【写真】4回表1死満塁のピンチを無失点で抑え、吠える吉田匠
第10日は準々決勝4試合を行い、Aシード浦和学院、Bシード昌平、Cシード春日部共栄、ノーシード川口がそれぞれ勝って準決勝に駒を進めた。4強入りは、春日部共栄が2大会連続(2年ぶり)、浦和学院、昌平、川口がそれぞれ2大会(3年)ぶり。
川口は5-5の延長十一回に中込が走者一掃の二塁打を放つなど、この回に5点を奪って10-5で山村学園に勝利した。浦和学院は、吉田匠、芳野、宮城の継投で立教新座に2-0の完封勝ち。
昌平は3-3の九回に福地の三塁打で2点をもぎ取り、5-3で星野を下した。春日部共栄は一回に山口叶の適時打で先制するなど松山に9-2の七回コールドで快勝した。
第11日は25日、県営大宮で準決勝を実施。浦和学院-春日部共栄(9時)、昌平-川口(11時30分)の顔合わせで決勝進出を争う。
浦学、光る継投 完封リレー 一発で接戦決着
紙一重の勝利だった。浦和学院が少ない好機に値千金の藤井の一振りと、3投手の継投で逃げ切った。勝負強さを印象づけた森監督は「投手陣が粘り、ワンチャンスの得点力。いい試合だった」と笑みをのぞかせた。
5回戦までの計4試合全てでコールド勝ち。計40得点を奪い打ち勝ってきたが、この日は投手陣が踏ん張った。先発の右腕吉田匠が、直球と同じ腕の振りから投げる切れ味抜群のスライダーを武器に三振の数を積み重ねた。
ピンチは0-0の四回1死満塁。捕手の吉田瑞は「コントロールがあるから荒れることはない。低めの変化球を要求しても問題ない」と直球でカウントを取り、最後は低めのスライダーを要求し2者連続三振でしのいだ。
ピントの後にチャンスあり。その裏の攻撃で先頭打者が出塁し、5番藤井が「芯に近いところで捉えることができた」と右越えの2点本塁打を放ち先制。打線の援護をもらった吉田匠は、六回途中を被安打3、11奪三振の内容で役割を果たした。2番手の左腕芳野は打たせて取る投球で凡打の山を築いた。九回1死一、二塁の場面では女房役に「何も考えず、ミットに投げてこい」と言われて無駄な力が抜けたのか、空振り三振で2死。最後はエース宮城が登板し、3球で仕留めた。
これまで圧勝していただけに、準々決勝で接戦を制したことは選手にとって自信になったはずだ。主将の吉田瑞は「安打が出ない接戦で集中できたのはよかった」ご、準決勝の春日部共栄戦へ弾みをつけた。
「力抜いた打撃」2戦連続アーチ 浦和学院
四回裏無死一塁、5番の藤井が決勝打となる右越え2ランを放った。「ピッチャーが苦しんでいたので、先制点を取りたかった。流れをつかめて良かった」と笑顔を見せた。
「長距離打者ではなくつなぎ役」という藤井だが、5回戦の坂戸戦に続き2試合連続の柵越えと好調。「力を抜いた良いバッティングができている」と話す。「秋、春はなかなかチームに貢献できなかったので、チームのために戦いたい」と強い思いで大舞台を目指す。
4回の攻防で明暗 立教新座
今大会4試合38得点と好調だった立教新座の打線が、浦和学院の投手陣にかわされた。好機に1本が出ず、終わってみれば4安打で完封負けした。
三回までは両先発投手の緊迫した投げ合い。先制のチャンスは四回。四死球や安打で浦和学院先発の吉田匠を攻め立てて1死満塁の好機。しかし鈴木と荒井が連続三振に倒れ無得点。喉から手が出るほど欲しかった先制点を奪えなかった。
すると流れは浦和学院へ。藤井に右越え2ランを喫し、この一発が決勝点となった。冨部監督は四回の攻防を振り返り、「(あそこで)1点を取り切れず相手に流れが傾いた。1本出ていれば」と勝敗の分岐点を悔やむ。
五回からはエース高橋を投入。「要所で決まった」という変化球を使い、八回まで被安打1無失点の好投で、打線の援護を待ち続けた。
九回にも1死一、二塁の見せ場をつくるが、代打北村と宇畑が倒れ、スコアボードに「0」が刻まれた。
今大会で見せた強打が最後まで影を潜め「もう少し点を取れると思った。でも選手は堂々と戦った」と冨部監督。一発に泣き、4強には届かなかった。それでも高橋は「浦学に立ち向かえた。実力を出し切れたので悔いはない」。チームにとって確かな手応えを得た敗戦だった。
安打数上回るも打線つながらず 立教新座
「とにかく楽しんで野球をしよう」。横山主将は最後までチームに声を掛け続けた。
0-0の三回、2死で打席に立つと「自分の打撃で流れをつくりたかった」と低めのストレートをすくい上げ右中間への二塁打を放つ。好機をつくりチームの士気を高めたが、打線がつながらず得点を逃した。
四回に2点を奪われたものの、「笑顔で、いつも通りに」とチームを鼓舞し続けた。安打数で上回りながらの惜敗に、「目標は甲子園だったが、チーム全員で全力を出し切れたので悔いはない」と話した。
(埼玉新聞)
浦和学院4強進出「本当に紙一重だった」3投手のリレーで投手戦制す
春の県王者浦和学院が、接戦を制して4強入りを決めた。藤井一輝外野手(3年)の2試合連発となる2ランで先制。リードを3投手の継投で守り切った。森士監督(57)は「投手戦の、非常に引き締まったいい試合だった。投手陣が粘り強く、相手の強力打線を抑えた。本当に紙一重だった」と振り返った。
背番号6の二刀流、吉田匠吾投手(3年)が今大会3試合目の先発。5回1/3を投げ、被安打3の無失点。11奪三振をマークした。6回途中からは2番手の芳野大輝投手(2年)、最後の打者を宮城誇南(こなん)投手(2年)が抑えた。
藤井が、貴重な先制アーチを放った。4回無死一塁、抜けたツーシームにうまくタイミングを合わせ、右翼の芝生席まで運んだ。エンドランのサインで、右方向を意識した打撃が本塁打となった。高校通算15号で「入るかな?という感じだった。投手が苦しい中で、先制を取りたかったので結果として本塁打になってよかったです。先制して、流れをつかむことができた」と話した。
5回戦の坂戸戦でも3ランを放っており、2戦連発。5番打者として準決勝進出に大きく貢献した。「試合をこなすごとに、内容が良くなっていっている感じです。チャンスでの一打は自信になります」と喜んだ。
(日刊スポーツ)
浦和学院が準決勝へ 藤井一輝が決勝の右越え2ラン
3年ぶり14度目の出場を目指す浦和学院が準決勝へ進出した。
0-0の3回1死、藤井一輝(3年)が右越えへ先制2ラン。「打ったのは真ん中低めのツーシームです。芯に近いところに当たったので、いってくれるかなと思いました」と2試合連続となる通算15本塁打をうれしそうに振り返った。
この2点を投手陣が守り切った。先発した背番号6の吉田匠吾(3年)は130キロ台中盤の速球、キレのあるスライダー、カットボールを駆使して5回まで毎回の11奪三振。被安打3、無失点のまま6回1死で左腕・芳野大輝(2年)にマウンドを託すと、芳野も9回2死まで1安打、5奪三振の好投。一、二塁の場面で登板したエース左腕・宮城誇南(2年)が最後を締めて完封リレーを達成した。森士監督(57)は「粘り強く投げてくれたと投手陣をたたえていた。
(スポーツ報知)
浦和学院が完封リレーでベスト4進出
浦和学院が完封リレーで勝利し、ベスト4入りを決めた。
四回に藤井一輝外野手(3年)の右越え2ランで先制すると、先発した吉田匠吾投手(3年)が六回途中11奪三振の快投。二番手以降の投手もスコアボードにゼロを並べ、本塁打の2点を守り切った。
(デイリースポーツ)
憧れのチームで決勝打 浦和学院・藤井一輝選手
浦和学院の藤井一輝選手(3年)は奈良県出身。中学生の頃、甲子園で全力でプレーする先輩たちの姿にテレビの前で夢中になった。「かっこいいなあ。自分も浦和学院で野球がしたい」と憧れた。
立教新座と同点で迎えた四回裏、無死一塁の場面で打席が回ってきた。「どうしても先制点が欲しかった」。2球目の低めの変化球を芯でとらえ、2試合連続の本塁打を右翼席に運んだ。「風もうまく味方してくれた」という当たりは、憧れだったチームを4強に導く決勝打になった。「勝ちたいという思いが日に日に強くなっている。次もチームに貢献したい」
(朝日新聞埼玉版)
試合結果
全国選手権埼玉大会・準々決勝(7/24・県営大宮)
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E |
立教新座 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 |
浦和学院 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | x | 2 | 3 | 0 |
【浦】 | 吉田匠、芳野、宮城-吉田瑞 |
【立】 | 桶本、高橋-鈴木、高木 |
本 | 藤井(浦) |
二 | 横山(立) |
打撃成績
浦和学院 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
①4 | 吉田匠 | 3 | 0 | 0 |
⑥ | 金田 | 4 | 0 | 0 |
⑦ | 松嶋 | 3 | 0 | 0 |
② | 吉田瑞 | 3 | 1 | 0 |
⑧ | 藤井 | 3 | 1 | 2 |
⑤3 | 高松 | 3 | 0 | 0 |
⑨ | 安達 | 2 | 0 | 0 |
H9 | 三奈木 | 1 | 1 | 0 |
③ | 松田 | 1 | 0 | 0 |
1 | 芳野 | 1 | 0 | 0 |
1 | 宮城 | 0 | 0 | 0 |
④5 | 八谷 | 3 | 0 | 0 |
計 | 27 | 3 | 2 | |
立教新座 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
⑨ | 横山 | 3 | 1 | 0 |
⑦ | 白金 | 3 | 0 | 0 |
⑧ | 浅見 | 4 | 1 | 0 |
③ | 金子 | 3 | 0 | 0 |
⑤ | 佐藤 | 4 | 1 | 0 |
④ | 南木 | 2 | 0 | 0 |
② | 鈴木 | 1 | 0 | 0 |
H | 新保 | 1 | 0 | 0 |
2 | 高木 | 2 | 1 | 0 |
R | 津川 | 0 | 0 | 0 |
⑥ | 荒井 | 3 | 0 | 0 |
H | 北村 | 1 | 0 | 0 |
① | 桶本 | 1 | 0 | 0 |
H | 菅野 | 1 | 0 | 0 |
1 | 高橋 | 1 | 0 | 0 |
H | 宇畑 | 1 | 0 | 0 |
計 | 31 | 4 | 0 |
投手成績
浦和学院 | |||||||
選手名 | 回 | 安打 | 三振 | 四球 | 死球 | 失点 | 自責 |
吉田匠 | 5 1/3 | 3 | 11 | 2 | 2 | 0 | 0 |
芳野 | 3 1/3 | 1 | 5 | 0 | 1 | 0 | 0 |
宮城 | 1/3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
計 | 9 | 4 | 16 | 2 | 3 | 0 | 0 |
立教新座 | |||||||
選手名 | 回 | 安打 | 三振 | 四球 | 死球 | 失点 | 自責 |
桶本 | 4 | 2 | 0 | 2 | 1 | 2 | 2 |
高橋 | 4 | 1 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 |
計 | 8 | 3 | 3 | 2 | 2 | 2 | 2 |
チーム成績
TEAM | 攻撃 | 守備 | |||||
三振 | 四死球 | 犠打 | 盗塁 | 残塁 | 失策 | 併殺 | |
浦和学院 | 3 | 4 | 0 | 2 | 5 | 0 | 0 |
立教新座 | 16 | 5 | 0 | 0 | 9 | 0 | 0 |
押され気味だった浦和学院が、藤井の2点本塁打を3投手の継投で守り抜いた。浦和学院は四回、無死一塁で藤井が決勝点となる右越え2ランを放った。先発の吉田匠は11奪三振。立教新座は安打数で上回るも好機に1本が出なかった。