード中心に混戦」

 Bシード大宮東、Cシード上尾の古豪に、県内唯一、夏の全国頂点を知るDシード花咲徳栄も加わり、激戦区となりそうだ。

 守り勝つ野球を身上とする大宮東は、直球で押せる184センチの好左腕冨士を軸に、近藤、山田の2年トリオに期待がかかる。昨夏を経験した本格派右腕森川ら6人の投手を捕手川合が巧みなリードでまとめる。1番白田が打線をけん引し、桑野、恩田、大高ら中軸のバットで投手陣を早めに援護したい。

 上尾は変化球主体で投球を組み立てる2年左腕飯島が主戦。藤村、北内らが台頭し投手陣に厚みが増した。経験豊富な1番岡安の出塁率は高く、器用な2番加藤で好機を広げたい。香川、駿河、屋代の3~5番できっちりかえすのが理想だ。

 秋春と苦しんだが、夏に強い花咲徳栄は巻き返してくるだろう。今夏から公式戦に復帰する小野を4番に据え、昨夏主力の増田、斉藤、柴田を後ろに置くなど打線は分厚い。順当に勝ち上がれば上尾と対戦する可能性がある5回戦がヤマとなりそうだ。

 Dシード秀明英光は、捕手で4番の山崎を中心に粘り強さを発揮したい。シード以外では、初戦の2回戦で上尾とぶつかる川口市立も実力十分。スライダーが持ち味の右腕金子を擁する浦和麗明も面白い存在になりそうだ。

市川越-西武台ゾーン「強豪並び白熱予想」

 Bシード市川越、Cシード西武台らシード勢に加え、ノーシードに春日部共栄、川越東、武南ら強豪校が並び、序盤から白熱した争いが繰り広げられそうだ。

 市川越は、俊足巧打の1番南から9番西見までつなぐ意識が高い。3番畠山は小柄ながら長打も多く、7番霜田、8番深谷は小技を絡められる。投手陣はエース西見を中心に投球術に長け、小田、今野、曽根への継投で最少失点に留める。

 西武台は、広角に打てる2番金田、走攻守そろう3番太田が得点源。初戦の2回戦は、右腕石嶋、吉田、左腕村田の3人を軸に守りを固める武南が相手。昨夏8強同士の対戦は、どちらに軍配が上がるか楽しみな一戦だ。

 秋季関東大会8強の山村学園も、優勝争いに名乗りを上げる。2年左腕西川、中嶋に、3番川窪、川村が控え、相手打者に捉えさせない細かな継投も予想される。勝負強い2番今岡、3番高野の前に走者をためれば、磨いた走塁で一気に本塁を突けるだろう。

 Dシード春日部東は、コントロール抜群の一郎丸が背番号1。和久、梶山、矢治のクリーンアップに好機で回したい。ノーシード春日部共栄は主将の伊藤、小林、鳥谷越らが長打力を備え、虎視眈々と上位進出を見据える。山村学園と初戦で戦う川越東も、昨夏ベスト8と侮れない。

狭山清陵-浦和学院ゾーン「多彩な投手ずらり」

 Aシード浦和学院が筆頭。Cシード狭山清陵、Dシード埼玉栄、立教新座が対抗馬となれるか。深谷商、正智深谷、狭山ヶ丘など好投手を抱えるチームも並んだ。

 浦和学院は、昨チームから1番を担う小林が攻撃のキーマン。月山、濱野、喜屋武、三井と走力、打力を兼ね備えるタレントがそろう上位は脅威となる。投げてはエース左腕伊藤が打たせて取り、140キロ中盤の渡邉、月野、田中の右腕トリオら計6人で組み立てる。

 狭山清陵は、エース八巻が手元で伸びる直球と多彩な変化球で打者を翻弄し、鎌田、鈴木大ら計5人の右投手で抑えに行く。不動の1番森谷、4番井上は役割に徹する。上位から移動した7、8番の本多、肱黒ら下位が勝負強さを見せられるか。

 埼玉栄は、春季県大会3回戦で浦和学院から10安打を放った打力で今夏も打ち勝ちたい。3番楯、4番新川が打線の火付け役だ。初戦の2回戦で最速146キロのエース右腕加藤を擁する狭山ヶ丘が立ちはだかる。

 2年5人の先発入りが予想される立教新座は、3年が精神的支柱となり投打とも戦力が厚い。左腕並木の投球と左打者住井のバットに期待したい。深谷商の身長188センチ、体重97キロの大型右腕鈴木、正智深谷の河村、木村の右腕2本柱も投手戦となれば奮闘しそうだ。

(埼玉新聞)

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