【写真】8回2死3塁、適時2塁打を放ち、だめ押しの4点目をあげる(読売新聞埼玉版)
「取られたら、すぐ取り返そうぜ」
そんな言葉を仲間たちと掛け合い、気合を入れて打席に立った。八回の守りでリードを3点から2点に縮められ、接戦にもつれ込みかけた裏の攻撃、二死三塁。「緩い変化球を狙った」。読み通りの球を振り抜く。左翼への適時二塁打で、しっかりチームに貢献した。
前日の準決勝。4打数4安打と大暴れしたが、アクシデントにも見舞われた。序盤、相手選手のスパイクが右すねに当たって流血した。傷口の痛みと風邪気味だったことが重なり、夜は38度近い熱でうなされた。
当然、決勝は頭がさえず、ベンチではずっとぼんやりしていた。一回の守備では今大会チーム唯一となる失策も記録し、第3打席まで安打も出なかった。それでも、選抜優勝校の主将で4番を務める身。「この試合を無安打で終えるわけにはいかない」と、最後は意地で体調不良を振り払った。
「関東大会の優勝は通過点。夏の大舞台が勝負」。力強い言葉が、よく似合う。
(読売新聞埼玉版)