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王座懸け142チーム激突 埼玉大会あす開幕 ゾーン別大会展望

 第106回全国高校野球選手権埼玉大会は11日、県営大宮球場で連合6チームを含めた142チーム(157校)が参加して開幕する。

 秋、春と県大会を制し、5年ぶりの夏の頂点を見据えるAシード花咲徳栄が優勝候補の筆頭格。Aシード昌平、Bシード山村学園、春日部共栄が後を追う。公立校で唯一、春の8強入りを果たしたCシード熊谷商や、昨夏覇者のDシード浦和学院など実力校たちも虎視眈々と王座を狙っているだけに、熱戦が繰り広げられそうだ。

 たった一枚の甲子園出場切符を手にするのは、どのチームか。激戦の行方を四つのゾーンに分けて展望した。

「V奪還狙う徳栄本命」花咲徳栄-西武台ゾーン

 秋春2冠を達成し、県内負けなしで夏の王座奪還に燃えるAシード花咲徳栄がこのヤマの大本命。西武台、叡明、川越西のシード勢が対抗馬となれるか。

 花咲徳栄は投手陣の出来が鍵を握る。最速148キロのエース上原、岡山、和久井の本格右腕トリオに加え、左腕額川と今井が成長。選球眼に優れる俊足の斎藤、目黒を塁に出せば、全国でもトップクラスの打力を持つ生田目、石塚、田島のクリーンアップが必ず走者をかえすだろう。

 西武台は制球力の高い好右腕大竹を主戦に、高野、伊藤、河村とタイプの異なる右腕が試合を組み立てる。春季県大会で昨夏覇者の浦和学院を破る要因となった機動力は折り紙付き。荒川、山本、小川ら下位打線が小技を絡めて好機を広げ、長島、神杉、芦沢ら上位打線で確実に得点したい。

 Dシード勢は堅実な野球で1点をもぎ取り、守り切る集中力が求められる。川越西は多彩な変化球を操る斎藤と切れのある変化球で勝負する小泉の持ち味を捕手石井がどれだけ引き出せるか。叡明は中野、吉川、田口を中心に自慢の切れ目ない打撃を披露したい。

 ノーシードでは昨夏を経験し、大きなカーブが光る市川越の左腕奥平にも注目。1年ながらともにスタメン入りする松山の双子、捕手吉田翔と左翼手吉田兼も面白い存在だ。

「好投手ずらり激戦区」埼玉栄-山村学園ゾーン

 Bシード山村学園、Cシード埼玉栄などのシード勢を筆頭に、好投手を擁する実力校が集まる最激戦区。

 山村学園は、春季県大会準決勝で花咲徳栄打線に八回まで3失点と好投した最速146キロの左腕西川が大黒柱。九回につかまるも秋春王者を土壇場まで追い詰め地力は十分だ。打線は昨年から中軸を担う横田、田中を中心に強肩捕手の藤原も長打力を備える。

 チームバッティングに優れる埼玉栄は、2年エース和泉が最少失点で切り抜けたい。二塁への送球が1・8秒台の捕手倉田の配球にも注目。Dシード東農大三は右腕加藤ら豊富な投手陣が攻めの投球で試合を組み立てる。同川越東の頭脳派左腕宮城の打者との巧みな駆け引きや、身長193センチの右腕峯の力投からも目が離せない。

 ノーシードから主役の座を狙うのは、最速144キロの直球で三振の山を築くプロ注目の大型左腕冨士をエースに据える大宮東。プロ野球・オリックスの宇田川優希投手を兄に持つ川口市立の宇田川健は、伸びのある直球が持ち味で夏の躍進が楽しみな存在だ。

 聖望学園の左腕向深沢は制球力に優れ、冷静な投球で打ち取る。変化球の切れ味が鋭い180センチの長身右腕大戸を主戦に、高橋、小川ら5枚の投手の継投でしぶとい守備から勝機をつかむ坂戸にも期待がかかる。

「シード軸に熱戦必至」春日部共栄-立教新座ゾーン

 Bシード春日部共栄とDシード浦和学院を軸に、Cシード立教新座とDシード西武文理が追うとみられ、熱戦が繰り広げられそう。

 春の県大会で5年ぶりの4強入りを達成した春日部共栄は、今季限りで本多監督が引退を発表しているだけに、選手たちのプレーにも熱が入りそう。攻守で一体感が強く、打線がつながれば、佐藤隆、平尾、成井ら中軸だけでなく、どこからでも得点を狙えるだろう。

 立教新座は、練習試合で強豪校の好投手との対戦を重ね鍛えた自慢の打力で快進撃を狙う。パンチ力のある1番赤沢に俊足巧打の2番小板橋が続き、主将の川村ら長打も狙える打者が役割に徹したい。最速144キロの本格派右腕のエース野川、右下手投げの小岩井らを打線が援護したい。

 昨夏王者の浦和学院は、甲子園経験を持つ石田、月山、三井、西田が攻守でチームを引っ張る。地力のある正智深谷とぶつかる初戦は2回戦屈指の好カード。7年ぶりのシード校として挑戦する西武文理は粘り強い打撃が売り。1番星、3番吉村らつなぐ意識の高い選手らで着実に得点したい。

 秋16強の市浦和の左腕梶は120キロ台の速球の切れが良く、球速以上の速さを感じさせる。昨年、1代表制では初の16強入りを果たした獨協埼玉や同16強の狭山清陵は、今夏も旋風を巻き起こせるか。

「新戦力に挑む古豪勢」熊谷商-昌平ゾーン

 総合力の高いAシード昌平に、Cシード熊谷商、Dシード上尾、同川越工などの古豪が意地を見せ食らい付きたい。

 昌平は、例年以上に多彩な投手陣と能力の高い打者陣がそろう盤石な布陣で夏を迎える。投球術にたける左腕石井、直球が走る右腕佐藤に、変化球が光る左腕古賀や最速146キロの右腕鈴木も成長。昨夏を経験する大槻、山根、桜井には一発があり、園田、渡辺がつなぎ役となる。

 今春、39年ぶりの8強入りを果たした熊谷商は、強心臓でスタミナ十分の最速145キロエース中村謙が暑さの中でどれだけ投げ切れるか。深水、佐藤、大久保美らの台頭でエースを支えたい。小柄ながら抜群のミート力と俊足で貢献する1番竹脇、184センチの強打者3番中村匠は、ここぞの一本で勝利を呼び込みたい。

 上尾は左腕飯島、右腕幸、藤村の3本柱で勝負する。飯島は1年から経験を積んだ絶対的エース。130キロ台後半の藤村と幸は制球力にたけ、相手打者を翻弄する。川越工は3番橋口、4番長島、5番小島のバットの奮起に期待がかかる。投げては笛木、斉藤、米塚らへの継投策が必勝パターン。

 春の地区予選で大宮東を完封した2年左腕正野を擁する慶応志木や、県内屈指の捕手山崎が扇の要を務める細田学園も侮れない存在だ。

(埼玉新聞)

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