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センバツ32校の横顔 浦学、実績十分 光る総合力

 第87回選抜高校野球大会(21日から12日間・甲子園)に出場する32校を紹介する。

◇東海大四(北海道)=14年ぶり6度目

 レギュラーのうち7人の左打者が並ぶ打線はどこからでもチャンスをつくれる。主砲の邵(そう)は打率4割1分4厘をマーク。長打力もあり、相手にとっては脅威だ。制球力に優れる大沢は、登板した7試合はすべて完投しており、大崩れしない。ただ、2番手以降の投手は実戦経験が少なく、守りにも課題を残す。

◇八戸学院光星(青森)=2年連続8度目

 3季連続出場。昨夏8強の経験者も多い。投手陣の軸となる中川は、昨年は春夏ともに主戦を務めており、秋季大会でも44回を投げて防御率1・23と安定感が目を引く。八木、呉屋も甲子園のマウンドを踏んでいるのも心強い。打率は2割7分1厘と高くないが、犠打を絡めて手堅く攻め、勝機を見いだす。

◇仙台育英(宮城)=2年ぶり11度目

 昨秋の神宮大会覇者。140キロ超の速球が武器の佐藤世は今大会注目の本格派右腕だ。秋の公式戦全16試合に投げて13完投、防御率0・90を記録し、三振数も120回1/3を投げて129個奪った。チーム打率3割3分7厘と攻撃力も申し分ない。5割近い打率を残した主砲の郡司は26打点を挙げた。

◇大曲工(秋田)=初出場

 昨秋の秋田大会を制し、東北大会では決勝まで進出した。犠打を多用する手堅い攻めがパターンだが、1番佐々木駿、3番中野、4番武田は長打力もある。勝負強い3人の前に走者を出せるかがポイントになる。武田、山崎の両右腕が投手陣の軸。14試合で18失策を記録した守備の底上げが求められる。

◇浦和学院(埼玉)=2年ぶり10度目

 昨秋の神宮大会準優勝。総合力は高く、2年ぶりの頂点を目指す。投の柱は左腕江口。スピードこそないが、制球力と切れのある変化球で勝負する。秋は13試合に登板して防御率1・57をマークした。打線は主将の3番津田、4番山崎滉を軸に切れ目がない。4割9厘を記録した荒木が7番に座る。

◇常総学院(茨城)=2年ぶり8度目

 左腕鈴木、右腕樫村の二枚看板がチームを引っ張る。鈴木は制球力と投球術に優れ、樫村は多彩な変化球が武器だ。攻撃のキーマンは昨秋5割3分8厘と打ちまくった1番宇草。2番竹内と2人で13盗塁を記録しており、機動力を生かして相手をかき回す。遊撃の皆神、中堅の竹内を中心とした守備も堅い。

◇健大高崎(群馬)=3年ぶり2度目

 昨秋は9試合で24盗塁。代名詞となった機動力は今回も健在だ。8強に進んだ昨夏も先発出場した柘植と柴引が3、4番を打ち、攻撃の中心を担う。ともに4割を超える打率を残し、勝負強さが光る。投手陣は左腕エースの川井が中心。緩急を交える右の橋詰が成長しているのは頼もしい。

◇木更津総合(千葉)=44年ぶり2度目

 右腕の鈴木、左腕の早川を中心に守り勝つ野球が身上。秋の大会の防御率は鈴木が1・29で、早川は36回を無失点と抜群の安定感を誇る。チーム打率は2割8分2厘で迫力に欠けるため、犠打と機動力を駆使したつながりを重視する。頼りになる檜村、小池の中軸の前に走者を出せるかも重要になる。

 ◇二松学舎大付(東京)=11年ぶり5度目

 1年生ながら昨夏の甲子園大会に出場した大江、今村のバッテリーをはじめ、多数の経験者が残る。大江は最速142キロの直球が魅力。強気のリードが持ち味の今村は秋の東京大会で2本塁打と援護した。打線は出塁率の高いリードオフマンの三口が引っ張り、機動力を絡めて揺さぶる。守備も堅実だ。

 ◇東海大菅生(東京)=9年ぶり3度目

 エースで3番を打つ勝俣が投打の柱。投げては140キロ台の真っすぐを主体に8試合中7完投。打っても4割1分4厘をマークし、2本塁打を放った。チーム打率は3割に満たないが、江藤、伊藤を加えた中軸はいずれも4割台を記録しており、チャンスに強い。投手の2番手には制球力のある羽生が控える。

 ◇松商学園(長野)=24年ぶり16度目

 打線は大砲不在だが、5割近い打率を残した俊足好打の百瀬や、4番新倉を中心につなぐ意識が徹底されており、どこからでも攻撃の起点がつくれる。12試合で32盗塁と機動力も大きな武器だ。投手陣は主戦の恩田を軸に羽賀、徳田とタイプの異なる右腕3人をそろえ、継投で逃げ切るのがパターン。

 ◇敦賀気比(福井)=2年ぶり6度目

 昨夏の甲子園4強の原動力となったエース兼4番の平沼が大黒柱。公式戦11試合で打率5割、3本塁打と打ちまくり、投げても防御率1・33をマーク、登板した8試合はすべて勝利につなげた。甲子園で全試合に出場した1番の主将篠原、5番山本は打撃センスが光る。北陸勢として春夏通じて初の頂点に挑む。

 ◇県岐阜商(岐阜)=2年ぶり28度目

 150キロを超える真っすぐを投げ込む高橋は、プロも注目する今大会屈指の本格派右腕。秋は77回を投げて79奪三振、防御率0・47と安定感も抜群だ。縦の変化球が持ち味の片峯が2番手に座る。打線は犠打を絡めて手堅く攻め込む。しぶとく出塁する1番村居がキーマンで、広瀬、竹腰の3、4番は勝負強い。

 ◇静岡=16年ぶり15度目

 チーム打率は出場校中トップの4割1分9厘。上位から下位まで切れ目がなく、11試合で12本塁打と破壊力十分だ。犠打や盗塁も絡めるなど、攻撃の幅は広い。投手は制球力のある2年生右腕の村木が主戦を務め、マウンド度胸がある左の村松が控える。昨夏の甲子園大会に先発出場した選手が6人いるのも大きい。

 ◇近江(滋賀)=3年ぶり4度目

  小川は昨夏の選手権大会でもエースナンバーを背負い、甲子園では自己最速となる145キロを出した。変化球の制球にも優れる今大会注目の右腕の一人だ。全員が3年生のレギュラーは、昨夏の先発メンバー5人が残った。チーム打率は高くないが、杉野、笹治は長打力がある。7試合で2失策と守りも堅い。

 ◇立命館宇治(京都)=5年ぶり3度目

 春夏通じて5度目の出場で、初勝利に挑む。左腕の山下は秋の公式戦全11試合を一人で投げ抜いた。リードを許しても簡単には崩れず、粘りの投球を身上とする。打線は3番奈良と4番伊藤が要。長打力は乏しいが、つながりで勝負する。守備は11試合で16個の失策を記録しており、不安を残す。

◇龍谷大平安(京都)=3年連続39度目

 史上3校目の春連覇に挑む。昨春の初優勝に貢献した左腕エースの高橋は、右脚を大きく振り上げる独特のフォームで、昨秋の公式戦も全8試合一人で投げ抜いた。2番手には同じ左腕の元氏が控える。打線は小粒な分、機動力とつながりで勝負する。あと4勝に迫った甲子園通算100勝も大きな目標になる。

◇大阪桐蔭(大阪)=2年ぶり7度目

 昨夏もマウンドに立った左腕田中は、秋の大会でも巧みな投球術を生かして防御率1・74と安定した成績を残した。奪三振数も投球回数を大きく上回った。内外野ともに守りは堅く、4番青柳ら6人が本塁打を放つなど、自慢の強打が健在。全体のバランスは良く、5校目の夏春連覇が可能な布陣といえる。

◇天理(奈良)=3年ぶり23度目

 昨秋の近畿大会では大阪桐蔭、龍谷大平安と夏春の甲子園覇者を倒して4年ぶりに優勝した。打線は上位から下位まで切れ目がなく、4番坂口は185センチ、90キロの恵まれた体格を生かしてフルスイングする大会屈指のスラッガー。貞光、冨木を加えた中軸は破壊力十分だ。投手陣は斎藤、森浦の両左腕が中心になる。

◇奈良大付(奈良)=初出場

 エース右腕の坂口は切れのある真っすぐを主体とする本格派。制球力には自信を持ち、ストライクゾーンの四隅をしっかりと投げ分ける。2番手の中山も140キロ超の速球が武器だ。攻撃面では3番池田、4番中谷を中心としたつなぐ野球を身上とする。長打力は乏しいため、小技や機動力を絡めてチャンスをものにしていく。

◇米子北(鳥取)=初出場

 春夏通じて初の甲子園出場。打線は勝負強い4番安場を中心につながりで勝負する。エンドランや盗塁など機動力も絡めて抜け目なく得点を狙う。投手陣はタイプの違う4投手を持つ。エースナンバーを背負う高橋は最速143キロの直球に加え球種も豊富で、狙い球を絞らせない。継投のタイミングが鍵になる。

◇岡山理大付(岡山)=17年ぶり5度目

 エース西山を中心に、粘り強い野球を展開する。西山はコースを的確に突くコントロールの良さが持ち味で、昨秋は8試合中7試合を完投し、防御率は1・30をマークした。速球派右腕の徳田が控える。打線の中心は俊足好打の石原。チーム打率は3割を切り、迫力に欠けるが、高い集中力で好機をものにする。

◇宇部鴻城(山口)=12年ぶり2度目

 昨秋の中国大会王者。投手陣は右腕上西が絶対的な柱で、控えは速球が武器の木場、左腕の中杉をそろえる。上西は秋の全10試合に登板し、72回を投げて防御率1・38と安定した内容を残した。打線は破壊力がない分、つながりで勝負する。長打力のある4番岡田の前にどれだけ走者を置けるかがポイントになる。

◇英明(香川)=初出場

 強打で昨秋の四国大会を制した。打率5割1分3厘をマークした3番森山を筆頭に、主力8人が3割を超える打線は迫力十分。上位から下位まで長打力を兼ね備え、勝負どころの集中力も高い。投手陣は左腕田中が柱になる。140キロ超の真っすぐを主体に多彩な変化球を操り、制球力にも自信を持つ。

◇今治西(愛媛)=2年連続14度目

 昨夏の終わりから投手に転向した杉内がチームの柱。球速は130キロ前後だが、制球力で勝負する。秋季大会の8試合をほぼ一人で投げきった。控えの吉本は力のある真っすぐを放るが、コントロールに課題を残す。打線はつながりを重視し、走者を犠打で確実に次の塁へ送る堅実な野球を心がける。

◇九産大九州(福岡)=16年ぶり2度目

 バッテリーはともに2年生。左横手投げの岩田は緩急をつけた投球で相手打線を翻弄(ほんろう)し、走者を出しても動じない。捕手の中浜は冷静なリードで岩田を引っ張る。打線は長打力に欠けるものの、尾崎、大野の中軸は打率5割を超える。小技を絡めながら、機動力を使って果敢に次の塁を狙う積極性も持つ。

◇九州学院(熊本)=3年ぶり6度目

 右腕の伊勢は公式戦全12試合を一人で投げ抜いた。コントロールに自信を持ち、打たせて取る投球に徹する。控え投手の成長が課題。打線はチームトップの3本塁打、11打点をマークした4番松下が中心。後ろに控える柳内、若原、元村にも力がある。守備では12失策を記録した三遊間に不安を残す。

◇豊橋工(愛知)=初出場

 140キロ超の直球を持つ主戦の森奎が絶対的存在。92回を投げ、防御率1・47と抜群の安定感で東海大会出場の原動力となった。肩と肘の故障の回復具合が気になるところ。チーム打率は2割5分1厘と迫力を欠くが、上位打線は元気がある。仲鉢、鈴木の1、2番で好機をつくり、江川、彦坂らの中軸に回したい。

◇桐蔭(和歌山)=53年ぶり16度目

 部員わずか19人の小所帯で臨む。攻撃重視の方針を打ち出し、上山、西、橋中が中軸を担う。中でも5番の橋中は打率5割超を誇る得点源だ。投手の柱は右の伊沢。丹念に低めを突く投球が持ち味で、41回2/3で与四死球8と制球力がいい。守備は5試合で8失策と課題を残す。冬場に鍛えた成果を見せたい。

◇松山東(愛媛)=82年ぶり2度目

 主将で4番、マスクもかぶる米田が攻守の要となる。大柄だが、確実に走者をかえす打撃を心掛ける。3番酒井は打率4割と確実性があり、1、2番の出塁がポイントになる。亀岡は球種が豊富で、制球力にも自信を持つ。打たせて取る投球が身上なだけに、7試合で13失策だった守備陣が何とかもり立てたい。

(埼玉新聞)

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