昨年、2年生エースとして甲子園を沸かせた「ビッグ3」が最後の夏を迎える。最速157キロを誇る済美(愛媛)の安楽智大(ともひろ)、夏連覇に挑む前橋育英(群馬)の高橋光成(こうな)、選抜を制した浦和学院(埼玉)の小島(おじま)和哉の3投手。今春は立てなかった甲子園のマウンドへ――。それぞれが思いをはせる。
5日の練習試合。安楽は鳴門渦潮(徳島)を4安打完封した。翌日は明徳義塾(高知)に2本塁打を含む13安打を浴び、7失点したが、「連投の疲れはなかったし、不安は全くない」と話す。昨年9月に右ひじを痛めてから公式戦登板がない。下半身や体幹を強化し、実戦で投げ始めたのは4月。夜遅くまでシャドーピッチングをしてフォームを固め、球速は147キロまで戻った。
自己最速をマークし、終盤に2点差を跳ね返した昨夏の愛媛大会準決勝の記憶は鮮明だ。「あの157キロは球場の雰囲気を変えた。今年もそんな投球をがむしゃらにする」と誓う。
夏の連覇がかかる高橋は「うちは1回戦負けチームなので意識はしません」。秋以降、公式戦で1勝もしていない。今春の県大会は1回戦でコールド負け。自身も1月の練習で右手親指を骨折し、投げられなかった。
状態はようやく上がってきた。6月28日の練習試合では雨でぬかるんだマウンドで141キロを計測。群馬の山間部で育ち、のんびりとした性格の右腕は「負けたら終わりの夏だけど、プレッシャーを感じずにやりたい」とどっしり構える。
浦和学院の小島は昨夏は1回戦で11失点して春夏連覇が消えた。「悔しさしかない。自分がどれだけ成長したか、見せつけたい」。暑さに負けないため、6月は投げまくった。50メートルほどの距離の遠投を交えながら、多い時は1日300球。約2週間、ほぼ毎日投げ込んだ。「最後は甲子園で。1試合1試合、最高の投球をします」
(朝日新聞)