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浦和学院10度目の春(2)自己責任と仲間意識 芽生えた”勝負根性”

◇3年生、後輩育成に献身
テスト

タイヤを使ったトレーニングで苦しげな表情を浮かべる山崎滉(右)=浦和学院高校グラウンド

 早すぎた夏の敗戦。だが、見方を変えれば、秋の大会に向けて与えられた時間が例年より多いとも言える。7月中は練習試合を行わず、練習に明け暮れた。テーマに掲げたのは、「追い込まれた状況でどれだけ力を発揮できるかの勝負根性」(津田)。序盤の劣勢をはね返せなかった夏の反省でもあった。

 新チームの強みは津田、山崎滉、臺と夏のレギュラー3人が残った内野陣。ところが、山崎滉と臺が早期にけがで離脱し、津田が孤軍奮闘する状況が続いた。山崎滉は「自分が前に出ようという意識がなく、津田に頼ってばかりだった」と振り返る。

 チームを立て直そうとする森監督の思いとは裏腹に、選手たちは指揮官の求める自己責任と仲間意識に欠けていた。「今の若いやつは…と言ったことがなかったが、時代のギャップを初めて感じた」と森監督。新チームの船出は不安を抱えたものだった。

◇チームに救った先輩

 「二度と甲子園に行けないんじゃないか」。苦心した監督の理解者としてチームを救ったのは、引退後も毎日練習を手伝い、選手と監督の橋渡し役に徹した3年生たちだった。

 自分たちの代では果たせなかった甲子園出場を、後輩の育成という形で実らせた。「自立できない自分たちを指導してくれた」と津田。監督も「今回出場できた一番の功労者は3年生」と賛辞を惜しまなかった。

◇転機となった激戦

 夏の敗戦から約1カ月後の8月18日、秋季地区大会のシード校を決める新人戦での大宮東戦が、一つのターニングポイントとなった。競り合いとなったこの試合、1点を追う浦和学院は八回裏に同点に追い付いた。直後の九回に勝ち越されたが、その裏に再び追い付く粘りを見せ、延長十回にサヨナラ勝ちした。

 まさに「追い込まれてからの勝負根性」を発揮しての勝利だった。7月の徹底した練習、8月に入って43試合をこなした自負。負けてたまるかと吹っ切れ、徐々にまとまりも生まれ始めていた。

 8月25日、夏の甲子園決勝。試合は大阪桐蔭が2年ぶり4度目の頂点に立った。スタンドで観戦していた森監督はここである思いを得る。「うちのチームでも何とかなるんじゃないか」

 9月に入り、地区大会が開幕。1回戦で大宮北に勝った直後、森監督は「このチームは伸びしろがある。それを引き出すことができるか楽しみ」と期待感を口にした。選抜大会に向けた王者の逆襲がのろしを上げた。

(埼玉新聞)

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