【写真】優勝旗を持った高田主将を先頭に球場を行進する浦和学院ナイン(東京新聞埼玉版)
第65回春季関東地区高校野球大会の決勝が二十二日、宇都宮市の宇都宮清原球場であり、浦和学院(埼玉1位・推薦)は4-1で前橋育英(群馬1位)に勝利し、3年ぶり4度目の優勝を果たした。初優勝を飾った今春の選抜大会から公式戦14連勝となり、夏の大会に向けて弾みをつけた。
前橋育英とは昨秋の関東大会準々決勝で対戦して勝っており、相手にとっては雪辱戦だった。浦和学院打線は、相手の二年生エース・高橋光成(こうな)投手に四回まで無安打に抑えられた。
0-0で迎えた五回、浦和学院は連打などで1死二、三塁とし、服部将光選手(三年)の2点適時打で先制。さらに贄(にえ)隼斗選手(同)の適時打で加点し、優位に立った。3点のリードをもらった先発の山口瑠偉投手(同)は、粘りの投球で八回のピンチも1失点で乗り切り、今大会2度目の完投勝利でチームを関東王者に導いた。
優勝後、ナインに浮かれた様子はなく、高田涼太主将(同)は「(夏の大会への)通過点の中で優勝できたのは良かったが、まだまだ地力が足りない」と真っ先に課題を挙げた。森士(おさむ)監督は「夏の埼玉大会は激戦になる。この大会の収穫を生かして本番に臨みたい」と話した。
◇「実力」の決勝打 浦和学院3年 服部将光左翼手
五回1死二、三塁で迎えた第2打席。相手投手の140キロ超の直球やキレのある変化球に苦しめられ、チームが最初につかんだチャンスだった。「どんな球でも食らいつく」。ファウルで7球粘り、フルカウントから鋭く振り抜いた打球は中前へ。2走者が生還し、決勝打となった。
「うれしかった」と一塁上で控えめにガッツポーズをつくった。打撃には苦手意識があり、スタメン入りした昨秋の打率は2割台と低迷した。今春の選抜大会では適時打を放つなど活躍したが「たまたまではないか」との思いが付きまとった。
甲子園の結果に満足することなく「ボールに対して逃げ腰になっている」といった課題を意識してスイングに励んだ。すると春の県大会以降「少しずつヒットが増えてきた」という。森監督も「甲子園ではラッキーボーイ的な存在だったが、打てるようになってきた」と成長を認める。
打撃面で確かな手応えを感じた今大会。「目標は夏の全国制覇。勝つための戦力になりたい」。ラッキーボーイとは、もう呼ばせない。
(東京新聞埼玉版)
◇強打の九番が本領 浦和学院・服部将光選手(3年)
五回裏1死二、三塁。「みんなが作ってくれたチャンス。なんとか還したかった」。外角の直球を鋭く振り抜くと、打球は中堅前で弾んだ。均衡を破る一打に、思わずガッツポーズした。
新チームでレギュラーに抜てきされた。ところが、昨秋の公式戦は調子がなかなか上がらなかった。「逃げ腰になっていて、全然打てなかった」
森士監督らのアドバイスを受けながら、自らの打撃を見直した。バットを振り込むうちに、打席で迷いが消えていった。「ボールに向かっていけるようになった」。今春のセンバツ大会では、何度も効果的な一打を放ち、初優勝に貢献した。
今大会も九番打者として全試合に出場。森監督は「自信を持てない部分があったようだが、精神的に成長したと思う」と評する。
「練習の時の一球一球から自分のできることを全力でやりたい。目標は夏の全国制覇」。浦学打線を支える強打の「九番」打者が、力強く宣言した。
(毎日新聞埼玉版)