(3日・県営大宮)
第6日は準決勝2試合が行われ、4連覇を狙う浦和学院と、花咲徳栄のAシード勢がそれぞれ勝利を収め、決勝に駒を進めた。関東大会(21~25日・群馬)の出場は浦和学院が4年連続17度目、花咲徳栄は3年ぶり8度目。決勝進出は浦和学院が4年連続15度目、花咲徳栄は3年ぶり8度目。
浦和学院は上尾に6-3と粘り勝ち。同点で迎えた九回に蛭間の2点適時打などで3点を勝ち越し。計3失策と守備が乱れたものの、エース右腕榊原が要所を締めて9回を投げ抜いた。
選抜大会出場の花咲徳栄は初4強の山村学園に3-2で逃げ切り勝ち。二回に野本の適時内野安打などで2点を先行すると、五回にも敵失に乗じて追加点を奪った。
また、県高野連は悪天候が予想される4日の浦和学院-花咲徳栄の決勝について、試合開始時間を当初の10時から12時に変更すると発表した。
浦学、成長示す粘り勝ち
超満員の観衆が息をのんで見守った大一番は、浦和学院の勝負強さに軍配が上がった。激戦の末に母校・上尾を退けた森監督は「両校の成長がうかがえる試合。互いにミスは出たが、うちとしてはベストゲーム」とナインの奮闘をねぎらった。
立ち上がりは気合が空回りしていたエース右腕榊原も「前はピンチで弱気になっていたが、きょうは燃えた」と自責点2で完投。八回2死一、三塁の窮地では渡部を遊ゴロに打ち取り、力強い雄たけびを上げた。
エースの力投が打線に火をつけ、今大会初めて先行を許した展開にも、「点を取られて開き直った」と主将の諏訪。三回に家盛の適時打、幸喜の犠飛で追い付き、3-3の同点で迎えた九回にも粘りを見せた。1死二、三塁から敵失で勝ち越すと、攻め手を緩めることなく1年生蛭間が2点左前打で突き放した。
昨秋の関東大会で桐生第一(群馬)に1-6と完敗した悔しさを糧に、厳しい練習を乗り越えてきた浦和学院ナイン。諏訪は「冬場の練習を信じて必ず優勝したい」と力を込めた。
貴重な追加点 森監督も評価 1年生・蛭間
6番右翼手で初の先発出場を果たした浦和学院の1年生蛭間。九回2死二、三塁の好機で外角低めの直球を左前に運ぶ2点適時打。「先輩方の声が勇気をくれた。足を引っ張っていたので打ちたかった」と貴重な追加点をたたき出した。
1日の春日部東戦で右翼手桑原樹が負傷し、巡ってきたチャンス。「最後はあの子しか打たない気がしていた。打席でのオーラが違う」と、森監督も高い評価を与える逸材は「1年生なのでフルスイングで行けと言われている。つなぐ打撃を心掛けていきたい」とさらなる活躍を誓った。
上尾、勝負どころで痛手
昨秋の王者を相手に終盤までがっぷり四つ。上尾は九回に失策が絡み勝ち越され、浦和学院に惜敗。高野監督は「攻守の勝負どころで自分たちから崩れてしまった」と沈痛な面持ちだった。
2-2の七回、渡部の押し出しで勝ち越しを許し、流れを失いかけた。しかし、その裏に併殺崩れの間に同点に追い付く。上尾らしい粘りだった。
だが九回に耐え続けた守備がほころぶ。1死二、三塁とされ一ゴロを増田が本塁へ送球。挟殺になったが捕手市瀬の悪送球で再び勝ち越される。後続にも適時打を浴び、万事休した。主将の増田は「力がないからこその焦り」とうつむく。
それでも県大会4試合を通して課題を明確に自覚できたのは収穫だ。瀬田は「勝負どころのミスをなくさないと。細かい部分を見つめ直したい」。夏の主役になるため、下を向いている暇はない。
昨秋と同カード 試される総合力
Aシード両校が地力を発揮し、昨秋の県大会決勝と同カードが実現。両校ともエースを温存する見込みで、総合力が試される一戦となる。
4連覇を狙う浦和学院は勝負強い打線の援護に期待。準決勝で安打のなかった幸喜、前田に当たりが戻れば怖さが増す。先発は準々決勝で好投した左腕大澤と予想する。
花咲徳栄はここまで全4試合に先発している2年生右腕網脇の疲労を考慮し、先発候補は本多、清水の両右腕か。準決勝同様に機動力を生かしてしぶとく加点したい。
(埼玉新聞)
試合結果 |
県大会準決勝 5月3日(県営大宮球場) | ||||||||||||
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E |
浦和学院 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 | 6 | 12 | 3 |
上尾 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 | 8 | 1 |
【浦】 | 榊原-梶山 |
【上】 | 山下、渡部-市瀬 |
二 | 杉山、榊原(浦) |
浦和学院打撃成績 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
⑧ | 山本 | 5 | 3 | 0 |
④ | 家盛 | 3 | 2 | 1 |
⑥ | 諏訪 | 2 | 1 | 1 |
⑦ | 幸喜 | 4 | 0 | 1 |
② | 梶山 | 5 | 2 | 0 |
⑨ | 蛭間 | 5 | 1 | 2 |
③ | 前田 | 5 | 0 | 0 |
① | 榊原 | 3 | 2 | 0 |
⑤ | 杉山 | 3 | 1 | 0 |
計 | 35 | 12 | 5 | |
上尾打撃成績 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
⑧ | 土屋 | 4 | 1 | 0 |
⑨ | 亘理 | 5 | 2 | 0 |
④ | 山口 | 3 | 0 | 0 |
③ | 増田 | 3 | 0 | 0 |
⑥ | 大橋 | 4 | 1 | 1 |
⑤ | 瀬田 | 4 | 2 | 1 |
⑦ | 萩原 | 3 | 0 | 0 |
② | 市瀬 | 3 | 1 | 0 |
① | 山下 | 2 | 0 | 0 |
1 | 渡部 | 2 | 1 | 0 |
計 | 33 | 8 | 2 |
投手成績 | |||||||
TEAM | 選手名 | 回 | 被安打 | 奪三振 | 四死球 | 失点 | 自責 |
浦和学院 | 榊原 | 9 | 8 | 4 | 6 | 3 | 2 |
上尾 | 山下 | 6 1/3 | 8 | 3 | 2 | 2 | 3 |
渡部 | 2 2/3 | 4 | 2 | 3 | 4 | 0 |
TEAM | 三振 | 四死球 | 犠打 | 盗塁 | 失策 | 併殺 | 残塁 |
浦和学院 | 5 | 5 | 3 | 0 | 3 | 0 | 10 |
上尾 | 4 | 6 | 2 | 0 | 1 | 1 | 11 |
終盤に勝負強さを見せた浦和学院が上尾に競り勝った。浦和学院は3-3の九回1死二、三塁から敵失で勝ち越すと、なおも2死二、三塁で6番蛭間が左前へ2点適時打。計3失策と内野守備が乱れたが、要所を締めたエース左腕榊原が9回を自責点2で完投した。八回まで互角の勝負を展開した上尾は九回の失策が痛手だった。