埼玉大会は浦和学院が県内最多を更新する14回目の甲子園出場を決め、28日に幕を閉じた。160校149チームが挑んだ熱戦を振り返る。
浦和学院は投手の層が厚かった。準決勝までの6試合で6失点。決勝では昌平に4点を奪われたが、ビッグイニングは作らせなかった。2年生エース宮城が4試合、内野手を兼ねる吉田匠が3試合で先発した。制球力のある宮城は与四死球3。吉田匠も計5試合で無失点の好投を見せた。準決勝で6回被安打1無失点の金田を含めた盤石の3人が試合を作った。30年にわたり率いてきた森士監督の最後の甲子園に向け、士気も高まっている。
昌平は、昨秋県大会優勝の実力を見せてくれた。武南との5回戦は八回に追いつき、九回にスクイズと重盗で逆転サヨナラ勝ち。準々決勝も星野に九回で勝ち越し、準決勝も七回に突き放すなど、終盤まであきらめない姿勢が光った。7試合で計71安打の打線は吉野、古賀、後藤の主軸を中心に勝負強かった。
4強唯一の公立校でノーシードの川口は勢いがあった。山村学園との準々決勝は延長十回表、1死満塁から中込の走者一掃の二塁打などで5点を勝ち越した。一昨年に続き4強入りした春日部共栄は、準々決勝までの5試合で無失策の堅守が見事。5回戦で好右腕岩井がいる秀明英光との接戦は好ゲームだった。
6連覇を狙った花咲徳栄の敗退は今大会の大きなニュースだった。
山村学園との5回戦は一昨年の決勝の再現。山村学園は投手6人の小刻みな継投策で的を絞らせなかった。花咲徳栄は九回表に4点差を追いつく地力を見せたがサヨナラ負け。一昨年は猛打で頂点に立ったが、今大会は持ち味の序盤の集中打が影を潜めた。岩井隆監督は「連覇の重圧」があったと明かした。
16強には公立6校が進出した。4強入りした川口のほか、甲子園出場経験がある上尾、熊谷商、滑川総合と、松山、坂戸。8強をかけた松山と上尾との対戦は好勝負となった。一回、長谷、太刀川が重盗を決めて先取点を挙げた松山が2-0のロースコアで制した。
2年ぶりとなった選手権埼玉大会は、新型コロナウイルス感染予防のため、2回戦まで無観客、3回戦からは完全前売り制の有観客試合となった。ブラスバンドなどの応援はなく静かな球場に、白球を追う選手たちの声が響いた。
コロナの影響で練習がままならない期間を過ごした選手たち。少ない練習時間の中でそれぞれの工夫を積み重ねて夏に挑み、戦いきった。
(朝日新聞埼玉版)