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甲子園のグッドルーザーたち…担当記者コラム

 夏の甲子園が開幕する8月6日の朝、浦和学院(埼玉)の森大監督(32)は、球場近くのコーヒーショップで慶応(神奈川)の森林貴彦監督(50)と談笑していた。

 浦和学院は、この日の第3試合で仙台育英(宮城)に敗れて甲子園を去り、一方の慶応は、決勝で仙台育英を倒して107年ぶりの優勝を遂げた。全く対照的な夏の結末だったが、森監督は「ある意味で身近な方々が決勝まで行き、勉強になりました」と話した。浦和学院は、慶応、そして仙台育英と練習試合を組む関係にある。

 仙台育英の須江航監督(40)は、宮城大会の初戦を迎えるにあたり、選手に「グッドルーザーであれ」と伝えていた。直訳すれば「良き敗者」。慶応の優勝インタビューをベンチから眺めていた選手たちは、そのひと言ひと言に拍手を送っていた。

 浦和学院は、仙台育英に対し9-19。スコア的には大敗だが、超高校級と注目された仙台育英の湯田統真、高橋煌稀、仁田陽翔の3投手に18安打を浴びせた。0-9の4回に4点を返し、4-15の7回にも5点を挙げた。決して諦めることなく、強い打球を放ち続けた打線。浦和学院もまた「グッドルーザー」だった。

 「エンジョイベースボール」を日本中に知らしめた慶応の優勝は、森監督にとって己の土台を改めて確認する機会になったという。「皆で活気を出して、野球をワクワクしながら楽しむ。それが“浦学野球”なんです」。秋初戦だった9月11日の大宮南との試合では、ベンチでどの選手よりも大きな声を出す姿があった。「テーマは『明るく活気よく全力プレー』。新チームは、背中で見せるタイプが多いので…。久しぶりの試合。楽しかったです」と笑顔で汗をぬぐった。

 結果は8-0で7回コールド勝ち。仙台育英戦で3安打を記録し、副主将に就任した月山隼平内野手(2年)は本塁打を放った。埼玉県大会、関東大会を勝ち上がって来春センバツへ。「打線は全国レベルだと思います」と指揮官は手応えを口にした。甲子園の「グッドルーザー」は、敗戦を糧に再び聖地へ戻ってくることによって伝統という年輪を加えていく。

(スポーツ報知)

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