【写真】夏敗戦に泣き崩れる浦和学院ナイン
<焦点>春王者、左腕攻略できず
春の県大会覇者・浦和学院が3回戦で姿を消した。最後の打者が中飛に倒れると小雨が降りしきる球場は、大歓声とどよめきが交錯して異様な熱気に包まれた。森監督は「どこで負けてもおかしくないのが夏。この試合も全力で戦い、おごりなく、選手は頑張った」と淡々と振り返った。
県内屈指の強力打線は、相手の軟投派左腕に苦しんだ。相手を上回る11安打を放つも、得点は犠飛でのわずか1点。芯で捉えた打球は相手の好シフトに阻まれる場面が目立った。主砲藤井は「決して焦りはなかった。緩い左投手を対策してきて、それを出し切れなかった」と悔しがった。
昨秋の県準々決勝は浦和実の左腕・石戸に2安打完封負けを喫した。そこからの約10カ月は打撃投手に左腕を起用し、マシンの角度を変えるなどして対策を重ねてきた。主将の西田は「左投手の攻略、先制された後の緊迫した場面の練習もした。やることはやってきた」と過程に悔いはない。
春の県大会は圧倒的な打力を示し、堂々頂点に立った。夏のテーマは「想定外」。夏特有の雰囲気や、厳しい場面にも適応できる力をつけた。1年時に甲子園の土を踏んだ西田は「仲間を信じて最後まで戦い抜けた。自分たちが引っ張ってもう一度甲子園に行きたかった」と涙をこらえ、短過ぎる夏を終えた。
<ハイライト>対策万全、会心の金星
滑川総合が春の県覇者・浦和学院から大金星を挙げた。エース左腕石井が6回1失点の好投で試合をつくり、打線は数少ない好機を生かした。滝島監督は「言葉にできないくらいすごいことが起こるのが高校野球の面白さ。選手たちを褒めてあげたい」と高ぶる気持ちを抑えていた。
0-0の五回、それまで完璧に抑えられていた打線が一変した。橋本の左前打や石井の内野安打などで2死満塁の好機を築く。打席に入った9番細野は「強気にいって、自分の全てをここにぶつける」と2球目の内角直球を中前にはじき返した。打球がフェンス手前へと転々とする間に、一塁走者の石井までが生還した。
4点を先取した直後の守りが圧巻だった。先頭打者から3連打を浴び、迎えた無死満塁のピンチ。先発石井は「緊張が止まらなかった。チームのため、ここで打たれてはいけないと心が燃えた」。二塁手小林の好守備もあり、犠飛による1点でしのいだ。
浦和学院の強力打線への対策も万全だった。先発には相手が苦手とする左腕を起用。最速130キロ中盤の技巧派・石井は、およそ4球に1度、80キロ台のスローカーブを投じ相手打線を翻弄した。殊勲の背番号1は「内外を突いて打たせて取れた。最高の一言」と勝利の味をかみしめた。
プロ野球の阪神で投手として活躍した久保田智之を擁し、1998年の第80回記念大会で同校を初の甲子園に導いた滝島監督。2番手として登板した捕手篠崎は3回無失点の好投。「背番号2の救援」は27年前をほうふつとさせる。主将の黒崎は「実感が湧かない。浮つかずに戦った相手の思いも背負って、地に足を着けて戦いたい」と気を引き締めた。
(埼玉新聞)
Aシード浦和学院敗退 春季関東8強も11年ぶり3回戦で散る
激戦区・埼玉で早くも波乱が起きた。2年ぶりの甲子園出場を狙うAシードの浦和学院が、3回戦で滑川総合に敗れた。
均衡が崩れたのは5回。先発の吉井蓮太郎投手(3年)が突如乱れ、2死満塁から3点適時三塁打を献上。エースの岡部修弥投手(3年)にマウンドを託したが、さらに適時内野安打で1点を与えた。1イニング4失点が重くのしかかった。
頼みの打線は初回から毎回安打こそ出るものの、得点にはつながらず。6回に1点をかえし点差を詰めるが、試合をひっくり返すことはできなかった。「浦学のアーロン・ジャッジ」とも称される4番の藤井健翔内野手(3年)や3番の垣内凌外野手(3年)らプロ注目の逸材を抱える中でも、埼玉の夏を勝ち上がるのは難しい。3回戦にしてそれを突きつけられた。
春季大会は投打がかみ合い、準々決勝では花咲徳栄を11-1(7回コールド)、準決勝は川越東を5-2、決勝は叡明を7-2で退け優勝した。関東大会ではセンバツ覇者の横浜に敗れはしたが、2-3と1点差の好ゲームを見せていた。
今大会は優勝候補の大本命に名を連ねた。互いに勝ち上がれば4回戦でセンバツ4強の浦和実との対決が控えていたが、よもやその手前で痛恨の敗戦。3回戦敗退は14年以来11年ぶり。2年ぶりの甲子園出場を目指す戦いが、道半ばで終わりを告げた。
(日刊スポーツ)
浦和学院が3回戦で敗退 涙の西田瞬主将「夏が終わってしまったんだな」

3回戦で敗れ、抱き合って涙する浦和学院の森大監督(左)と西田主将
春夏計26度の甲子園出場を誇る埼玉の強豪・浦和学院が3回戦で滑川総合に1-4で敗れ、夏の聖地行きはならなかった。
序盤から再三の好機を生かせないでいると、5回に4点の先制を許す。相手を上回る11安打を放ったが、決定打に欠けた。
「夏が終わってしまったんだな、と。(昨年の)秋に負けてから、みな一生懸命にやってきた。何も届かなくて、悔しいというより申し訳ない思いです」と浦和学院の西田瞬主将(3年)。試合後、保護者や関係者へのあいさつを終えると、森大監督は涙を流しながら西田を抱きしめ、主将としての頑張りをねぎらっていた。
相手先発・石井健大郎投手(3年)は、緩い球を上手に使う技巧派左腕。昨秋の県大会準々決勝で浦和実・石戸颯汰投手の前に完封負けを喫したが、重なるスタイルだった。4番・藤井健翔三塁手(3年)は「ずっと左投手を課題にしてきた。詰めるところを詰め切れなかった」と相手より4本多い11安打を放ちながらの敗戦に、肩を落とした。
浦和学院が3回戦までに姿を消すのは11年ぶり。あまりにも早い終戦に、森大監督(34)と西田は涙を流して抱き合った。「胸を張って帰ろう」。指揮官の声に促され、優勝候補が戦いの舞台から去った。
(スポーツ報知)
試合結果
全国選手権埼玉大会・3回戦(7/15・UD上尾スタジアム)
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E |
浦和学院 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 11 | 0 |
滑川総合 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | x | 4 | 7 | 0 |
【浦】 | 吉井、岡部-落合 |
【滑】 | 石井、篠崎-篠崎、宗 |
三 | 細野(滑) |
二 | 鈴木、岡部(浦)関根(滑) |
打撃成績
浦和学院 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
⑦ | 玉木 | 5 | 2 | 0 |
④ | 西田 | 3 | 2 | 0 |
R4 | 吉田 | 1 | 0 | 0 |
⑨ | 垣内 | 3 | 1 | 0 |
⑤ | 藤井 | 3 | 1 | 0 |
⑧ | 鈴木 | 2 | 1 | 1 |
R | 田中 | 0 | 0 | 0 |
8 | 豊岡 | 0 | 0 | 0 |
③ | 林田 | 4 | 1 | 0 |
② | 落合 | 4 | 1 | 0 |
① | 吉井 | 1 | 0 | 0 |
1 | 岡部 | 1 | 1 | 0 |
H | 川原 | 1 | 1 | 0 |
⑥ | 石田 | 4 | 0 | 0 |
計 | 32 | 11 | 1 | |
滑川総合 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
②1 | 篠崎 | 4 | 1 | 1 |
⑧ | 黒崎 | 4 | 0 | 0 |
⑥ | 関根 | 4 | 1 | 0 |
⑦ | 橋本 | 3 | 1 | 0 |
9 | 吉野 | 0 | 0 | 0 |
③2 | 宗 | 2 | 0 | 0 |
⑤ | 三浦 | 3 | 0 | 0 |
④3 | 小林 | 2 | 0 | 0 |
①97 | 石井 | 3 | 2 | 0 |
⑨ | 細野 | 2 | 1 | 3 |
4 | 浜本 | 1 | 1 | 0 |
計 | 28 | 7 | 4 |
投手成績
浦和学院 | |||||||
選手名 | 回 | 安打 | 三振 | 四球 | 死球 | 失点 | 自責 |
吉井 | 4 2/3 | 3 | 1 | 2 | 0 | 4 | 4 |
岡部 | 3 1/3 | 4 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 |
計 | 8 | 7 | 5 | 2 | 0 | 4 | 4 |
滑川総合 | |||||||
選手名 | 回 | 安打 | 三振 | 四球 | 死球 | 失点 | 自責 |
石井 | 6 | 8 | 2 | 2 | 0 | 1 | 1 |
篠崎 | 3 | 3 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 |
計 | 9 | 11 | 4 | 2 | 2 | 1 | 1 |
チーム成績
TEAM | 攻撃 | 守備 | |||||
三振 | 四死球 | 犠打 | 盗塁 | 残塁 | 失策 | 併殺 | |
浦和学院 | 4 | 4 | 2 | 0 | 10 | 0 | 0 |
滑川総合 | 5 | 2 | 1 | 0 | 3 | 0 | 2 |
滑川総合は五回2死満塁で細野が走者一掃の適時三塁打で均衡を破った。浦和学院は11安打を放ったが、好機に一本が出なかった。