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一時離脱越え豪打復活 浦和学院・三井雄心選手

【写真】三回表、先制の適時打を放った浦和学院の三井

 浦和学院は、高校通算30本塁打を誇る三井雄心(2年)が持ち前の勝負強さを発揮し、大一番での勝利に貢献した。

 両チーム無得点で迎えた三回2死二塁。三井は甘く入ったフォークを捉え、先制の適時打を放った。四回と六回にも適時打で貴重な追加点を挙げ、この日は3安打3打点の活躍だった。「自分のバットで1点ずつ取れて良かった」

 今大会を迎えるまでは順風満帆ではなかった。

 1年生だった昨秋から中軸を任され、非凡な才能を見せていたが、今年5月にあった関東大会で脱水症状に見舞われる。そこから1カ月にわたり、後遺症のため下半身に力が入らなくなってしまった。全体練習から離れ、別メニューでの調整を続けた。

 その間に約3キロ減った体重を元に戻そうと食事の量を増やすとともに、練習では課題だった外角のボールへの対応に時間を割いた。「早く復帰し、チームに貢献したい」。その一心だった。我慢の日々が、今大会の活躍につながった。

 大会序盤は代打での起用が続いたが、準々決勝でスターティングメンバーに入り、2本の二塁打を放った。復帰早々の活躍に「スター性がある。外せない」と森大監督は決勝での起用を決めた。

 三井の父は西武ライオンズの投手として活躍した三井浩二さん。入学前に父から教わった打撃時の手首の使い方が今も生きているという。

 「甲子園で3年生と少しでも長く野球できるよう、一戦必勝で臨みたい」。聖地でのさらなる飛躍を誓った。

(朝日新聞埼玉版)

浦和学院2年ぶり15度目の聖地へ 故・三浦さんにささぐ甲子園 元西武・三井Jr.が大暴れ3打点

 最後のアウトを取った瞬間、ナインは一斉にベンチを飛び出した。浦和学院が2年ぶり15度目の聖地切符獲得。勝負の先陣を切ったのは元西武・三井浩二氏(49)を父に持つ、雄心内野手(2年)だった。

 0-0の三回2死二塁だ。「まずは自分が打って流れを持ってこられるように」とフルカウントからの6球目を右前にはじき返し、先制の適時打。勝機を引き寄せ、一塁で右拳を突き上げた。

 この日はスタンドに父・浩二氏が応援に訪れていた。試合前日には電話で「やってきたことしか出ないから、思い切りバットを振ってこい」と伝えられたという。助言を胸に、3打数3安打3打点の大活躍となった。

 チームとしては、24日に死去した同校OBでコーチだった三浦貴さんにささげる甲子園出場だ。父の森士前監督から託されたチームで、自身夏の甲子園は初となる森大監督(32)は「あしたは三浦先生のお通夜。勝利の報告をできることをうれしく思っています」。聖地でも、勝利を積み重ねる。

(デイリースポーツ)

期待の大砲「思い爆発」浦和学院(2年)・三井雄心選手

先制の右前適時打を放ち、雄たけびを上げる三井選手

 「落ちろ」。三回、2死二塁の好機で放った打球を見つめながら祈った。白球が右前に落ちると、一塁上で叫んだ。これまでの悔しさを晴らす渾身(こんしん)の先制打。「思いが爆発した」

 森大監督も「スター性がある。将来の浦学を担う選手」と話すなど、2年生ながら打線の主軸として期待を受ける大砲。「下級生だが打線を引っ張りたい」と責任感を持つが、昨秋と今春の県大会決勝では、いずれも序盤の得点機に凡退。チームに流れをもたらすことはできなかった。

 五月の関東大会で熱中症のような症状になり、足に力が入らなくなった。回復までに約1カ月。「早く野球がやりたい」と焦るが状態が戻らず、今大会も出場機会は限られた。「今日こそは自分のバットでチームに流れを」。決意して迎えた打席だった。

 四、六回にも適時打を放つなど、鬱憤(うっぷん)を晴らす大暴れ。初の甲子園には「少しでも長く3年生と野球ができるよう、一戦必勝で臨みたい」。出遅れた分は甲子園で取り戻す。

(東京新聞埼玉版)

浦和学院2年ぶり15度目V!急逝の三浦元コーチにささぐ夏切符 ”父撃ち”で鍛えた三井が3安打3打点

 埼玉大会決勝では浦和学院が花咲徳栄を7-2で下し2年ぶり15度目の優勝。三井雄心(ゆうしん)内野手(2年)が3安打3打点をマークした。24日に巨人、西武でプレーしたコーチの三浦貴さんが大腸がんのため45歳の若さで死去。天国の恩師に、次は聖地での活躍を届ける。

 満面の笑みで応援席へのあいさつを終えた数分後、“男の約束”を果たした浦和学院ナインはベンチ裏で人目もはばからず泣いた。グラウンドでも森大監督が「明日、お通夜なので勝利の報告ができることをうれしく思います」と優勝インタビューで号泣。譲れない夏に2年ぶり15度目の頂点に立った。

 突然の訃報だった。準々決勝前日の24日。OBでコーチの三浦貴さんが大腸がんとの闘病の末に死去した。今月上旬までグラウンドを訪れてくれた恩師のため、ナインの甲子園への思いはより強くなった。2年生ながら5番を務め、先制打を含む3安打3打点の三井も「苦手だった守備を三浦先生に教えてもらって試合に出られるようになった。甲子園に行きますよ、と伝えたい」と胸を張った。

 西武で左投手として通算36勝を挙げた父・浩二さんと磨いた技術も光った。中学時代は週に1回は千葉県浦安市の自宅近くの室内練習場を借り、父が投げる“プロの球”で打撃練習。特に低めを打つ際の手首の使い方を教わり「手首の使い方は誰よりも柔らかい自信がある」と言う。言葉通り3回2死二塁で放った先制打は低めのフォークをうまく右前に運び「教え通り、うまく拾えた」と笑った。

 浩二さんは三浦さんのプロ最終年となった09年は西武で同僚だっただけに「ついこの間までは元気にしていたが…」と驚きを隠せない様子。それでも「雄心もお世話になったし甲子園ではもっと活躍してほしい」とさらなる恩返しを期待する。

 三井は大会前の体調不良の影響で先発復帰は準々決勝からとなったが、通算7打数6安打、打率・857で優勝に貢献。「いつも自分が中心で打線を引っ張るつもりでいる」と頼もしい。憧れだった甲子園では「父や三浦さん、みんなに感謝しながらプレーしたい」と誓う。天国の恩師、支えてくれる家族への感謝の思いも込め、聖地でフルスイングする。

三井 雄心(みつい・ゆうしん)

 2006年(平18)6月19日生まれ、千葉県出身の17歳。桃井四小3年時から野球を始めた。高洲中時代は京葉ボーイズに所属。浦和学院では1年春からベンチ入りし、高校通算本塁打は30本。父は元西武・浩二さん。憧れの選手はロッテ・安田。50メートル走6秒7、遠投100メートル。1メートル80、82キロ。右投げ左打ち。

(スポニチ)

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