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巨人・石井義人選手(17期生)がサヨナラ打 CS最終ステージ

 巨人がクライマックスシリーズ(CS)最終ステージ(S)で2位・中日にサヨナラ勝ちし、3年ぶりの日本シリーズ進出へ、「逆王手」をかけた。同点で迎えた9回1死満塁で代打・石井が左前にサヨナラ打。3連敗からの2連勝で、対戦成績を3勝3敗(1勝アドバンテージ含む)の五分に戻した。22日の第6戦、巨人が勝つか引き分ければ、日本シリーズ進出が決まる。

 ベンチ、スタンド、全員の気持ちは、みんな一緒だった。お立ち台に立つなり、石井が絶叫で代弁した。「最高でーすっっ」。大歓声は地鳴りに変わった。

 劇的すぎる幕切れが待っていた。9回1死満塁から「代打・谷」の代打で登場。カウント1ボール2ストライクから、山井の内角直球を押し返した。打球がふらふらと舞い上がり、左翼線にポトリと落ちた。

 サヨナラだ。石井が右腕を突き上げたのを合図に、ナインが一斉にベンチを飛び出した。「みんながつないでくれたチャンスだったので、思い切りいきました。なんとか落ちてくれと思って走りました」。仲間たちにもみくちゃにされると、最後は興奮で顔を真っ赤にした原監督とがっちり抱擁。指揮官は「しぶとさというか、1打席という代打の中で本当に素晴らしい」と褒めちぎった。

 昨オフに西武を戦力外に。トライアウトで巨人入りが決まると、野球ができる喜びを痛いほど実感した。以前は験担ぎにすがることなどなかったが、ワンプレーにかける思いの重さが決定的に変わった。打席に向かう際にはエルボーガード、レッグガード、革手袋の順に身支度を整えることを崩さない。

 「気休めですけど、自分の中で何かに寄りかからないと、不安になるんで」。祈りを込めながら「義人」と「由美」夫人、愛犬「キノコ」「タケノコ」の頭文字「YYKT」の刺しゅうが入った用具を装着する。もはや気休めではない。最強の代打職人を支える大事な儀式だ。

 ささやかな偶然にも後押しされた。試合前の練習中、東京ドームに「TUBE」の「傷だらけのhero」が流れた。浦和学院高1年時に夏の甲子園に出場した際、「熱闘甲子園」(テレビ朝日系)のテーマ曲に使われた、思い出の1曲だ。

 その大会では、1回戦の姫路工(兵庫)戦で9回に代打で出場。二塁打を放ち、逆転勝利の足がかりをつくった。「この曲だけは忘れないね」。二十数年の時を経て、当時の記憶に重ね合わせるかのように、同じく負けられない一戦で、値千金の一打を生み出した。

 最終Sはまさかの3連敗スタートだったが、土俵際から一気に押し返した。「とにかく気持ちでいけば勝てるし、札幌に行ければいいですね」と石井。原監督も「重圧のかかった中で2試合戦って、非常にいい結果で明日を迎える。明日は逆にのびのびとね、しっかり戦っていきたい」と締めくくった。

 日本シリーズをかけた中日との最終決戦は、伝説となった「10・8」の再現だ。すべてをかけた戦いで、すべてが決まる。

 ◆「10・8決戦」 1994年10月8日に長嶋監督率いる巨人と高木監督の中日が、ナゴヤ球場で戦った史上初の「同率首位のチーム同士による最終戦での優勝決定戦」。巨人は槙原-斎藤-桑田の3本柱による必勝リレーで中日を下し、長嶋監督復帰後初の優勝を飾った。試合前に選手宿舎で行ったミーティングでミスターが「俺たちは勝つ! 勝つ! 勝つ!」と猛ゲキを飛ばし、「国民的行事」と呼んだ伝説の一戦は、瞬間最高視聴率67%をマークした。

(スポーツ報知)

◇巨人・石井、サヨナラ打を“予言” 18年前の夏の再現打

 巨人の石井は予言していた。試合前練習中のこと。場内BGMに体をほてらせた。「これ、俺が高校時代の熱闘甲子園のオープニング曲だ」。

 流れたのはTUBEの「傷だらけのhero」。94年夏の甲子園に浦和学院の1年でベンチ入りした石井は、宿舎のテレビの前でこの曲を聴き続けた。

 初戦の姫路工戦は、2点を追う9回1死から代打・石井の中越え二塁打をきっかけに3点を奪い大逆転勝利を収めた。「う~ん、思い出すね。きょうも代打で決めたろう!」。

 16歳だった当時から代打での勝負強さは健在。「今の俺は“よだれだらけのhero”だけどね」と石井は照れ笑いした。

(スポニチ)

◇決着つけた巨人・石井 「最高です」と絶叫

 両チーム一歩も譲らない総力戦に決着をつけたのは、巨人の左の代打の切り札・石井だった。昨オフに西武を戦力外になり、トライアウトを経て巨人入りしたプロ16年目の34歳。ヒーローインタビューで「最高です」と絶叫した。

 九回1死満塁で代打・谷の代打として打席に入った。初球から積極的にバットを振った。「落ちてくれという気持ちで走った」。その願い通り、中日・山井のカウント1ボール2ストライクからの5球目、直球をしぶとく左前に落とした。

 「みんながつないでくれたので何とかしようと思った」と必死さを強調した石井。先頭打者として中前打で出塁した代打・矢野をはじめ、同じ控えの選手たちがサヨナラ機をお膳立てしてくれてもいた。

 今季のレギュラーシーズンでの代打での成績は、37打数15安打と4割5厘の好打率を誇る。埼玉・浦和学院高から97年に入団した横浜(現DeNA)を皮切りに、西武、巨人と3球団を渡り歩いてきた。その石井が常々口にしているのが「拾ってもらって、感謝しています」という言葉だ。

 1敗もできない窮地から、選手層の厚さを見せつけての劇的なサヨナラ勝ちで2連勝を飾った巨人。「この勢いを明日につなげられればいい」と石井。苦労人がバットで最高の恩返しをした。

(毎日新聞)

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野球大好き
野球大好き
2012年10月22日 1:50 PM

「TUBE」の「傷だらけのhero」
懐かしいなぁ~
夏の高校野球シーズンは必ずカラオケで歌ってしまいます(^^ゞ
浦学OBの活躍が嬉しいですね。(^^)

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