決して自身の投球内容に納得はしていないものの、確実に一つ成長したと思わせる登板だった。12日のオリックス戦。得意のメットライフドームで先発した渡邉勇太朗(浦和学院高出)は一回から制球に苦しみながらも5回を1失点。今季3勝目を手にした。
「自身に合格点は与えられないです」。降板後、そう唇をかんだのには理由がある。前回登板した5日の楽天戦。序盤は快調だったが、カットボールを多投して2巡目に苦しくなりノックアウト。四回途中7失点で涙をのんだ。
雪辱を果たすべく上がった12日のマウンドでは、思い通りの直球が投げられない。コントロールにもばらつきが見られ、「結果、変化球に頼らざるを得ませんでした」と首を振ってカットボールを投げ込むシーンもあった。
勝負どころのカットボールは「今季一番良くなかった」と振り返るものの、この球が渡邉の投球を助けた。左打者のインコース、そして右打者の外いっぱいに決まったカットボールがオリックス打線に決定打を許さなかった。
笑顔は決して見せなかったが、悪いなりに勝利を引き寄せたことに大きな価値がある。この秋、登板を重ねるごとに背番号12の背中がより頼もしくなっていくだろう。