第87回選抜高校野球大会(3月21日から12日間・甲子園)の出場32校は23日の選考委員会で決まる。昨年の秋季大会の成績を資料とし、一般選考29校(東北地区の神宮大会枠1を含む)と21世紀枠3校を選ぶ。出場有力校を探った。
◇北海道
枠は1校。昨夏の甲子園大会に出場し、秋季大会を制した東海大四の14年ぶり選出が確実視される。伝統校の北海は決勝で1点差の惜敗だったが、逆転は厳しい。
◇東北
神宮大会枠を含めて3校を選出する。明治神宮大会優勝の仙台育英(宮城)は文句なし。公立の大曲工(秋田)は決勝で4-10と打ち込まれたが、春夏通じて初の選出に問題はないだろう。3枠目は、4強入りした八戸学院光星(青森)と準決勝で大曲工に1点差で敗れた鶴岡東(山形)が争う。
◇関東
東京を合わせて6校。秋季大会で頂点に立った一昨年の選抜大会覇者、浦和学院と準優勝の木更津総合(千葉)は当確。4強の高崎健康福祉大高崎(群馬)常総学院(茨城)も濃厚だ。東京と争う5校目は準々決勝で浦和学院に敗れた東海大甲府(山梨)が一歩リードと見る。同じく8強の松戸国際(千葉)や川越東は地域性が懸念材料になる。
◇東京
秋季大会王者、東海大菅生の優位は揺るがない。決勝で2-3で敗れた二松学舎大付は、関東勢との比較となる。
◇東海
2校選出で、秋季大会で頂点に立った静岡は16年ぶりの出場が確実。好投手、高橋を擁する県岐阜商は決勝で1点差の惜敗と内容が良く、異論が狭まる余地はなさそうだ。いなべ総合学園(三重)は準決勝で県岐阜商と接戦を演じたが、脅かす存在にならないだろう。
◇北信越
枠は2。昨夏の甲子園大会4強で秋の覇者、敦賀気比(福井)は文句なし。決勝まですべて1点差で勝ち上がった松商学園(長野)は、準優勝した1991年以来の選抜切符を手にしそうだ。準決勝で敦賀気比にコールドゲーム負けした富山第一は、逆転するだけの要素に乏しい。
◇近畿
6枠。秋季大会を制した天理(奈良)と準優勝の立命館宇治(京都)、選抜大会連覇に挑む龍谷大平安(京都)と奈良大付の4強組の選出は問題ない。これに準々決勝で天理に1点差で敗れた昨夏の甲子園大会王者、大阪桐蔭が続く。
最後の枠は近江、北大津の滋賀勢と箕島(和歌山)の争いが予想される。試合内容では奈良大付に惜敗した箕島が上回るが、近江が2-6で敗れた立命館宇治は決勝に進出しており評価は分かれそう。北大津は滋賀大会決勝で近江に敗れた点がマイナス材料か。甲子園球場のある兵庫勢は33年ぶりの選出ゼロの窮地にある。
◇中国
四国と合わせて5枠。秋季大会覇者の宇部鴻城(山口)の12年ぶりの選出は確実といえる。延長十一回の決勝を戦った岡山理大付も順当に選ばれるだろう。四国勢と争う5枠目は、準決勝で宇部鴻城と0-1の接戦を演じた米子北(鳥取)が優勢だが、鳥取大会3位という点で評価が分かれる可能性もある。宇部商(山口)は準決勝の試合内容と地域性が難点か。
◇四国
秋季大会を制した英明(香川)の選出は文句なし。準優勝した今治西(愛媛)の選出も順当だろう。中国勢との比較となる5枠目の候補は明徳義塾(高知)になる。今治西には4-5の惜敗で、同じく準決勝で英明に0-7の大敗を喫した高知を上回る。高知大会優勝も有利な材料となる。
◇九州
4枠あり、秋王者の九州学院(熊本)と準優勝の糸満(沖縄)の出場は間違いない。準決勝で糸満に延長十回で競り負けた神村学園(鹿児島)も印象はいい。
焦点は最後の4枠目。九産大九州(福岡)は準々決勝で延岡学園(宮崎)に快勝したが、準決勝で九州学院に七回コールドゲームで敗れたのが懸念される。8強組ではともに延長で敗れた明豊(大分)と東福岡が望みをつなぐ。中部商(沖縄)は地域性がネックになる。
◇21世紀枠
全国9地区の推薦校から3校を選出する。秋季都道府県大会で好成績を収め、困難な環境を克服するなどした学校が対象となる。昨年に続いて全て公立校が推薦された。東(東海、北信越以東)と西(近畿以西)でそれぞれ1校を選び、残り7校から3校目を決める。
松山東(愛媛)は1892年創部で、野球殿堂入りした俳人の正岡子規が創部に関わったとされる。昨秋の愛媛大会で準優勝し、63年ぶりに四国大会に出場した。桐蔭(和歌山)は1921、22年の選手権大会で史上初の連覇を達成するなど、戦前に春夏合わせて3度優勝した。甲子園には86年夏を最後に遠ざかる。
金沢商は23年に石川勢として初めて夏の選手権大会に出場した。ここ数年は強豪私学の壁を破れなかったが、昨秋の石川大会で頂点に立った。北見工(北海道)は道東に位置しているため冬は日照時間が短く、部員手作りの照明設備で練習に励んだ。富岡(群馬)は地域の住民と一体感が強く、ボランティア活動にも積極的に取り組む。豊橋工(愛知)は工業高校ならではの創意工夫を施し、限られたスペースで練習内容を工夫する。
松島(宮城)は慢性的な部員不足に悩まされながらも練習を続け、東北大会出場を果たした。中国大会8強の平田(島根)は地域に密着した学校運営で、なすべきことが当たり前にできる「凡事徹底」を目指す。八幡南(福岡)は地域社会への人材輩出が特色。昨秋は63年の創部以来、初めて九州大会に出場した。
■選抜出場有力候補校
北海道 | ◎ | 東海大四 | 北海 | |
東北 | ◎ | 仙台育英(宮城) | ◎ | 大曲工(秋田) |
△ | 八戸学院光星(青森) | △ | 鶴岡東(山形) | |
関東 | ◎ | 浦和学院(埼玉) | ◎ | 木更津総合(千葉) |
○ | 健大高崎(群馬) | ○ | 常総学院(茨城) | |
△ | 東海大甲府(山梨) | △ | 川越東(埼玉) | |
△ | 松戸国際(千葉) | △ | 平塚学園(神奈川) | |
東京 | ◎ | 東海大菅生 | △ | 二松学舎大付 |
東海 | ◎ | 静岡(静岡) | ◎ | 県岐阜商(岐阜) |
△ | いなべ総合(三重) | △ | 日大三島(静岡) | |
北信越 | ◎ | 敦賀気比(福井) | ◎ | 松商学園(長野) |
△ | 富山第一(富山) | △ | 中越(新潟) | |
近畿 | ◎ | 天理(奈良) | ◎ | 立命館宇治(京都) |
◎ | 龍谷大平安(京都) | ◎ | 奈良大付(奈良) | |
○ | 大阪桐蔭(大阪) | △ | 箕島(和歌山) | |
△ | 近江(滋賀) | △ | 北大津(滋賀) | |
中国 | ◎ | 宇部鴻城(山口) | ◎ | 岡山理大付(岡山) |
△ | 米子北(鳥取) | △ | 宇部商(山口) | |
四国 | ◎ | 英明(香川) | ◎ | 今治西(愛媛) |
△ | 明徳義塾(高知) | 高知(高知) | ||
九州 | ◎ | 九州学院(熊本) | ◎ | 糸満(沖縄) |
○ | 神村学園(鹿児島) | △ | 九産大九州(福岡) | |
△ | 明豊(大分) | △ | 東福岡(福岡) | |
△ | 中部商(沖縄) | 延岡学園(宮崎) | ||
21世紀枠 | 北見工(北海道) | 松島(宮城) | ||
富岡(群馬) | 豊橋工(愛知) | |||
金沢商(石川) | 桐蔭(和歌山) | |||
平田(島根) | 松山東(愛媛) | |||
八幡南(福岡) |
※◎は確実、○は有力、△は微妙
◇選抜入場行進曲「アナ雪」に決定 ディズニー映画で初
第87回選抜高校野球大会(3月21日から12日間・甲子園球場=兵庫県西宮市)の運営委員会が15日、大阪市内で開かれ、開会式の入場行進曲は大ヒットしたディズニー映画「アナと雪の女王」の主題歌「レット・イット・ゴー~ありのままで~」に決まった。
日本高野連によると、ディズニー映画の主題歌の採用は初めて。明確な選考基準はないが、原則として前年に広く親しまれた曲からスポーツにふさわしく明るいものを選ぶという。
映画を配給したウォルト・ディズニー・ジャパンは「『ありのままで大丈夫だよ』とのメッセージが込められた曲。選手たちに練習通りにのびのびとプレーしてもらいたい」というコメントを発表した。
(埼玉新聞)