第84回選抜高校野球大会(3月21日から12日間・甲子園)の出場32校が27日の選考委員会で決まる。昨年の秋季地区大会の成績を基にした一般選考29校(東北地区の神宮大会枠1を含む)に加え、21世紀枠3校を選ぶ。出場有力校を探った。
◇北海道
枠は1。秋季大会優勝の北照が順当に選ばれるだろう。準優勝の札幌一は延長十回の末の惜敗だったが、出場は難しい。
◇東北
神宮大会枠を加え、3校を選出する。秋季大会、明治神宮大会をともに制した光星学院(青森)は確実。準優勝の聖光学院(福島)も当確だ。3校目は準決勝で光星学院と1点差の接戦を演じた花巻東(岩手)が濃厚。同じく4強の青森山田が推薦を辞退したこともあり、選ばれる可能性は非常に高い。
◇関東
東京と合わせて6校。秋季大会で連覇を達成した浦和学院は間違いない。攻守で戦力が整い、強豪ぞろいの激戦区を勝ち抜いた。選抜大会でも上位進出の期待が懸かる。準優勝の作新学院(栃木)も問題なく選ばれる。4強入りした高崎健康福祉大高崎(群馬)も大丈夫だろう。
焦点はベスト4の高崎(群馬)が候補になっている21世紀枠で選ばれるかどうか。一般枠では選出が有力なだけに、先に行われる21世紀枠の選考結果が関東・東京の出場校検討に大きな影響を与えそうだ。
残る1ないし2枠を東京と争う8強組では、対戦相手や試合内容を考えると、横浜(神奈川)が一歩リード。東海大甲府(山梨)にもわずかな望みはあるが、苦しい。
夏春連続出場を目指す花咲徳栄は初戦敗退しており、厳しい状況だ。
◇東京
秋季大会覇者の関東一は文句なし。2校選出なら、決勝で0-2と惜敗した帝京が異論なく選ばれるだろう。
◇東海
枠は2。秋季大会で優勝し、明治神宮大会準優勝の愛工大名電(愛知)と、秋季大会決勝で1点差まで追い上げた三重が順当に選ばれそうだ。4強の至学館(愛知)、市岐阜商は準決勝でともに力負けしており、逆転選出は難しい。
◇北信越
2校が選ばれる。秋季大会を制した敦賀気比(福井)と準優勝の地球環境(長野)の選出はほぼ確実。決勝は延長13回、1-0の好試合だったため、ベスト4の福井工大福井、松商学園(長野)にはチャンスがなさそうだ。
◇近畿
6校が選出される。秋季大会覇者の智弁学園と準優勝した天理の奈良勢は確実。4強の履正社(大阪)も問題ない。同じくベスト4の近江(滋賀)は準決勝で天理に6回コールドゲームで敗れたが、決定的なマイナス材料にはならず、順当に選ばれるだろう。
残る2枠は、地域性と試合内容からベスト8の鳥羽(京都)と大阪桐蔭が優位に立つと見る。鳥羽は智弁学園に最後まで食らい付いた。大阪桐蔭は天理に逆転負けを喫したが、投打に潜在能力の高さをうかがわせた。
奈良大付も8強入りしたが、同一都道府県からの3校選出となると苦しい。水口(滋賀)は準々決勝で6回コールドゲーム負けしており、絶望的だ。
◇中国
四国と合わせて5枠。秋季大会で鳥取県勢として47年ぶりに優勝した鳥取城北の選出は確実だ。同大会準優勝の倉敷商(岡山)も順当に選ばれるだろう。
四国と争う5枠目は早鞆(山口)が有力。元プロ野球選手の大越基監督(仙台育英高出)の下、準決勝では倉敷商に3-6で敗れたが、粘り強さが光った。同じ4強の大社(島根)が鳥取城北に7回コールドゲーム負けしていることから、早鞆の優位は動かない。
◇四国
強打で42年ぶりに秋季大会を制した鳴門(徳島)と、決勝で接戦を演じた準優勝の高知は順当に選ばれそうだ。中国勢と5枠目を争うのは、安定した攻守で4強入りした明徳義塾(高知)か。同じくベスト4の高松商(香川)は準決勝で完敗しており、アピール材料に乏しい。
◇九州
4つの出場枠で、秋季大会初制覇の神村学園(鹿児島)と準優勝の九州学院(熊本)は文句なく選ばれるだろう。緻密な野球で準決勝まで勝ち上がった別府青山(大分)は試合内容や地域性の観点から選出が濃厚だ。
創成館(長崎)は準決勝で7回コールドゲーム負けを喫したことがマイナス要素となる。準々決勝の九州学院戦で善戦した21世紀枠候補の宮崎西が4枠目に入る可能性も。8強の福岡工大城東、大分は厳しい。
◇21世紀枠
全国9地区から、3校を選出する。2001年の第73回大会から導入された。東(東海、北信越以東)と西(近畿以西)から1校ずつを選び、残り7校から3校目を決める。秋季都道府県大会で好成績を収め、困難な条件を克服するなど地域や他校に好影響を与えた学校が対象となる。
石巻工(宮城)は東日本大震災で被災。津波で学校敷地が1メートル以上浸水、野球用具も流された。昨秋の台風15号でも再びグラウンドが水没したが、逆境を乗り越え、秋季県大会では準優勝した。
高崎(群馬)と宮崎西は県内屈指の進学校。高崎は福田赳夫、中曽根康弘の両元首相の出身校で、文武両道を実践する。秋季関東大会では4強入りした。宮崎西は平日の練習時間は1時間40分程度だが、初出場の秋季九州大会では8強に進んだ。
洲本(兵庫)は全部員が淡路島出身。阪神大震災を経験した選手もおり、昨春の震災後にはボランティアを行った。女満別(北海道)は部員わずか19人。気候も厳しい中、着実に力を付けた。単位制高校の金沢西(石川)は練習時間の少なさをユニークな発想で補う。
大垣西(岐阜)は清掃活動やあいさつ運動に積極的に取り組む。広島観音は練習環境に恵まれないが、メニューを工夫して克服。小松(愛媛)は男子生徒が約3分の1と少ない中、秋季県大会で優勝した。
■選抜出場有力候補校
【北海道】
◎北照
札幌一
【東北】
◎光星学院(青森)
◎聖光学院(福島)
◎花巻東(岩手)
青森山田(青森)
【関東】
◎浦和学院
◎作新学院(栃木)
◎高崎健康福祉大高崎(群馬)
○高崎(群馬)
△横浜(神奈川)
△東海大甲府(山梨)
千葉英和(千葉)
甲府工(山梨)
【東京】
◎関東一
△帝京
【東海】
◎愛工大名電(愛知)
◎三重(三重)
至学館(滋賀)
市岐阜商(岐阜)
【北信越】
◎敦賀気比(福井)
◎地球環境(長野)
福井工大福井(福井)
松商学園(長野)
【近畿】
◎智弁学園(奈良)
◎天理(奈良)
◎履正社(大阪)
○近江(滋賀)
△鳥羽(京都)
△大阪桐蔭(大阪)
△奈良大付(奈良)
水口(滋賀)
【中国】
◎鳥取城北(鳥取)
◎倉敷商(岡山)
○早鞆(山口)
△大社(島根)
【四国】
◎鳴門(徳島)
◎高知(高知)
△明徳義塾(高知)
高松商(香川)
【九州】
◎神村学園(鹿児島)
◎九州学院(熊本)
◎別府青山(大分)
△創成館(長崎)
△宮崎西(宮崎)
△大分(大分)
△福岡工大城東(福岡)
情報科学(大分)
【21世紀枠】
女満別(北海道)
石巻工(宮城)
高崎(群馬)
金沢西(石川)
大垣西(岐阜)
洲本(兵庫)
広島観音(広島)
小松(愛媛)
宮崎西(宮崎)
◎=確実、○=有力、△=微妙
(埼玉新聞)